ベトナム料理 ANNAM

食文化を通じて母国であるベトナムの文化を静岡に伝えたい!

子どもの笑顔

2009-11-05 01:10:59 | コラム
 
 
 先日、フォトジャーナリストである知人が来ました。「僕が撮ってきた写真を、今度ポストカードにして販売するので、アンナムに置かせて」との依頼です。ベトナムも含めて多くの発展途上国を歩き回って、現在はアフリカの難民の研究のため、静岡県立大学の修士課程に在籍しています。そのポストカードの収益の一部は、NPO「ベトナム子ども基金」を通じてベトナムの子どもたちの就学支援に充てられます。さらに、ウガンダの難民自身による自立支援組織にも寄付する予定だそうです。 (URL:http://mchzk.cocolog-nifty.com)
 
 もちろん返事は、「喜んで協力させていただきます」。
 何枚かサンプルを渡してくれました。
「この子、すごく可愛い!!」
「そうそう、あまり見たことのない黄色人である僕に興味津々で、覗きに来たんだよ。アボカドを覗いているわけじゃないだよ。」
「子どもの無邪気な笑顔って、素敵ですね。」
「そうだね。僕は、貧しい国々の子どもたちの笑顔をたくさん見てきた。本当に輝いています。日本の子どもは、なかなかそういう笑顔ができないだよなぁ。」
「そう言えばそうかもしれません。でも、どうして??」
「日本の子どもは悩んでいるからね。周りの大人が悩んでいると、子どもも悩んでしまうからね。」

 以前、言及したことのある『子どもが育つ条件』という本に以下の興味深い研究が紹介されています。




 図のような場面で、子供が入れてもらいたいと思ったらどうしたらいいかと五歳児に尋ねます。すると、アメリカやイギリスの子供たちは直ちに、「“入れて”という」と答えますが、日本の子供たちはすぐにはそう答えません。「この子たちは知っている子たち?」とか「この遊びは今始まったばかりなの?それともずっと前から遊んでいるの?」「男の子だけ?」などと尋ねて、その回答によって自分の答えは違うのです。今始まったばかりなら、自分が入っても邪魔にならないだろうとか、女の子がいないなら男の子たちは嫌かもしれない、などと考えるのです。
 このように、他人のことを配慮し、「和」を大事にするという態度が、幼稚園の教育や周囲の大人のしつけによって日本の子どもたちは幼いうちから身に付いているといいます。

 自分の意見や意思を他者に主張したり、集団の中で表明することより、自分を抑えて他を活かす、自分を我慢しても集団の和を大事にすることは、大人がいまも子どもに期待している筆頭です。「このような日本の「和」を大事にする風土の中では、他との違いは、すぐに悪とされてしまいがちです。人それぞれ違うのは当たり前であり、違いがあることに意味があり価値があることだと認めるのは容易ではないでしょう。」と、作者は結論付けています。

 価値観の多様性が認められると言われるこの時代なのに、「気が利かない」「空気を読めない」と、排除されることを恐れてストレスがたまるのは大人だけではないのです。「子どもの自殺」は、日本に来るまでは耳にしたことがありませんでした。幼い子どもが自ら命を絶つ理由は、他にもあると思いますが、いずれにしても、日本以外の国には極めて珍しいのです。

 貧しい国々の子どもたちには満腹と教育を、そして、日本の子どもたちには輝いた笑顔をと、心から願っています。