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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

選抜出場校 こんなこと思い出してしまいました2021 その4

2021年02月07日 | 高校野球

第4回は、
今年も優勝候補を複数かかえる近畿。
ゴリゴリの大本命、大阪桐蔭の戦いぶりに注目です。


≪選抜出場校の思い出4≫

近畿代表   智弁学園(奈良)   14度目(2年連続)  優勝1回
                  夏19度出場 甲子園通算 35勝30敗    

最近は殻を破り「さらに一歩進んだ強豪校」として、甲子園に出場すれば優勝候補に挙がるチームを作り続ける智弁学園。野球の歴史は古く、昭和50年代、高嶋監督で選抜に出場してから、その本格的な歴史が始まるといっていいかもしれません。ワタシはこのチームを76年の選抜初出場時から見ていますが、最初の2年間(76年、77年)のチームがセンセーショナルだっただけに、その後甲子園に出ては来るものの、どうも殻を破ることができないその戦いぶりに、もどかしさを感じていました。少しだけ輝いたのは95年夏の準々決勝で、福留を中心にものすごい強さを誇ったPLを破った試合ぐらいと思っていたので、16年の選抜で突如村上投手を擁して優勝を飾ったのには本当にびっくりしました。前評判では優勝候補にも挙がっていなかったのに、ワタシの智弁学園のイメージを根底から崩すようなロースコアで粘りに粘り、接戦で勝ち切る野球は鮮やかな印象を残しました。「結局勝ち切れない」というイメージを持っていたワタシ、決勝で校歌を歌うナインを映し出した画面に向かって最敬礼をしてしまいましたね。さて、今年はそう言った戦いをできるのか。ライバル天理も、昨年同様、選抜アベック出場を決めています。使い古された言葉ですが、「ライバルより先に帰るのだけはゴメン」の意気で、近畿チャンピオンとして選抜で2度目のVを狙います。


昨年の記事 ⇒

智弁学園についても、思い出は前回までで書き尽くしているので、もう語ることも残っていません。小坂監督が就任して脂がのってきたころから、智弁の野球は確かに変わったという気がしています。なにかこう、バタバタしなくなったというか、どっしり構えて相手をよく見て戦っている感じを受けます。昨夏は残念ながら初戦で姿を消しましたが、その前まで小坂監督指揮の下では、10回の出場で9回初戦突破を達成するほど、見事な戦いぶりを見せています。かつての甲子園初戦6連敗のころも知っているだけに、「強くなったなあ」というのが正直な感想です。今年もまた、波に乗れば頂点まで駆け上がる力を持つといわれている好チーム。近畿のほかのチーム・・・・いや、ライバルの天理より早く甲子園を去るわけにはいかないと、気合も入っていることでしょう。


前回の記事 ⇒

一昨年念願の初優勝を飾った智弁学園が、今年も3年連続で甲子園後に帰ってきます。このところライバル・天理を実績でも力でも上回っていると見られていた智弁学園ですが、昨夏は天理が意地の巻き返し。甲子園でも見事な戦いぶりで4強まで駆け上がり、復活を全国に強烈にアピールしました。智弁学園は、一昨年の選抜優勝の後、力はありながら悔しい試合が甲子園でも奈良県大会でも続いています。今年のチームは、過去数年と比較すると力的には上回るとは言えないという評価ですが、そういう評価の時に帰って力を出すのがライバル・天理の野球。智弁学園にとって、後れを取っているわけにはいきません。そういう意味で、智弁にとっては非常に大事な選抜になりそうです。勢いに乗れば上位進出の可能性は十分。思い出については、昨年の記事をどうぞ。

https://blog.goo.ne.jp/angeldad/e/33a300aef5cdc428c720367957128a34

 

近畿代表  大阪桐蔭(大阪)      12度目(2年連続) 優勝 3回
                    夏10度出場  優勝 5回  甲子園通算63勝12敗 

まあもう、大阪桐蔭について書くことなんて、まったくありません。今年もドラフト候補がずらっと並ぶ才能の宝庫のようなナインが、名指揮官の下、甲子園をまるでわが庭かのように駆け巡る野球を目にすることができるということです。高校野球ファンとして、いつも思うのは「今の大阪桐蔭と、全盛期のPL,果たしてどっちが強いんだろうか」ということですね。いつでもどこでも、こういう時代をまたいだ「最強はどこだ」という論争は、どの競技でもやむことがありません。まさにこれこそが「ファンのお楽しみ」でもあるわけですからね。『今…』派は、「今の野球のほうが進化しているし、球速やらスイングスピードなどの絶対値においては、比較にならん」と言うでしょうし、『昔…』派は、「昔のほうが野球のレベル自体が高かった。やっている人数自体も段違いだし」と若干美化された記憶を手繰り寄せ、言うことでしょう。。。。しかしこの論争、どこまで行っても決着がつくことなど、あるはずがありません。だって、しょせんは同じ土俵で比較しているわけではないんですから。。。。。一つだけ言えることとしては、「昔のPLも、今の大阪桐蔭も、どっちも他校から恐れられ、リスペクトされ、ほとんど甲子園で負けることのないチームだ」ということですね。さあ、今年も大阪桐蔭が、涼しい顔をして優勝旗をその手中に収めるのでしょうか。はっきり言います。今年の大会も、大阪桐蔭vs他の31校 という図式だけは、変わらないということです。


昨年の記事 ⇒

2年ぶりの大阪桐蔭の登場です。前回この記事を書いた時から、2度の優勝、11勝を積み重ねて重ねた優勝回数が春夏8度。通算勝利も63勝となって、まさにこの世の春を謳歌する『高校野球の盟主』そのものの学校です。高度情報化社会の今、インサイド情報をも手にした有力な中学生たちは、まさに我も我もと大阪桐蔭にはせ参じ、草木もなびくという状態になっていると聞き及びますので、この流れはしばらく続いていくと思います。萩原を皮切りに、中村剛、西岡、平田、辻内から中田、浅村、藤浪、森、そして根尾に藤原。。。。どれだけのプロ野球に名を残すスーパープレーヤーたちがここから旅立っていったことでしょうか。まさにチーム作り、人づくりに長けた名将・西谷監督はどこまでこのチームを高みにまで引き上げることでしょうか。今年もどんなチームが出来上がってくるのか。高校サッカーに青森山田ありだったら、高校野球には大阪桐蔭あり。そんな存在のチームですね。


前回の記事 ⇒

さあ、連覇を狙う大阪桐蔭の登場です。
昨年も一昨年も記事を書きましたので、思い出はそちらをご参照ください。
今年のチームは、昨年全国制覇を成し遂げたチームやこれまでの全国制覇のチーム以上の戦力と言われ、秋のドラフト指名候補が1位候補3,4人を含み5,6人もいて、【高校野球史上最高】とまで言われる陣容を誇ります。さて、どんな戦いぶりを見せるのか。とても楽しみですね。

昨年の記事⇒https://blog.goo.ne.jp/angeldad/e/025ae8447f2f17fe17754ff36d2552aa



近畿代表   市和歌山(和歌山)    7度目(2年ぶり)
                    夏5度出場 甲子園通算 13勝11敗   

和歌山というところ。戦前からのまさに野球どころ。愛知、岐阜と並び「野球どころ」戦前は関西の中でも突出して戦績を残してきた県です。温暖な気候に恵まれていたということが一つの要因なのでしょうが、それはすさまじい戦績だということが記録を見るとわかります。高校野球(中等野球)創成期には和歌山中(現桐蔭)が、その後海草中(現向陽)が席巻し何度も全国制覇を達成します。戦後新宮などが県高校野球界を引っ張る時期があり、70年代からは箕島の時代に。そして昭和の時代の最後からは智辯和歌山の時代になり今に至るというのが和歌山県の高校野球の歴史だと思います。箕島の時代あたりからワタシは高校野球を見始めているのですが、和歌山の伝統校という中に二つの商業高校(県和商、市和商)の名前をよく目にしました。その頃70年代~80年代にかけ、この伝統の二つの商業高校は、県和商も市和商も甲子園でその姿を見ることはない、ワタシにとっては「まだ見ぬ伝統・強豪校」という学校でした。両校ともに多数のプロ野球選手を輩出しているところからも野球力の高さを感じることはできますが、何しろ和歌山では「時代を作った」学校が甲子園に出続けるという伝統(?)みたいなものもあり、なかなか甲子園の土を踏むには至らなかったというのがワタシの印象です。特に市和商は、子供のころにあこがれた阪神の藤田平を生んだ学校ということもあり、特別感は確かにありましたね。初めて市和商の姿を甲子園で見たのは94年の夏の大会。もうワタシも、子供時代を通り越しておっさんへまっしぐらのころでした。それからは04年の玉置投手、05年の川端選手(ヤクルト)らプロ入りする選手を擁しての甲子園出場を果たすようになりましたが、同時期の智辯和歌山のまばゆいばかりの甲子園戦績と比較すると、正直少し地味かなと感じることが多かったように思います。そして14年の選手権初戦、12回裏の守りで、サヨナラのランナーがホームに還るのにファーストに投げてしまった悲劇の結末のことは、忘れられません。
さて、2年ぶりの出場となった今年。大会NO1ともいわれる剛腕・小園を擁して、勝負に行く大会として出場します。秋の大会でライバル・智辯和歌山を小園が3連破。自信をもって挑むこの大会、ひょっとして、市和歌山の歴史を変える大会となるかもしれません。高校野球を特に熱く応援することで定評のある和歌山県のファンが、新たな優勝校の出現に沸く大会になるかもしれません。



前回の記事 ⇒

今回の選抜出場校の選考で、最も驚かされたのは関東・東京の6番目、盤石だろうと思われていた東海大菅生が外れて横浜が選出されたというもの。そして同時に驚いたのが、近畿6校目に選出された市和歌山でした。何しろ優勝した龍谷大平安と接戦をしたというのが評価されたようですね。両校ともにまんじりともしない数か月を過ごしてきたと思うので、春の陽気の下その思いを思いっきりぶつけて戦ってほしいですね。近畿はかつては7校、現在は6校が一般枠として選考されますが、秋の近畿大会準々決勝敗退組の4校から選出されることが多く、強豪同士の対決で敗れた5校目、6校目が選抜で大活躍するという事も、多々あります。00年には秋の近畿大会初戦敗退だったものの選出された智辯和歌山が大ブレークして選抜準優勝、続く選手権優勝に輝いたという例もあります。一方関東・東京の6校目。かつては関東で5校選出されていたこともあって、その頃は「関東の5校目」というのが選抜のジョーカーになっていたという事もありました。「4強に残れなかったチームたちの最後のイス」ということで、その頃は「それ以外で最も強いチーム」が先行されることが多く、それゆえ「関東の最後の枠は気をつけろ」ってなことが言われていたこともありました。そんな「最後尾から一気」という、競馬を見ていてももっともコーフンする展開を演出してくれるチームになってもらうと、選抜も盛り上がります。何しろ選抜は、『無印良品』を見つけるのが楽しい大会というのが、大会を楽しむポイントになっているような気もしますからね。という事で、市和歌山も秋に見せたようなしぶとい戦いで、頑張ってほしいと思っています。

 

近畿代表   京都国際(京都)     初出場
                    夏出場なし

最近めっきりと京都の中で力をつけてきた京都国際。龍谷大平安をはじめとして、福知山成美、立命館宇治、京都翔栄、京都成章、京都外大西、乙訓、鳥羽、東山など挙げればきりがないほど有力校がひしめく古都の高校野球界ですが、京都国際が初めて選抜の切符をつかみ取りました。ここ数年顕著に実力を伸ばしている学校で、いったいどんなチームだろうと思っていましたが、初めて夢の舞台でチームを披露することになりました。京都の新顔も、京都西(現京都外大西)、北嵯峨などをはじめ、甲子園でいい戦いをするチームが多いように思われます。さすがは強豪集う近畿のから出てきただけはある、とうならされることも多いのですが、この京都国際はどんな戦いを見せてくれるのでしょうか。



近畿代表   神戸国際大付属(兵庫)    5度目(4年ぶり)
                      夏2度出場 甲子園通算 4勝6敗   

出てきましたね、”プロレス監督”青木監督が気合で鍛え上げた神戸国際大付。前回も書きましたが、ワタシの中ではこの学校、何回も何回も甲子園に登場しているような感覚を持っている強豪校です。青木監督もなんだか応援したくなってしまうキャラを持つ監督ですし、青とクリーム色の鮮やかなユニフォームもまた、印象に残ります。「強いんだけど、なかなか出てこられない」ということでいうと、東京の二松学舎などにも似ている感じですかね。両校ともに、最近はたびたび甲子園に登場してきていますけれど。前回17年夏の初出場時に甲子園で見せた戦いには、強く惹かれるものがありましたね。初戦の北海戦で6-5と逆転勝ちを収めると、2回戦では天理に対して延長を戦い1-2で惜敗。そういえば神戸国際、過去4大会で敗れた試合は2-3,1-2,1-2,1-2とロースコアの接戦ばかり。打ち合いになれば強いんだけど、しのぎあいでしのぎ切れずに悔し涙を流す「歴史」がありますね。このあたり、ここらでガーンと打ち壊していっちゃってほしいです。おしゃれな「神戸」の根性野球。期待していますよ。


前回の記事 ⇒

神戸国際大付属というと、ワタシの中のイメージは『強豪校』。記録を改めて見てみて、かえってびっくりしました。『えっ これだけしか甲子園に出ていないの?!しかも勝ったのは、あの選抜の1大会だけ!!』
それだけこの神戸国際大付属は、活躍したというイメージがワタシの頭の中にはこびりついています。その大会とは、05年の選抜。その前の01年の選抜に、坂口投手(ヤクルト)を擁して初出場を飾ってはいますが、さほど印象に残る活躍をしたというイメージはなかった神戸国際大付属ですが、この選抜では印象に残る活躍をしました。前年の秋季大会の成績から、優勝候補の一角に上げられていたこの大会、初戦で甲府工業に逆転勝ちをして波に乗ったチームは、2回戦で前年夏の覇者、あの駒大苫小牧と対戦しました。この試合、ワタシは『互角の対戦になる』と踏んでいましたが、試合は一方的。神戸国際大付属の大西投手。それはそれは見事なピッチングで、あの駒大苫小牧の打線を、わずか1安打で完封したんですね。前年夏に数々の好投手を完膚なきまでに粉砕したあの駒苫打線が、大西投手にはまさに手玉に取られ続けて、試合は4-0でしたが、内容はそれよりもずっと一方的なものに感じました。ちなみのこの試合で、駒苫の田中マー君、甲子園初登板を飾っています。この試合を見てワタシ、『神戸国際大付属・・・・・強え~~~~』が刷り込まれてしまいました。そしてそのイメージは、次の試合でさらに濃くなります。次の試合は、この大会で話題をさらった慶應。激戦を勝ち抜いてここまで勝ち上がってきた慶応を、神戸国際大付属は『役者が違うんだよ!』とばかりに15-1で粉砕。慶応のファンを、夢から現実に引き戻す役割を果たしました。そこでワタシ、『神戸国際大付属、恐ろしいばかりに強え~~~~』が再度刷り込まれました。そしてこの大会の4強が出そろったのですが、ワタシは『神戸国際大付属が優勝するに、決まってんじゃん』なんて予想を立てていました。この準決勝、確か平日だったためか、ワタシは観戦しておらず、あとから結果だけを聞いて驚きました。愛工大名電が神戸国際大付属を破った。。。。。。そんなことが。。。。。。そんな感じでしたかね。頼みの大西投手が愛工大名電の足攻にやられて、打線は2番手の十亀に抑え込まれたようですね。確か後からビデオは見ているはずなのですが、まったく覚えがありません。ちなみに第2試合では、初出場の神村学園がエース野上の好投で決勝進出を果たしています。振り返ってみると、現在西武で『ダメダメ先発投手陣』の中で期待を裏切ることの多い二人が、並び立っているんですね。。。。。なんだか感慨深い(?)大会です。。
神戸国際大付属が負けるということが、それまでの完璧な戦いぶりから何だかイメージできなかったため、本当に驚いた記憶があります。トーナメントの大会ですから、どんな強豪校にも、1大会で1試合ぐらいは、なんだかエアポケットに入ってしまったような戦いというのが必ずあるのですが、この準決勝はそんな感じだったのでしょうね。『優勝しなきゃ、おかしいよ!』というぐらい、充実した戦力を持ついいチームだったという印象しかありません。しかしその後、大阪桐蔭のようになってもおかしくないチームと見ていた神戸国際大付属は、なかなか甲子園の土を踏むことはありませんでした。夏の県大会や秋の近畿大会の結果を見ていると、いつもいつも、ギリギリのところでやられてしまうことが多いチームとなって、その存在感を発揮することができていません。ようやく悲願の初出場を果たした2014年の選手権でも、力は上回っていたはずが、甲子園慣れしている聖光学院にうまく試合を進められて敗れ去りました。この試合を観戦していたワタシは神戸国際大付属について、『ああ、こんな感じでいつもやられているのかな?』と思って、妙に腑に落ちる思いがしたのを覚えています。
ワタシにとって『永遠の強豪校』として脳裏に刻み込まれている神戸国際大付属。この選抜は、あの春のように、強い姿で甲子園に帰ってきてくれたのでしょうか。思い入れのあるチームなので、がんばってほしいと思っています。



近畿代表   天理(奈良)   25度目(2年連続)   優勝1回
                夏28度出場  優勝2回  甲子園通算 75勝48敗  

昨年は、秋の近畿大会を制して勇躍選抜に登場してきた天理でしたが、大会が行われずに悔しさばかりが残ってしまいました。夏は独自大会こそ制したものの、甲子園交流試合では広島新庄にまさかの惜敗。何か燃えきれないものが残ったシーズンとなってしまいました。今年も大型選手が残り期待されて秋を迎え、県大会ではライバルの智弁学園を一蹴。「今年も天理は強いぞ」といわれ近畿大会に突入しましたが、準々決勝で大阪桐蔭に一方的に打ち込まれてコールド負け。「近畿6番手か7番手」という評価の中、選抜出場が微妙となって苦しい冬を過ごしました。しかし1月29日、近畿最後の枠で出場権を何とか勝ち取り、捲土重来を期して春の選抜は「狙いに行く」大会になりそうです。秋に敗れた大阪桐蔭へのリベンジももくろんでいることでしょう。去年の秋には、天理を2度全国制覇に導いた橋本元監督が逝去。その弔い合戦となるこの選抜は、天理にとっても特別な大会になると思います。中村監督は初優勝の時の橋本監督の教え子。監督ー主将という濃密な間柄で、橋本イズムを受け継ぐ人物です。心に期するものもあるでしょう。「大型だが粗い」といわれた天理が、橋本監督時代にはその粗さが取り払われて豪快さだけを残した「完成形のチーム」に仕上がり、5年の間に2回の全国制覇を達成したのは、本当に橋本監督の功績が大きいでしょう。それまでは長いこと、どうしても「全国3勝」の壁が破れずに悔し涙に暮れていた天理の姿を知っているだけに、初優勝時の喜びには感慨深いものがありました。「当時から全国一美しい音色を響かせるアルプススタンド」といわれていたブラスバンドからの歓喜の音色も、忘れることはできません。今年もまた、橋本監督の有名なフレーズである「ぼちぼちいこか」で後半に反撃を開始する天理の姿が、甲子園で見られるでしょうか。


昨年の記事 ⇒ 

天理が5年ぶりに選抜に帰ってきます。バイオレットのユニフォームに身を包み、『♪見よ空高く輝く光~』と歌い上げる校歌が天高くとどろき、幾多の名勝負を演出してきた学校です。奈良県ではライバルの智弁学園と長らく覇を競い合ってきましたが、ずっと「天理がNo1で智弁がNo2」という序列は変わることがありませんでした。しかし近年は天理が出場の自粛などを余儀なくされている間にライバルの智弁学園がグイッと力を伸ばし、その序列は逆転したかとみられることも多くなってきました。ライバルの智弁学園も数年前には全国制覇を達成。奈良では天理だけが持っていた勲章は、ライバルにもあるぞ・・・・そんな情勢で、しかも近年は2強で独占していた夏の出場も追いかけてくる新興勢力の急伸で揺らぎ始めています。ある意味そんな「追われるものの苦しさ」を十分に味わいながらの戦いとなり甲子園の出場もまばらになってきていましたが、昨秋の大会で県大会3位からの見事なまくりで近畿大会を制覇。履正社、大阪桐蔭という大阪、いや全国の2強を破っての栄冠だけに、久しぶりに天理の甲子園での大ブレークが期待されています。
天理の黄金時代と言えばいつなのか。思い出すのは2度の全国制覇を成し遂げた80年代後半~90年代にかけてがまず思い出されます。86年の制覇の時は主砲が現監督の中村、エースがひじの痛みを推して投げ続け栄冠に導いた本橋でした。本橋は準決勝ぐらいからは本当に辛そうで、現在の基準ではマウンドに上がることはできなかったと思いますが、その当時はこれが「本当のエースだ」と持ち上げられる時代。そのため投手生命を半ば絶たれる形になってしまいましたが、その時は「なんてすごい投手なんだろうか」とワタシも感動して見ていました。90年の2度目の優勝の時のエースは日ハムに入団したジャンボ南投手。この時はそれまでの天理によく見られた、大型チームにありがちな”強さに同居する脆さ”というものをほとんど見せずに優勝まで完璧に駆け上がったというイメージがありますね。決勝は沖縄水産との戦いで、自慢の打線が相手エースにほぼ完ぺきに抑え込まれる中、南が熱闘を続けそれをバックが堅い守備で守り切っての1-0での勝利。「天理らしからぬ」スモールベースボールでの勝利でした。この2度の栄冠+97年センバツの優勝という3度の輝かしい全国制覇がありますが、ワタシが一番印象に残っているのは、鈴木康、鈴木喜らの強力打線と”ジャンボマックス”佐藤や福家投手などの超大型投手を揃えて「力で押し切る野球」を推進していた時の天理ですね。とにかく選手が大型で、何か対戦相手よりも一回り大きな選手ばかりがそろっていて、おおざっぱではあったけど魅力あふれる野球を展開していたチームという印象が、どうしても抜けません。もちろん上でちょっと触れたような「脆さ」も同居していたのですが、子供心に野球の楽しさを教えてもらったような気のするチームでした。80年代~90年代の洗練された『黄金期の野球』からまた、近年は「大型チームの天理」に戻った野球をやっているような気がして、それはそれでワタシは楽しいのですけどね。それから忘れてはいけないのが、天理が元祖と言ってもいい、「ブラバンで魅せるアルプス」のチームだということ。「ワッショイ」や「ファンファーレ」は、今に続く高校野球の定番ですのでそれもお忘れなく。


(つづく)


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