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カカナル・BL・弱ペダ(坂道総受け)等自分の萌えを徒然のままに。BLや同人等に嫌悪感を持つ方は、ご遠慮下さい。

【君に出逢えた喜びを】(ジラナル)

2008年10月10日 | SS
ナルト誕生日祝いですが、自来也×ナルトなので、ご注意ください!!




今日―十月十日は、『うずまきナルト』が生まれた日。
同時に、木の葉の里が壊滅寸前まで追いやった九尾の狐が
『うずまきナルト』の腹に封印された日。


誰もが黒い服に身を包み、亡くなった大切な人たちを悼み、哀しむ。
また、九尾の狐が封印され、里に平和が戻って来たと喜びを分かち合う。
アンバランスな二つの気持ちが入り混じり、不思議な雰囲気をかもしだす。
この日、木の葉の隠れ里は一色に染まる。



―そして、この日は『うずまきナルト』が全ての人の前から姿を消す日。





――― 君と出逢えた喜びを… ―――





「ったく……。ナルトのヤツは、どこに行ったんだか…。」
見た目は、ただの白髪のデカイオッサン。
大柄で豪快に歩く姿は、なぜか人々の目を惹きつける。

しかし、そんな視線は無視し、辺りをキョロキョロと見回す男―
かつて、木の葉で伝説と謳われた“天才忍者・三忍”の一人、自来也は、
さきほどから、金色に輝く太陽のような子どもを捜していた。





今日は、あの太陽のような子ども―『うずまきナルト』の誕生日。
せっかく祝ってやろうと思ったのにも関わらず、
ナルトの姿はどこにも、見当たらない。

ドベなナルトは、いつもだったら、すぐに見つけられるのに…。
というか、ナルトのヤツは、世界中の誰にも負けないくらいの存在感。
そして、誰よりも優しく愛されるべき子ども。
―九尾の狐が、封印されなければ……。




ナルトの誕生日であり、里の慰霊祭でもあるこの日に限っては、
気配すら感じない。
存在そのものをナルトのヤツは、自分で消し去ってしまう……。
今は亡き三代目から聞いた時は、そんな馬鹿な!と思った。


ナルトのヤツは、あの四代目の忘れ形見。
里を守って死んでいった奴は、ナルトの幸せだけを願った。
当然、ワシもナルトが英雄として扱われて、幸せでいると思った。
三代目から話を聞いた時も、三代目はワシをからかっているに、
過ぎないのだ……そう思っていた。
この里に帰ってきて、ナルトと里の人間の関係を見るまでは……。






ナルトを捜しながら、ナルトのことをずっと考えていた。
すると、前方から見知った忍が小さなガキと一緒に歩いてくるのが見えた。


「よぅ、エビス。久しぶりじゃな。お前、ナルトを見なかったか?」
「今日は、自来也様。ご無沙汰しております。ナルト君ですか…?
 いえ、見かけておりませんが。」
「ナルトにいちゃんが、どうしたコレ?」
ワシの質問にエビスは、眼鏡を手で上げながら答えた。
たしか…木の葉丸という名の三代目の孫が、
『ナルト』という言葉に反応して、勢いよく質問してきた。

「いや。ちょっとナルトに“伝えたい言葉”があるから、
 捜しているだけじゃのぅ。」
「“伝えたい言葉”ですか…?」
ワシの言葉を聞いたエビスは、言葉の裏にある意味に気づいたのか、
苦虫を噛んだような、歪んだ顔をした。


「それよりも、お前らは、どこかに行く途中じゃなかったのかのぅ。」
「あぁ!!木の葉丸さま、私たちは急がないと、式典に間に合いませんよ!
 じゃあ、自来也様。失礼致します。」
そういうや否や、エビスは、まだまだ質問したそうな木の葉丸を
引きずって、足早に去っていった。



エビスとその連れの子どもを見送ったワシは、
意地っ張りのくせに、寂しがり屋なあの子どもがいる
心当たりの場所を目指し、歩き始めた…。





*       *       *





普段でさえ、あまり人が近づかない木の葉の里にある森。
さらに、今日は里の中心で、慰霊祭が行われている関係で、
必ず一人くらいはいるはずの人の姿も見えず、
気配すら感じられず、ひっそりと静まり返っている。


そんな森の、ずっと奥深い場所。
いつもは、明るく元気でキラキラと輝く太陽そのもの子ども―
『うずまきナルト』が一人、ぽつんっと膝を抱えながら座っていた。

外部からの接触を拒むように
空や海のように澄んだ青色の瞳は、今は固く閉じらている。
ナルトの存在も、その気配も今日は、周りの空気と溶け込み、
ゆらゆらと揺れる陽炎のようなに頼りない。


―大丈夫だってば。今日一日だけ、ここにいれば良いんだってば。
―みんなに会わないで今日が早く終わっちゃえば良いのに……。
―また明日からは、普段と変わらない一日だってば。
―大丈夫、大丈夫……。


呪文のように「大丈夫」を繰り返す。
それでも、時々、切なさが込み上げてくるのか、
閉じられたまぶたから、一筋の涙が零れる。
その涙を隠すように、いっそう自分の身体を小さく抱え込んだ……。














「……お前、こんなトコにおったかのぉ。色んな所を捜し回ったぞ。」

ナルトがずっと幼く、ワシが里を出て行く前の頃、
ナルトは今と同じように、この森の奥に一人隠れていた。
もしかして……と思ってきてみれば、案の定―。
昔と変わらず、一人膝を抱えて座っていた。


少しの間、呆然としていたナルトだったが、
自分の目の前にワシが現れたことを理解すると、慌てて逃げようとした。


「コォラッ!何をまた逃げようとしてるんじゃ。」
「う、うるさいってばよ!
 なんで、エロ仙人がこんなトコにいるんだってばよ!
 オレのことなんか、ほっとけっててばよ!!」
逃げようとするナルトを逃がさないようにその細い腕を掴んで、
その場に止まらせた。
それに対して、ナルトは、何としてでも逃げようとするかのように
腕を振り回し、めちゃくちゃに暴れた。






「ナルト、いい加減にしろ!」
大きな怒鳴り声に、ナルトは一瞬、びくっと身体を震わせ、
暴れていた動作をピタッと止めた。


その隙を見逃さず、ワシはしゃがみこんで、
ナルトを後ろから抱き寄せると、そっと右手をナルトの頭に回し、
けれども、有無を言わせずに、自分のもとへと引き寄せた。

「ちょっ……んっ…ふぅ……。」
まず、マシュマロのような柔らかい唇に自分の唇をあて、
その感触を楽しんだ後。
今度は、息を吸うために開かれた小さな入り口から
優しく自来也の舌は入り込み、ナルトの口腔を犯す。


―ナルトを黙らせるためだけだったのにのぅ……。
自嘲気味に笑いながら、それでも口腔から伝わる子どもの
愛おしい体温と欲情をそそって仕方がない表情に
口づけを深めることを止めることができずに続けた……。




「んぅ…んんっ……。」
自来也の舌は、ナルトの口腔を縦横無尽に動く。
歯茎の後ろや口蓋などを、円を描くように舐めていき、
ナルトの口舌を思う存分、貪る。




自来也に与えられる快楽にナルトは、ガクガクと足が震える。
とても深く何かも奪いつくすような口づけに、
ナルトは自分の力では立っていられないほどだった。

自分を抱きしめている自来也の服をぎゅっと握りしめ、
ナルトは、いつしか、おずおずと自分からも
自来也の舌に自分の舌を絡めていた……。






自来也がナルトから、唇を離すと
お互いの舌と舌を繋ぐように、透明な糸がぴーんと張った。
そして、二人のどちらとも言えない唾液が
ナルトの口の横から溢れていった。
溢れた唾液は、まぁるい頬をなぞり、
折れてしまいそうなナルトの細い首へと伝っていった……。



「ちと、やりすぎたのかのぅ……。」
足腰の立たなくなったナルトを支えながら
苦笑して自来也は言った。

支えられているナルトといえば……
青い瞳を潤ませ、まぁるい頬と目元を桃色に染めている。
今だに快楽の狭間を彷徨っているのか、
その視線は定まらずに、ぼーっとしたままである。
口の横から零れる唾液を拭うことも出来ずに
はぁはぁ……と息を弾ませている。










自来也は、どっしりと地面に腰を下ろした。
ナルトの息が整い、正気を取り戻すまで
自分の膝の上に、ナルトを乗せ、優しく抱きしめていた。
さっき口から溢れてそのままになっている唾液を
そっと親指に拭いさった。
そして、ナルト自身に言い聞かせるように
耳朶に唇を近づけさせ、言葉を紡いだ。


「今日という日は、『うずまきナルト』が生まれた大事な日だ。
 お前は小さくて覚えとらんがもしれないが……
 そりゃあ、お前が生まれた日は、皆が祝ったのぅ。
 あの三代目も顔をくしゃくしゃにして笑っておったぞ。
 綱手に至っては、わんわん泣いておったなぁ…。」

「……綱手のばぁちゃんが泣いていたんだってば?」
やっと、息も整ったのか、少し恥ずかしげに
頬を赤く染めながら、潤んだ瞳を上目遣いにして
ワシをじっと見つめた。

「そうじゃ、あの綱手が泣いておったぞ。」
「じゃあ、エロ仙人は…」
「ナルト~。ワシと二人きりの時は、何て呼び合うのだったかのぅ。
 ナルトが呼ばないと、ワシはぁ悲しくて涙が出るのぉ…。」
ナルトの瞳を覗きこみながら、意地の悪い笑顔を浮かべて
ワシは、ナルトにほのめかした。
ワシの言葉を聞いたナルトは、顔だけじゃなく耳までも
熟れたトマトのように真っ赤にして、俯いてしまった。


そして、しばらく経った後、小さな声で
「じ、自来也は、オレが生まれた時は、どうだったんだってば?」
と呟くように囁いた。


―どんなに小さな声にしたって、忍のワシには聞こえるし、それが、
 ナルトの声ならば、絶対に聞き漏らすことなんてないのにのぅ…

そんなナルトを可愛いと思って笑ってしまうと後々が怖いから、
今は必死に我慢して、ナルトの質問に答えてやる。


「ワシは、お前が生まれた時は、こんな小さな身体なのに、
 生きるために必死で泣く、お前の姿に驚いたのぅ。
 そして、一生懸命生きているお前の存在が、愛おしかった。
 紅葉のような小さな手で、お前はしっかりと
 ワシの指を握って、きゃっきゃっと笑ったんだぞ。
 その笑顔が、また堪らなく、可愛くてなぁ…。」
「可愛いっていうなっ!」

「可愛い」という言葉には、まぁるい頬をぷくぅと膨らませ、
抗議したが、ワシの言葉が少しは届いて、嬉しいと思ったのか、
すぐに頬の膨らみは取れ、今は、はにかんだ笑みを浮かべている。


ナルトにワシの想いがストレートに届くように、自分の気持ちを
そのままに言葉に乗せて、ナルトの耳元で囁き続けた。





「久しぶりに逢ったお前は、ドタバタしてるし、
 せっかく教えているのに、“口寄せの術”もできんでのぅ…。」
「う、うるさいやい!」
「でも、お前は『火影』という夢に向って、
 真っ直ぐに自分の忍道を曲げずに突き進んでおった…。」
初めは、軽い口調だったのに、真剣な口調になったワシの言葉に
ナルトは、静かに耳を傾けた。
「そんなナルト……お前だったからこそ、ワシはお前が
 誰よりも大切で、お前が生まれた今日という日に感謝しておるんだ。」
だんだんとナルトは、小刻みに身体を震わせていた。

「それに、お前が大切なのは、ワシがお前を愛しておるからのぉ…。
 だから、お前は胸を張って、『うずまきナルト』として
 真っ直ぐに進んで行けば良いんだぞ。ワシはそんなお前の傍で、
 ずっとお前のことを見守り続け、お前と共に歩んで行く。
 お前と出逢っていなければ、ワシはこんなに幸せな気持ちに
 なれんかったのぉ……。ナルト、生まれてきてくれて、ありがとう。
 そして、誕生日、おめでとう…。」
「…ふぇ…じ、自来也ぁ~……ふぇーん…」
いつも我慢して泣かないナルトが、とうとう声を上げて泣いた。
ナルトは、ワシの膝の上から、飛びつくようにして
ワシの首に手を回し、顔を埋めた。


そんなナルトを、我慢から開放した喜びと、
こんなになるまで、我慢し続けたナルトの境遇の悲しさを想って
優しく髪の毛を撫でた。


二人を包み込むように、優しい秋の風が吹いていった……。








君と出逢えたことで、ワシは“幸せ”を知った。
愛する君が隣いて、お互いが笑い合う―そんな幸せ。

未来は、どうなるのか、わからないけれども
これからも、ずっと君の傍にいよう。
そして、季節が巡って、君の誕生日が来るたびに
ワシは祝い続けよう。いつまでも、いつまでも……。

――君と出逢えた喜びを君自身に伝えていくために……。










END



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