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第93回全国高校野球選手権大会 大会の展望

2011年08月02日 | 高校野球

◇第93回全国高校野球選手権大会

≪大会展望≫


日大三、習志野、九州国際大付軸に覇権争い激化

東北勢の初優勝を狙う聖光学院・光星学院


いよいよ始まる第93回全国高校野球選手権大会。
今年は震災の影響もあり、春から夏にかけて、非常にいろいろなことがあった高校野球界だった。
しかしこの夏の甲子園を迎え、
野球ができる喜びを体いっぱいに表現する49代表の、熱く燃える戦いが開幕する。

今年の高校野球界で、
まず取り上げなければならないのは東北代表のことだろう。
ワタシは昨年の新チーム結成時から、『今年は初めて東北に大旗が渡るチャンス』と思って気にかけていたチームがある。
昨年のベスト8、春夏連覇の興南をもあわてさせた聖光学院である。

もともと打撃には鋭いものを持つチームだったが、
『絶対のエース』を持つには至らず、いつも他地区の強豪の軍門に下っていたこのチームだが、今年は”絶対”といえる歳内というエースを持ち、例年以上の戦力を誇っている。
昨年から『今年は狙う』という匂いのプンプンしていたチームだ。
しかしながら、彼らの学校は福島県伊達市に所在する。
福島は震災で春のすべての公式戦がキャンセルになった地域で、聖光学院の動向も、春場にはようとして知れなかった。
『彼らは大丈夫なのか』それがワタシの偽らざる本音。
夏の予選を見るたびに、そんな思いに強くかられた。
しかし夏の予選。彼らは、力強い歩みで福島県内61連勝を果たし、また甲子園へ帰ってきた。歳内投手は、”魔球”スプリットを引っ提げ、また甲子園に見参だ。彼らが東北勢初の【真紅の大旗】に近づけるかどうか、今大会の大きな注目点の一つになろう。
そして、それは同じ東北勢、青森の光星学院にも言えること。春の選抜では震災の影響で智弁和歌山の軍門に下ったが、力は十分に持っているチーム。エース秋田に川上、田村の中軸が強烈な光を放つ。戦力的には十分にAクラス。あとはやはり、上位のたたき合いになった時の勝負強さだけだ。

さて、今大会。東北勢の活躍に期待は高まるが、それだからといって覇権争いのトップにかれらが立つわけではない。
覇権争いのトップに立つのは、日大三習志野九州国際大付の三校と考えられる。
日大三は、選抜では優勝候補筆頭にあげられながら準決勝で敗れ去った。その悔しさを知るナインが、夏にかけたまたぐっと力をあげてきた。エース吉永は、春から夏にかけて不安定な投球を続けていたが、西東京大会の終盤になって本来の投球を取り戻しつつある。スライダー、シンカーで打たせて取る投球から、本来の切れ味鋭いストレートが走ってきた。そしてその吉永が不調の前半戦をしっかりとしたほかの投手陣が支えたことで、日大三の戦力はピークに向かいつつある。小倉監督をして「2001年の優勝時に匹敵する力」と言わしめる打線は、畔上、横尾、高山の中軸でドンと突き放す。長打力は満点で、細かい技も身についてきた。守備も破たんはなく、2度目の優勝に視界は良好といえる。  その日大三を春の関東大会で一蹴した習志野も、今大会の有力候補。三本柱の投手陣と足を使った鋭い攻撃で、スキを見せない野球に徹する。昭和40年代からの強かったころの千葉代表を彷彿とさせる、見事な戦力だ。決して突出したプレーヤーはいないものの、全員の戦術理解度は群を抜き、洗練された野球は必見だ。そしてもう一校の有力候補は、選抜準優勝の九州国際大付。エース三好に高城のバッテリーは超高校級。一気に襲いかかる攻撃は、獲物を狙うライオンのような鋭さ。連投を経験していない三好がどうなのか、という懸念は残るものの、大型チームという点では今大会随一の迫力だろう。


Aクラスのチーム乱立。予断を許さない前半戦

今年はこの3強を差なく追っていくチームが多く、大会は序盤から息の抜けない展開になることも予想される。そんな中、力のあるチームは虎視眈々と覇権を狙っている。まずは智弁和歌山。例年通り、和歌山大会は圧勝で突破し、「勝負はここから」とナインが燃えている。例年以上に今年のチームはバランス感覚が十分。エース青木の安定感が光った春から、夏は打線の底上げで打撃戦での勝負もどんとこい。『最多勝監督』高嶋監督が手塩にかけたチームで、久しぶりの覇権を狙う。同じく久しぶりの覇権を狙うのは、帝京も同じ。最後の最後で、ようやくエース伊藤が復調。前田監督も自信を持つ戦力で、一発にかけた戦いをする腹積もりだ。厳しい戦いを制して3季連続は明徳義塾。安定感抜群のエース尾松を軸に、打線に当たりが出だせば一気に頂点も狙える。アグレッシブな守りは、いつもながら必見だ。激戦を勝ち抜いた東洋大姫路も、圏内だ。エース原はどんな相手とやっても「3点は取られない」と自信満々。狙うは34年ぶりのV。

その他では、やはり激戦・神奈川を制した横浜を挙げざるを得ない。柳-相馬の必勝リレーと足、小技を絡めて得点を奪う『渋い』戦い方で甲子園でも上位を狙う。ライバル・天理が『欠席』した県大会を余裕で制した智弁学園の評判もすこぶるいい。2年生エース青山に長打連発の打線が絡み、戦力的には十分にAクラスだ。九州では全国屈指の右腕・北方投手の唐津商も必見。いったい何キロを出してくれるのか。そして帰ってきたエース白根・野々村監督の開星も、何かと話題を集めるチームだろう。最後の最後に代表を決めた東大阪大柏原も注目の的。とにかくよく打つ印象で、大阪桐蔭を下した力は侮れない。一昨年準優勝の日本文理も、今年はひそかに上位を狙う。バランスでは一昨年に引けを取らない好チーム。


玉熊擁する北海。関西、糸満ら個性のあるチームも勢揃い

選抜ベスト8の北海は、玉熊投手頼みから脱皮を図る。菊池雄星以来2年ぶりの花巻東は、大谷投手の復調次第。大谷復調がなると、一気に上位の夢も膨らむ。花咲徳栄は負けづらい好チーム。釜田投手の金沢は、打線が一皮むけて戦力的にはかなり整っている印象。龍谷大平安も打線、投手ともにスキがない。春のリベンジを誓う関西も好チーム。堅田-水原の必勝リレーは脅威。レベルの高い九州では、神村学園のパワー野球が必見。エースの投球も見もの。初出場をもぎ取った沖縄の糸満も注目されるチーム。その足攻がどこまで通用するか。

初出場の古川工関商工は、ともに県予選では”大本命”を倒してあっと言わせた。東京都市大塩尻専大玉名至学館の初出場組は、大激戦の県大会を制して波に乗る。明豊、如水館、今治西、福井商、日南学園ら甲子園の戦い方を熟知しているチームも相手には怖い。強打の静岡山梨学院大付は、波に乗れば相当やれる戦力だ。

白樺学園は、2度目の出場で1勝を狙う。秋田県勢久々の勝利は、2年連続出場の能代商に託された。鶴岡東は、鶴商学園時代から久々の復活。北関東の健大高崎、藤代、作新学院は戦力的にはやや?マークがつくが、それぞれ波に乗っている。ミラクル・新湊も久々の出場。吉中投手の八幡商、谷沢投手の柳井学園、松本投手の英明は、それぞれに切り札を持つだけに期待も大きい。
新監督で躍動する名門・徳島商の戦いにも注目。強豪・清峰を下した海星は、堂々の出場。鳥取商、伊勢工は何とか1勝の壁突破を狙う。







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