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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

電光石火の先制劇! 花咲徳栄、持ち前の強打で圧巻のV

2017年08月24日 | 高校野球

≪第99回全国高校野球選手権大会≫  ~甲子園~

【決勝】

花咲徳栄(埼玉) 14-4 広 陵(広島)

花咲徳栄 202 064 000 -14
広 陵   011 011 000 - 4




強烈な先制パンチと盤石の2枚看板。
花咲徳栄 まさに圧巻の戦いで優勝つかみ取る!



花咲徳栄打線が、
決勝も初回から電光石火の攻めを見せて広陵を終始圧倒。
埼玉県勢として初めての、夏の甲子園制覇を成し遂げました。

超満員に膨れ上がり、
この日もいい雰囲気の中行われた今年の決勝戦。

話題の中心は何といっても、
前日あの清原が持つ『不滅の大記録』と言われた1大会5本塁打の記録を破り、
6本塁打の大記録を樹立したばかりの、
広陵の主砲・中村でした。

決勝戦の興味は、
『中村が果たして今日もど派手な活躍を見せてくれるのか?』
ということばかり。

埼玉県勢として初めての夏の全国制覇を狙う花咲徳栄の話題は、
ここ首都圏でもすっかり横に置かれてしまった感じでした。
それほど中村選手の活躍は、
インパクトがありました。

しかし試合開始を告げるサイレンの鳴りやんですぐ、
試合は花咲徳栄得意の、
電光石火の速攻に観衆は目を奪われていました。

この夏、
何度も何度も見た光景。

それがこの、
1番太刀岡、2番千丸、3番西川の花咲徳栄が誇る”左トリオ”の、
まさに電光石火の攻めでした。

まずは太刀岡がセンター前に運び攻撃ののろしを上げ、
千丸がバントもちらつかせながら強振すると、
打球はぐんぐん伸びてライトの頭を超える2塁打。
この2・3塁のチャンスに主砲・西川が詰まりながらもセンター前に落として、
花咲徳栄はわずか試合開始3分で先制点を上げました。

ボクシングでいうなら、
ゴングが鳴った試合開始直後に、
左右のワンツーが相手の顎に的確にヒットしてぐらつかせた……
そんな感じでした。

そしてこの日も先発のマウンドに上がったのは、
安定感抜群の綱脇。

2枚看板のひとりとして、
全試合を綱脇―清水とリレーして勝つ盤石の投手リレーの一翼を担いました。

しかし1回の裏、
前日まで猛打で勝ち上がってきた広陵の強力打線に、
鋭く迫られました。
1死から2番にヒットを与えて、
主砲・中村の打席を迎えました。

ここで中村は、
見事というしかない一撃を放ち2・3塁。
すぐに同点のチャンスを迎えました。

ここがこの試合の最大の分水嶺。
ここで広陵が同点に追いついていたら、
試合はどうなったかわかりませんでした。

しかし冷静な綱脇は、
中村に打たれたことは割り切り、
4番をスライダーで三振、5番をピッチャーゴロに切り取って無得点。
この時点で、
試合の趨勢はかなり花咲徳栄に傾きました。

1点返された3回表、
花咲徳栄はまたも1番からの攻撃で、
2死2・3塁から5番・須永がセンターへ見事なタイムリーを放ち4-1。

そして5回を迎えました。
この回も花咲徳栄は1番太刀岡からの打順。

そしてその太刀岡が四球を選び塁に出ると、
花咲徳栄お得意の『強気の強打』で千丸がヒットでつなぎ、
西川、野村が連続タイムリー。
7-2として、広陵先発の平元をマウンドから引きずり下ろしました。

代わった山本投手は、
ここまで広陵の快進撃を支えてきましたが、
さすがにこの日は疲れが見え、
しかも広陵にここから信じられない守備のミスが重なり、
この回計6失点、次の回も4失点と、
試合を決められてしまいました。

花咲徳栄は、
まさに自分たちの攻撃野球全開。

最後の試合に、
これまで蓄えてきた力、技術を全部出しての、
快勝となりました。

広陵は期待して送り出したエース平元が崩れたのが誤算でしたね。
リリーフした山本は前日の試合、
一度マウンドを降りてから9回のピンチで再度マウンドに呼び戻されたりしたので、
かなり疲労の蓄積度が高くて、
特にの右打者、左打者の外角低めにコントロールされる球が決まらず、
狙い撃ちされてしまいました。

しかし中井監督として残念だったのは、
鍛えてきたはずの守備が、
この大舞台で最後、ミスがミスを呼ぶという展開になってしまったことでしょう。

広陵ほどのチームでも、
崩れ始めるとこういう風になってしまうのかと、
ワタシなどは改めて『高校野球の怖さ』を実感しているところです。

期待された中村捕手は、
期待に応えて2塁打2本を含む5打数3安打と気を吐きました。

しかしこれでも凡退した2打席やこの試合にホームランが出なかったことなどをクローズアップされるあたり、
既に中村捕手に対する世間の目線が、
清宮と同等、いや、それ以上に上がってしまったということの証ですね。
U-18を楽しみに待つことにしましょう。


それにしても花咲徳栄、
まさに投打に盤石の強さを見せつけての初Vでした。

投手陣では、
この日も綱脇―清水の必勝リレー。

『必ず試合を作ってくれる』綱脇の安定して低めに投げ続けるコントロールで序盤をリードし、
試合終盤には『Max150キロの剛腕』清水がマウンドに仁王立ち。
そのパターンで県大会ではライバル浦和学院を倒し、
この甲子園でも強豪の前橋育英、強打の盛岡大付、波に乗る強打の東海大菅生と広陵など、
次々に強打のチームの打線を抑え込んできました。

そしてその投手陣の安定感が、
バックの強力打線に安心して攻撃を行わせたということが言えるでしょう。

2回戦の日本航空石川戦で、
相手の好投手、佐渡のキレキレのスライダーに対して、
徹底して低めを捨てるという指示を実践、
見事に初回攻略した攻撃に舌を巻いたのですが、
その攻撃力はその次の相手である前橋育英戦でもいかんなく発揮されました。

前橋育英の先発は左腕の丸山。
この丸山投手、
関東ではまさに”音に聞こえた左腕”。

その安定度は群を抜いていて、
ワタシは前橋育英を、
この丸山がいるということで優勝候補の一角に推していたほど。

しかし花咲徳栄の打線は、
この丸山を初回に急襲。

全試合で佐渡投手を崩したのと同じような見事な攻撃で一蹴して、
一気に試合を決めてしまいました。

あとはもう、
この打線、『アンストッパブル』の状態でしたね。
どの対戦相手の投手も、
まったく止めることはできませんでした。
『東武特急スペーシア』のごとく、
加速に加速、ずんずんとスピードを上げて行ったという感じです。

『この夏一番強いチームだった』
ということに、
疑いはありません。
見事な優勝でした。

その瞬間、
喜びがはじけましたが、
監督も選手も落ち着いたたたずまいで、
『まだ次があるぞ』
という感じにも見受けられるような終幕でした。

試合の中でも、
10点リードの終盤8回に、
ランナー1塁で前日決勝タイムリーを放った高井選手に送りバントを命じ、
2ストライクになってもそのサインを変えずに3バントでランナーを送るというシーンがありました。

このシーンを見ていて、
『ああ、岩井采配には全くブレというものがないなあ』
ということを感じて、
『そこまでの信念と徹底なくば、岩盤のような分厚い壁に穴は開かないんだなあ』
ということを実感しました。

お見事です。

『やれることを、この決勝の2時間の間でも、やり切るだけ』
とこの決勝に臨むにあたって、
力みのない決意を語っていた岩井監督ですが、
さすがに試合後は『やり切った』というホッとした表情も見て取れました。

花咲徳栄高校。

ワタシはかねてからこのブログで言っている通り、
神奈川、桐光学園の『土手ファン』です。

花咲徳栄高校の岩井監督は、
この桐光学園が初期のころの卒業生。
見込まれて花咲徳栄の監督に就任してから、
桐光、花咲徳栄ともに90年代後半からぐんぐんと力を伸ばして、
全国への道を切り開き始めました。

もちろん『友好チーム』の関係を築いていますから、
毎年の練習試合はお約束の間柄です。

そんな中で切磋琢磨して、
両校ともに全国に名前を知られるようになってきていました。

しかし『全国上位の壁』は厚く、
鍛えても鍛えても、
なかなかその扉は開いてはくれないという年が続いていました。

おまけに両県には、
『倒さなければならない全国のビッグネーム』である、
横浜高校と浦和学院がデーンと控えていて、
全国への道を切り開くのもまた、
大変なことなのです。

そんな『結構似たような境遇』の両チーム、
そんな関係でしたので、
花咲徳栄のゲームには、ワタシも他校よりは思い入れも深く、
注目と期待をしてみていました。

剛腕・高橋を擁した昨年のチームこそが、
『花咲徳栄が本気で全国制覇を狙えるチーム』
だと思っていたので、
昨年のチームが甲子園で作新学院に敗れたのを、
本当に残念な思いで見ていたのですが、
その”ポスト年”のチームがこうして”悲願の”全国制覇をしてしまうのですから、
本当に物事っていうのはわからないものです。

特に昨年の大会のその作新学院戦、
先発したのは2年生の綱脇。

しかし作新の攻撃に耐えられず序盤で失点を重ね、
エース高橋が登板して後を抑えたにもかかわらず、
前半の失点を返せずに・・・・・という、
悔しいゲームでした。

その時悔しさをかみしめていた綱脇が、
この大会、そして決勝戦、
捲土重来の意気でナイスピッチングを見せたことに、
なんだか『成長物語』を垣間見ているようで、
ただ嬉しくなりますね。

昨年の作新学院の優勝でも感じたのですが、
今年の花咲徳栄も秋や春の関東大会での戦いぶりを見ていると、
とてもじゃないが全国で上位に行けるチームだとは感じていませんでした。

しかし5月から『最後の2か月間』いや、大会期間中も入れたら『最後の3か月間』で、
高校生というのはこうも伸びていくものなんだ。。。。。
その事実に驚き、本当に無限の可能性を感じてしまいます。

監督自身が、
『自分のチーム、こんなに強かったっけ?!』
とびっくりしているんじゃないでしょうかね。

そしてもう一つおまけでは、
このチームの主軸を担った球児が、
小学生のころからその姿を見ていたということも、
なんだかいつも以上に親近感がわく出来事でした。

おめでとう!花咲徳栄!!


埼玉県初の夏の全国制覇。

このことについては、
別の記事にてじっくり書くことにします。


いずれにしても、
驚きの99回大会の結末となりました。


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