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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

伝統という名の価値

2015年04月24日 | 大学・アマ野球

現在発売のNumber誌に、
鷲田康氏がコラムを寄稿しています。

神宮球場の移転についてです。

神宮球場と秩父宮ラグビー場が、
ほぼ場所を交換する形で移転、
建て替える計画が進んでいるようです。

最初にこの計画が出た1年半ぐらい前には、
『これは正直、無理だろう。オリンピック誘致が決まった後だから、その波に乗ってこんな計画もぶち上げられていることだろう』
なんて思っていて、
その後さほど進展もなかったようなので忘れていましたが、
このほどこの件についてのニュースがリリースされ、
どうやら本決まりのようですね。

2025年度末までに、
建て替えられる見通しのようです。

鷲田さんも言っておられるように、
新しい競技場が建つということ自体には、
異論もないしむしろ歓迎したいと思っていますが、
伝統のある神宮球場や秩父宮ラグビー場を完全に取り壊しての移転となると、
なんだかモヤモヤしたものが残ります。

特に神宮球場については、
”学生野球のメッカ”との認識を持っていますので、
この伝統ある球場を完全に壊して・・・・・・というところに、
何だかさびしさと、そして怒りすら覚えてしまいます。

東京都、地権者、日本スポーツ振興センターなどの思惑はあるでしょうが、
『伝統』『歴史』というお金では買えないもの、
そしてそれを熟成していくためには何十年という年月が必要だということを考えると、
『本当に新しい球場を作る必要があるのだろうか?』
という疑問が頭の中に渦巻きます。

この球場は、
東京六大学野球、東都大学野球をはじめとする学生野球の歴史を刻み、
そしてプロ野球や東京都をはじめとする高校野球など、
たくさんの思い出のある球場です。

神宮外苑のリニューアルという『お題目』は分かりますが、
日本の戦後に欠けている『歴史と伝統というものに対する価値』を、
もう一度見直してもらいたいと、
思ってしまいます。


もちろん現在の神宮球場。
プロ野球の本拠地という観点から言えば、
12球団のフランチャイズ球場の中で最も見づらい、
くつろぎにかける球場であることは否定しません。

席は狭いし、
球場内の通路も狭く、
いわゆる『今風の、また足を運びたくなるスタジアム』
とは呼べないかもしれません。

しかしながら、
『不便をも楽しむ』
と言おうか、
『そこに神宮があるから・・・』
という、
何とも言えぬ安心感を与えてくれる球場だと思っています。

個人的に言えば、
この球場は現在のキャパが35,000人程度ですが、
甲子園球場の大改修のように改修し、
25,000~30,000人収容程度にキャパを小さくしても、
現在に『神宮球場』として残す努力をしてもらいたい、
そう思っています。

かつては人権蹂躙的に狭かった甲子園の座席も、
リニューアルされて本当に広くなり、
そして見やすくなりました。

そしてもちろん、
『甲子園は、甲子園のまま』
でいまも、そこにあります。

なぜ甲子園と同じことが、
神宮でできないのでしょうか?

【野球場】ということで言えば、
『西の甲子園、東の神宮』
でしょ!

神宮だって、
甲子園と同じくらいの歴史を球場自体に、
刻み込んでいる場所ですよ。


国立競技場の時も、
新しいスタジアムがどうしても心にスッと入ってこないということがあり、
何だかモヤモヤしたものが残りました。
(今もそうです)

しかし国立は建てられたのが東京オリンピックの時。
要するに1964年だったので、
『オリンピック後世代』
のワタシにとっては『いつもそこにあった競技場』ではあったものの、
さほど長い長い歴史を刻んでいたわけではない競技場だったので、
何とか自分で自分を納得させました。

だけど神宮球場は・・・・・。

『歴史』『伝統』という価値を、
おざなりにしすぎじゃないですかね、日本のスポーツ界は。

鷲田さんのコラムにありましたが、
欧米のスポーツ界はそのあたりの価値をしっかり認識していて、
その価値と共存しているようですね。

スクラップ&ビルド

確かにそれで経済が動いているというのは事実ですし、
経済価値から言っても経済効果から行っても、
『建て替え』が恩恵をもたらすのは確かでしょう。

しかしですよ!
スポーツ好きにとっては、
なんだか『国立もなくなったし、神宮も、そして秩父宮も歴史のかなたに消えていく』なんて、
何だかさびしすぎて言葉もありません。


そういえば数年前、
ワタシの母校が120年余の歴史に幕を閉じました。

今はその学校ともその地域とも、
全く関わりはないワタシですが、
そのことを友達から聞いた時、
何とも言えない寂しさを感じたものでした。

そして、
この学校の120年の歴史を新たに作り出すには、
3世代も4世代も必要なんだよ。
そんなこと、閉校にした当事者たちは考えていたのかなあ……
なんて思いました。

そんなことを、
ふと今回のことにリンクして、
思い出しました。

ああ・・・・・寂しいなあ。

まあ、取り壊される前に、
せいぜい神宮にも足繁く通うとしますかね。


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