詩のブログ

読んで下さった奇特な方ありがとうございます

履行

2022年12月17日 | 佳作
街の静けさが

夜空を覆い尽くし


息継ぎをしに向かった

その構造物と

私は

契約をとりかわす


じっと隙間から覗く

微かな星に

私は優しく

微笑んだ


明日もきっと

あなたを
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ラッシュアワー

2021年08月09日 | SELECT
駅のプラットホームに沈み込んで

一面灰色の世界


不思議と息苦しさはなく

生きていることの今に

僕は清らかに向き合った


自動的に進んでいく

いくつかの世界の欠片

それらを無感情に見上げることもできるし

必死に追いすがることも

僕らにはできる


レールが軋み

轟音が鳴り響く


乗り遅れるな

誰よりも先に

明日を目指す


世界は進んでいき

僕はそれを受け止める


世界を導く

光の一つ一つに

僕達は在る
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初夏

2021年07月03日 | 佳作
ビルの隙間に

不釣り合いに漂う悲しみを

私は見てみぬふりをする


小さな不安を棄て去るために

全てを棄ててしまおうか



覗き込まれるような日差しに照らされても

今は温みを感じない


空だけをみて

風景がぼやけていく


曖昧さの中の

小さな確信を

私は誰にも明かさない
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たくさんの虹

2021年01月24日 | 佳作
曇りガラスに
虹をみた

風景が彩られ

私の見る世界は
瞬く間に変わっていく

誰かが通り過ぎても
何かが差し迫っても

私は変わらない

世界は曇りガラスの
向こう側だから
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2018年10月31日 | 佳作
空の穴に

僕がいて

じっととばりを

見つめている


すきまに漏れる

月の眩しさから

目を反らし

闇に立ち返れば


赤黒い

人間の

うごめきが

脳裏にささやき


僕の一つに

触れ


時に

地の苦しみや

卑しさを

思い起こさせた



けれど

そうして

僕は歩んでいる


実在の欠片に

耳を傾け


境界を遠ざけて

(けれど見据えて)


この世界を


真摯に

生きている
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減衰

2017年10月08日 | 佳作
昼間の喧噪に

取り残されて

独り

目を閉じれば

街の灯りが

私を包む


過去の哀しみに向き合えば

変わらない矮小な私が

静かに脇道を歩んでいる


この今にたゆたって

人々の気配を感じ取り

私は行く先を推し量る


そこに誰がいるのか

そっと想像しながら
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昨日までの雨

2017年10月08日 | SELECT
雨の優しさが

視界を包み

樹々がそっと

答えを置いていく


拾い集めた

小さな日々が

弱々しく

訴えかけ


雲の隙間に滲む希望が

足下の水たまりにも

微かに映り込んでいる


僕の疲れは

心なしか流れ落ち


雨上がりの朝

まるでこれまで忘れていたみたいに

僕はこれから先のことを

想い描いている
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トレース

2016年12月11日 | 佳作
すれ違う者全てに

私は掴みかかり

必死にそこから抜け出そうと

あがく


差し伸べられた糸に

気付かぬまま

その糸をたどって

私は戻ってきた


幾度か平穏が繰り返され

その合間の虚勢にも

色合いは薄れ


拳を振り上げた相手は

いつしか恩人となった


だから私は立ち返る


あの憎しみに

あの哀しみに


あの寂しさに
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機微

2016年12月11日 | 佳作
小春日和の光が

ひとしきり皆を幸せにしたあと

ひそやかに

私にも 幸せをくれた


微かな風が

私の気持ちを引き締める


いつもそこにある

その場所で

私はまた やり直す

誰にも 見つからないように
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2016年09月21日 | 佳作

青い空に

一点の曇りも無い

希望が

複雑に絡み合い

手を差し伸べている


大地に這いつくばって

絶望から目を逸らし

他の誰かを恐れ


一つ一つの光に

求めた以上にすがって


僕は待った


僕が僕の内側から離れ

隔てるもの無く

空を見上げられるようになる

その時まで
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霞み

2016年09月10日 | SELECT

正しさを探ろうと

手を伸ばしたら


青く透き通る

ワタムシが舞い降りた


小さく空間を切り裂いた

その実像から

あたりにたくさんの機微が満ち


美しさが

世界の裏張りを染める
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希望

2016年07月23日 | 佳作

晴れ渡った雪原に

一輪の意思


僕は僕の中心に向かって

一心に掻き進む


暗がりに目を凝らすたび

眩しさから一つ

目を逸らしてきた


大地の澱みの無さに

怯え


それでも僕は

まだ聞こえない産声に

じっと

耳を澄ます
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記憶

2016年06月12日 | 佳作

街灯からスクリーンへ

音楽が町に

感情を添えて

映し出す


そっと差し出される

優しさに

強がりも

焦燥も

溶け出して


目の前で見た笑顔より

いま一人思い出す笑顔が

心に染みる


喜びに照らされて

微かに軌跡を残しながら

哀しみが

後退していった
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決意

2016年06月12日 | 佳作

青空を開いたら

未来から 光が差し込んだ


大地に根差した

草花の香り


目に見えない暗がりを

横目で制し

僕は立ち上がる


雲を突き抜け

閉じかけた扉に

夢中で腕をねじ込んで


明日の 光の中へ
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アメリカン・コーヒー

2015年04月12日 | 佳作

ピンと張った

時計見をほぐす


音楽が

滑らかに僕に注ぐ


新しい朝

僕は僕を再構築する


窓から差し込む

確かな可能性に


静かに

夢を映す
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