今度は俺が追いかけるから。
指先をそっとその頬に触れさせる。
のだめの体が微かに震えた。
指先を触れさせただけの状態で、しばらくじっとしていた。
目の前で明らかに緊張しているのだめ以上に緊張しているであろう自分に気付いた。
触れた指先から、微かな温もりが伝わってくる。
が、その頼りない温もりでは物足りなくなってきて、のだめの頬を掌で包み込んだ。
のだめの体が、ビクリと強張るのが分かった。
ギプスから覗く長い指が、ぎゅっとシーツを握り締めている。
かわいそうなほどに強張るのだめの緊張をほぐそうと、親指で目尻に溜まった涙を拭ってやる。
それがスイッチを押したらしく、のだめの瞳から涙が堰を切ったようにあふれ出した。
後から後から溢れてくる涙に、親指だけでは間に合わなくなってきて、今度はその濡れる頬に唇をよせた。
唇で、頬を濡らす雫を吸い取っていく。
涙で濡れた唇をなめると、仄かなしょっぱさが口の中に広がった。
そんな涙の味さえも愛しく思えて、夢中でその頬に唇を落としていた。
―ドンッ
不意に、胸の辺りに軽い衝撃を感じ目線を下ろすと、のだめがギプスで固められた両腕で千秋の胸を押し返していた。
できる限りの力で押し返してくるのだめの手に負担を掛けてしまわぬように、慌てて少し体を離した。
俯いているのだめの表情は読み取ることができない。
「もう、ヤメテくだサイ…。」
ひどく弱いのだめの声が途切れ途切れに聞こえた。
そして、のだめが未だ涙に濡れた瞳のまま千秋を見上げてきた。
「…のだめは、真一くんのことが本当に好きなんデス。だから…、こんな事されると、駄目とわかっていても期待、しちゃうんデス…。」
のだめはそこで一度言葉を切り、形の良い眉をさらに八の字に寄せた。
悲痛なその表情は千秋の心に妙な焦りを芽生えさせた。
―――ちゃんと、伝えなければ…。
その一心で必死に言葉を探した。
「俺は…。」
しかし、元来の不器用な性格も手伝って、なかなか言葉が続かない。
「俺は…。」
千秋の言葉がじれったいのか、のだめの瞳がさらに不安げににじんだ。
―――ああ、そんな顔をさせたいんじゃないのに。
不器用な自分の性格をこれほど恨んだことはなかった。
言わずとも伝わってくれれば…、などという非現実めいた考えが脳内を駆け巡る。
と、何も言わぬ千秋に痺れを切らしたのか、のだめの視線がツッと逸らされた。
―――このままでは、本当に失ってしまう。
失うわけにはいかない、と脳の奥で警笛が鳴っている。
のだめの細い両肩を掴み、息を吸った。
「俺は…、……お前が好きだ…。」
やっとの思いでその一言を吐き出した。
―――やっと、言えた…。
その安堵感にホッと息をつき、のだめを見るとその目は驚きで見開かれていた。
そっと、肩に手を這わせると我に返ったようにヒュッと息を吸う音が聞こえた。
そして、イヤイヤをするように首を降り始めた。
「のだめ?」
「…ウソ、デス…。真一くんはきっと、勘違いをしてるんデスよ…。」
「…なんの?」
「のだめが…可哀想だから…。同情の気持ちを好きだと思っちゃってるだけデスよ…、きっと。」
―――なんで伝わらない…?
伝わらない思いがひどくじれったかった。
こんな思いをしたことなんて、今までなかった。
どうすべきかを悩んだところで、良い案なんて浮かぶはずもなかった。
答えの出ない焦りを持て余し、衝動に突き動かされるままのだめの細い肩を胸に掻き抱いた。
next♪
―――――――――――――――――――――――
ようやく…、更新です。
本当に、すみません…。
その割りに、この雑な感じが…。
すでに見捨てられていないことを祈るばかりです…(´AT)
指先をそっとその頬に触れさせる。
のだめの体が微かに震えた。
指先を触れさせただけの状態で、しばらくじっとしていた。
目の前で明らかに緊張しているのだめ以上に緊張しているであろう自分に気付いた。
触れた指先から、微かな温もりが伝わってくる。
が、その頼りない温もりでは物足りなくなってきて、のだめの頬を掌で包み込んだ。
のだめの体が、ビクリと強張るのが分かった。
ギプスから覗く長い指が、ぎゅっとシーツを握り締めている。
かわいそうなほどに強張るのだめの緊張をほぐそうと、親指で目尻に溜まった涙を拭ってやる。
それがスイッチを押したらしく、のだめの瞳から涙が堰を切ったようにあふれ出した。
後から後から溢れてくる涙に、親指だけでは間に合わなくなってきて、今度はその濡れる頬に唇をよせた。
唇で、頬を濡らす雫を吸い取っていく。
涙で濡れた唇をなめると、仄かなしょっぱさが口の中に広がった。
そんな涙の味さえも愛しく思えて、夢中でその頬に唇を落としていた。
―ドンッ
不意に、胸の辺りに軽い衝撃を感じ目線を下ろすと、のだめがギプスで固められた両腕で千秋の胸を押し返していた。
できる限りの力で押し返してくるのだめの手に負担を掛けてしまわぬように、慌てて少し体を離した。
俯いているのだめの表情は読み取ることができない。
「もう、ヤメテくだサイ…。」
ひどく弱いのだめの声が途切れ途切れに聞こえた。
そして、のだめが未だ涙に濡れた瞳のまま千秋を見上げてきた。
「…のだめは、真一くんのことが本当に好きなんデス。だから…、こんな事されると、駄目とわかっていても期待、しちゃうんデス…。」
のだめはそこで一度言葉を切り、形の良い眉をさらに八の字に寄せた。
悲痛なその表情は千秋の心に妙な焦りを芽生えさせた。
―――ちゃんと、伝えなければ…。
その一心で必死に言葉を探した。
「俺は…。」
しかし、元来の不器用な性格も手伝って、なかなか言葉が続かない。
「俺は…。」
千秋の言葉がじれったいのか、のだめの瞳がさらに不安げににじんだ。
―――ああ、そんな顔をさせたいんじゃないのに。
不器用な自分の性格をこれほど恨んだことはなかった。
言わずとも伝わってくれれば…、などという非現実めいた考えが脳内を駆け巡る。
と、何も言わぬ千秋に痺れを切らしたのか、のだめの視線がツッと逸らされた。
―――このままでは、本当に失ってしまう。
失うわけにはいかない、と脳の奥で警笛が鳴っている。
のだめの細い両肩を掴み、息を吸った。
「俺は…、……お前が好きだ…。」
やっとの思いでその一言を吐き出した。
―――やっと、言えた…。
その安堵感にホッと息をつき、のだめを見るとその目は驚きで見開かれていた。
そっと、肩に手を這わせると我に返ったようにヒュッと息を吸う音が聞こえた。
そして、イヤイヤをするように首を降り始めた。
「のだめ?」
「…ウソ、デス…。真一くんはきっと、勘違いをしてるんデスよ…。」
「…なんの?」
「のだめが…可哀想だから…。同情の気持ちを好きだと思っちゃってるだけデスよ…、きっと。」
―――なんで伝わらない…?
伝わらない思いがひどくじれったかった。
こんな思いをしたことなんて、今までなかった。
どうすべきかを悩んだところで、良い案なんて浮かぶはずもなかった。
答えの出ない焦りを持て余し、衝動に突き動かされるままのだめの細い肩を胸に掻き抱いた。
next♪
―――――――――――――――――――――――
ようやく…、更新です。
本当に、すみません…。
その割りに、この雑な感じが…。
すでに見捨てられていないことを祈るばかりです…(´AT)
毎日ドキドキハラハラしながら覗いていました。
更新がなかったので不安でした。
でもさっき覗いたら更新されていたのでホッとしました。
この先この二人がどのようになるのか
(期待しながら…)
これからも読ませていただきたいと思っておりますので頑張ってくださいね♪
コメント、ありがとうございます!!!
この数日、本当にパソコンに全身全霊で拒否られていたようで、完成間近でなんどもデータ消滅の目に遭いまして…↓↓
ようやくのアップでした…。
読んで下さる方が一人でもいらして、良かったです(泣)
本当にありがとうございますw
頑張りますので、またよろしくしていただけたら嬉しいです!!