地区予選展望、第7回(最終回)です。
≪地区予選展望≫
【福岡】
◎ 九州国際大付 ○ 福岡工大城東 △ 福岡大大濠 ▲ 九産大九州
九州国際大付は、秋・春の県大会を制し、春は九州大会も制した。実力は自他共に認めるNo1だ。特にその打線は鋭く、今村が投げなかったとはいえ、清峰を12-2で破った打線は脅威だ。九州大会4試合でわずか4失点の投手陣が力を出せば、厳しい福岡の夏も勝ち上がることが出来る。福岡大大濠は、エース川原に全てをかける。大濠史上でも『1・2を争う』エースの出来に夏を賭ける。福岡工大城東の戦力も充実。3年ぶりの夏は、伝統の強力打線の出来が握る。九産大九州は、左腕山方が本調子ならおもしろい。東福岡、沖学園、筑陽学園なども圏内だ。
【佐賀】
◎ 鳥栖 ○ 佐賀商 △ 佐賀学園 ▲ 小城
鳥栖がトップを走る展開。3枚をそろえる投手陣に、勝負強い打撃が売り物。やや線の細さが感じられるものの、『十分に狙えると思う』という強気の指揮官は頂点を見据える。追うのは連続を狙う佐賀商。夏の強さは抜群だ。打線は相変わらず活発だが、今年も投手に苦しんでいる。ただ、夏の戦い方は熟知しており、他校には最も恐い存在だ。佐賀学園は、がっちりとした守備と、足を使った攻撃で最小点を守りきる野球。しぶとく勝ち上がっていくことが出来るか。一昨年の春選抜に出場した小城も戦力充実。”あの”佐賀北とともに、単なる惑星から本命に上り詰める腹積もりだ。
【長崎】
◎ 清峰 ○ 波佐見 △ 佐世保実 ▲ 長崎日大
選抜を制し、横浜以来の春夏連覇に挑戦する清峰がダントツ。エース今村を助ける二番手育成にこの春は力を注いだが、その成果はいまひとつ。やはり今村頼りなのは間違いない。しかし、今村は難攻不落の全国屈指の右腕。まともにいったのでは、県内では勝負にならないだろう。スキを突くのはどこか。まずその1番手には、長年のライバル、波佐見が名乗りを上げる。清峰抜きの春の県大会はダントツで制し、県内では清峰以外にはライバルはなし。強力打線は足もあり、ひょっとしたら清峰以上の得点力を持つかもしれない。佐世保実も攻守に力を持ち、波乱を演出する主役に躍り出たいところ。長崎日大までを候補に上げておく。
【熊本】
◎ 熊本工 ○ ルーテル学院 △ 九州学院 ▲ 秀岳館
熊本工の戦略は明白だ。『夏一本に賭ける』。その戦略が、徐々に日の目を見てきた。春は4強止まりだが、2年生左腕・月田を使い続け、何とか夏に一本立ちさせることに成功。3本柱が完成した。春優勝でレッド旋風を巻き起こしたルーテル学院ももちろん有力候補だ。酒井-井川の140キロコンビのつなぎは脅威。打線が火を噴けば、初の夏も見えてくる。九州学院は、素材の良さでは県内屈指。やや精度が低い守備を整備できるのかどうかが課題。秀岳館は、秋春連続で決勝進出と今年の熊本県内では主役の座を占めてきた。当然夏もその座を譲る気配はない。
【大分】
◎ 明豊 ○ 別府青山 △ 日田林工 ▲ 大分
優勝候補として乗り込んだ選抜で悔しい負け方をした明豊が、夏にリベンジを果たすのか。その戦力は県内ではダントツ。今宮・野口の両投手の安定感は抜群。打線はもとより九州一。県予選を勝ち抜けば甲子園でも”候補”に躍り出るのは間違いない。春優勝の別府青山は、技巧派・遠嶋の出来にかかる。打線が迫力不足のため、守って守っての戦いにならざるを得ないが、切れなければ”大金星”も。昨年出場の日田林工も戦力は充実。春秋ともに8強入りした大分も、おもしろい戦力だ。
【宮崎】
◎ 日南学園 ○ 日章学園 △ 宮崎日大 ▲ 都城商
この1年での実績で見れば宮崎日大、日章学園、都城商らの名前があがるが、あえて日南学園の意地にかけて本命に推す。とにかく素材のいい選手が多い中で、素質に頼った野球を展開するため、はまった時はとてつもない力を発揮するが、ともすれば淡白になりがちな野球になることもあるが、悔しさを知る今年のチームは、何とか結果を出そうともがいている感じがする。こういうときの日南は恐い。日章学園、宮崎日大、都城商の3チームは、それぞれなかなかの戦力を持つが、決め手がないのが実情。夏に期待の各チームだ。
【鹿児島】
◎ 神村学園 ○ 鹿児島実 △ 樟南 ▲ 鹿児島工
選抜出場の神村学園がまずはリードしているが、4強はほとんど差がない戦力で、どこがきてもおかしくはない。神村は、左腕の小池の成長が著しい。打線もスラッガー大畑中心にパンチ力がある。鹿児島実は、例年夏は要注意の戦力に仕上げてくる。今年も例年通り戦力アップしてきた。昨夏の経験者が要所を占めており、チームの骨格は太いものがある。樟南もエース空地に安定感が出てきた。鹿児島工は、離脱中のエース吉崎の復活度合いによるか。いずれにしても、投手陣の出来がカギを握る大会になるであろう。
【沖縄】
◎ 興南 ○ 中部商 △ 八重山商工 ▲ 浦添工
選抜で19三振を奪い、前半戦の話題を独り占めした興南のエース島袋は、夏に向けてまたパワーアップ。どのチームも打線が急上昇してくる厳しい沖縄の夏だが、どうやら乗り切れる陣容になってきた。3年生の石川の復調も心強い。春優勝の中部商が鋭く追いかける。根間・比嘉一の投手陣の充実度が目を引く。八重山商工も、あの大嶺の弟、大嶺翔が投打の柱。県外留学生も増え、しっかりとした戦力になりつつある。昨年から県内の話題を独り占めしてきた運天を擁する浦添工も狙うは甲子園のみ。その他でも、沖縄水産、宮古などもダークホース的存在。昨年春の選抜で沖縄2度目の全国制覇を達成した沖縄尚学は、残念ながら初戦で敗退。甲子園への夢は来年に持ち越しとなった。
(6月20日開幕)
≪了≫