近年では、タイルや石材のカタログにも、C.S.R値が記載されています。C.S.R値の値によって、滑りにくいですよ。
これは滑りやすいので屋外では使用してはいけません。という基準になっています。
が、このC.S.R値は現場で非常に迷惑な代物です。説明します。
理由① そもそも人が滑る動作を再現していない。
人が滑る時は、上げた足が床に着く時に滑ります。そして転びます。
にもかかわらず、C.S.R値の試験はゴム片が床に着いた瞬間に斜め上に引き上げる試験方法です。
「蹴り上げる時に滑って転びますか?」って話です。
理由② 最小値を記録すべきなのに最大値を記録する。
人が滑る時は、セラミックタイルや御影石の磨き仕上げのような平滑な表面の水玉に足が乗った時や、
ぬるぬる汚れの大浴場や調理場などで滑ります。
この時に、探るべきは「滑り抵抗の最小値」です。にもかかわらず、滑り抵抗値の最大値を収集します。
結果 体感と全く異なる評価値が算出される。
これが、滑り止め・防滑業界と言われる(ニッチではありますが・・・)界隈での共通認識です。
ライバル同業他社もこの点については仲良しです。
では、滑り止め・防滑業界は何に困っているのか?
それはセラミックタイルのような極端に平滑な床材に滑りにくい加工をすると数値が下がることが多いからです。
しかし、当然体感は滑りにくくなるので、滑って転んだ怪我も減るはずです。
「それでなんの問題もないでしょう?良かったですね。」 が正解ですが、数値が上がらないと困るという話が付き纏うことです。
数値が下がる理由は簡単です。セラミックタイルで滑った時を思い出してください。
記憶を辿ってください
1.キュッ 滑りません
2.キュッ 滑りません
3.チュルッ 滑ったっ! このケースの場合3歩目で滑りました。突然滑りましたよね?
はい。答え出ました。セラミックタイルが水を弾いて水玉以外の部位は滑りません。
しかし、水玉の箇所に足が触れたとたん滑る。そういうことです。
だ・か・ら 最小値を記録しなければいけないのです。最大値を記録する測定方法の場合、水玉以外の場所で測定数値が記録されているのです。
目的を忘れないでください
C.S.R値を上げることが目的ではなくて、「滑って転んだ人がいるから再発防止をしたい。」が目的じゃないですか?
追伸:昔、測定器の開発者から直々に電話がかかってきた者が執筆しました。ご意見は、こちらからどうぞ。
タイル・石の滑り止め ASL工法 一般社団法人アンチスリップ・ラボ