≪第92回全国高校サッカー選手権大会≫
【準々決勝】
富山第一(富山) 4 (1-0,3-0) 0 日章学園(宮崎)
四日市中央工(三重) 1 (0-0,1-1) 1 履正社(大阪)
PK 6-5
星 稜 (石川) 0 (0-0,0-0) 0 修徳(東京A)
PK 3-0
京都橘 (京都) 2 (0-0,2-0) 0 市立船橋(千葉)
さあ、
高校サッカーも準決勝、
『国立』の舞台への4強が出そろいました。
『最後の国立』『国立最蹴章』と銘打ってはじまった今年の大会。
ここ7,8年ほど、
高校サッカーは『混迷の時代』を迎え、
どこが勝ってもおかしくないほど全国のレベルが上がってきています。
かつては、
関東勢、静岡勢の時代があり、
その後国見、東福岡、鹿実など九州勢が一世を風靡し、
強豪が前評判そのままに優勝旗を掴むことが多かった大会でした。
しかしサッカーの世界は様変わり。
『その年代で最もうまいプレーヤー』達はこぞってJリーグの下部組織に所属し、
高校サッカー界に身を投じることは少なくなってきました。
その一方で、
各地に種をまき続けるJリーグから、
素晴らしい指導者が各地に散らばり、
地域におけるサッカーの質を挙げて行き、
今やかつてのような『地域差』はどこにも存在しない、
そんな大会になっています。
そのため、
『いままで実績がなかったり、初出場だったりという高校にも、ひとたび大会の波に乗れば、等しく優勝のチャンスがやってくる』
という目の離せない大会になっているというのが、
【全国高校サッカー選手権大会】
だと思います。
ほぼ全選手が高体連所属である他競技と違って、
必ずしもベストのチームばかりが出場しているわけではないのですが、
『トーナメントの面白さ』
はかつての比ではないぐらい、
面白い大会になっていると感じています。
そしてこの選手たちに最後に用意されている舞台が、
『国立競技場』という檜舞台であることは、
40年ほど前から変わらないことです。
それゆえ、
かつてとは質が変わってきたとはいえ、
この大会が今も人々の興味を引き付ける存在であるのでしょう。
そんな大会ですが、
国立競技場が今年から改修工事に入るため、
この現在の国立競技場を準決勝、決勝の舞台とする大会は【最後の大会】となるわけです。
今大会、
前評判では、
夏のインターハイを制した市立船橋に、
昨年準優勝で今年もエース小屋松を擁する京都橘、
そして今季プレミアで上位の成績を残した青森山田、東福岡当たりが有力と言われていました。
その優勝候補から、
大会序盤で青森山田、東福岡、
そしてその他でも力を持つ立正大淞南、広島皆実、神村学園らが早々とこぼれ落ちていきました。
残った優勝候補の市立船橋と京都橘は、
国立を目の前にしたこの準々決勝で、
直接対決となりました。
12月のプレミアリーグ昇格戦で、
激戦を勝ち抜いて来季の昇格を決めた両校。
実績的にも力的にも、
今年の高校サッカー界を代表する激突に、
会場となった駒沢競技場は多くの観客を飲み込み、
沸きに沸きました。
ワタシはこれまでの試合を見ていて、
若干市立船橋の方が攻守のバランスがいいかと思っていたのですが、
京都橘のエース・小屋松は、
素晴らしい突破であの”イチフナ守備陣”を切り裂き、
後半先制ゴールを上げました。
追いつきたい市立船橋はエース石田を起点に再三攻め上がりますが、
そこで昨年も強豪相手に京都橘が見せた『DF陣のしつこい守備』にあって攻撃が機能せず、
次第に焦りを募らせていきました。
とにかく京都橘のDF陣、
いや、MF陣やFW陣も、
何しろ寄せが早かった。
『落ち着いて、華麗にボールを繋ぐ』
今年のイチフナの攻撃は、
見事なまでに抑えられてしまいました。
そして後半も押しつまってからの、
『カウンター一閃』での小屋松のとどめの一発。
これで試合が決まりました。
京都橘の、
これ以上ない完勝でした。
昨年も強いと思いましたが、
今年はさらにその強さ、
増していますね。
4強の中では、
最もタイトルに近いチームだと思います。
同じく昨年に続いて国立行きを果たした星稜は、
近藤がPK3発を連続で止めるという神業。
粘る修徳を振り切りました。
プレミアで1年間実績を残した富山第一は、
4発で快勝。
一昨年準優勝の四日市中央工は、
後半ロスタイムに追いついてPK戦での激勝。
しかしこの試合、
PKがサドンデスに入ってから、
まさかの『放送終了!!!!』
観ていた方々は、
あ然としたんじゃないでしょうかね。
【結果はテロップで】
なんて、
冗談辞めてくれよ~の世界でした。
ということで4強が決定。
よく見てみると、
結構実績を残した4チームが上がってきましたね。
昨年準優勝の京都橘。
一昨年準優勝の四日市中央工。
今季最高峰のプレミアリーグで奮闘した富山第一。
昨年4強の星稜。
どこが優勝してもおかしくない対戦となりました。
4強以上の対戦では、
この準々決勝から準決勝までの1週間の【間】をどううまく使うかということも、
戦いのカギになっていくかもしれません。
大舞台には慣れた4強が挑む国立の戦い。
しかし4チームの中で優勝を経験しているのは四日市中央工だけ。
しかもこれは”両校優勝”だけに、
気持ちは『初優勝』を狙っているのと一緒かも知れません。
ということで、
初めての栄冠を手にするのは、
どこのチームなのか。
11日の準決勝、目が離せません。