男:(メモ帳をめくる)えーと・・・・。JackJackJack・・・・・。あった、これだ。 Jack De Franco。 なになに?ベイルマンの新作映画の為に作曲をしていると。えー、しかしながら、この1ヶ月というもの、まったく筆が進まない。(Jackを見る)
Jack: ・・・・・。
男:その理由としては、このベイルマンという男の映画が、あまりに退屈で・・・しかも、長い。 上映時間5時間4 . . . 本文を読む
Jack:(あっけにとられて男を見つめる) なんだ? あんた。
男:God。
Jack:なんだって?
男:Godだよ──。 音楽のGod。 ちょっと座らせてくれ。 えらく寒い部屋だな。 ヒーターはないのかい?
Jack:Godだって? どういう意味だ、Godとは?
男:フゥー。 なんて寒い夜なんだ。見てくれよ、膝がガクガク震えてるよ。ほら。
Jack:(強い口調で)おい、何の冗談のつ . . . 本文を読む
舞台はロングアイランドのキューガーデンズにある Jack De Francoの自宅の一室。
手の込んだ書斎風の室内装飾。重厚な机と椅子、 アンティークシェードのランプ。
グランドピアノとアルトサキソフォン。
壁には大型の本棚と窓。
バッハの肖像画。
Jack De Francoは長身で整った顔立ちをしており、その話し方は冷静で、落ち着いている。かるくウェーブした髪。白いローブを纏い . . . 本文を読む
「キリストが電気椅子で処刑されていたなら、すべてのキリスト教徒は今頃、小さな椅子を首からぶら下げていただろう。──S・Gainsbourg──」
文字が消える──。
(しばらくして)
「神よ。なぜ貴方は沈黙なさっているのか?わたしは誰よりも、貴方に祈りを捧げて来ました。ただ一度でいい。わたしにその存在をお示しください───. たとえば・・・・
わたしの名義でスイス銀行に巨額の預金口座を作 . . . 本文を読む
―――― Opening ――――
照明が落ちる──。
導入部BGMスタート。
(『ciaccona』バッハ:無伴奏バイオリンの為のソナタとパルティータより)
導入映像の上映スタート。(3分間程の白黒映像・無声)
メガネをかけた中年の男が通りを歩いている。(タイムズスクエア周辺・通行人でごった返している・時間帯→夜)
男は薄くなり始めたクシャクシャの髪に白い顔、Tシャツにジーン . . . 本文を読む