老人保健施設で働くスタッフは、看護師、介護福祉士、ヘルパー、無資格者にわけることができる。
資格はそれぞれに異なるが、老人保健施設で行われる仕事といえば、決まっていることも多いので、医療的なケアはできないが、介護的なことは無資格者でも行うことができる。
つまり、資格によりあまり仕事に変わりはないということになる。
ただし、看護師は別だ。
看護師は専門性を持つ国家資格なので、内服管理をしたり、床ずれのある患者のケア、またカンファレンスの参加など、医療的な視点から利用者をサポートしていく役割を担うという専門性が重視される仕事なのである。
一方で介護福祉士やヘルパー、無資格者は、日常生活を送ることができるようにサポートをする。
つまり、足りないところを補う介護をするのである。
以上のような働きから、看護師という職種は、専門性が高い分ほかの職種に比べ給料が良いという点が注目される。
反対に介護福祉士、ヘルパー、無資格者は同じような仕事をするので給料は同じかというとそうではない。
それぞれに役職手当というものが付くので、給料に当然差が出てくる。
介護の現場は、仕事がハードながら職種によって給料の差があり、不公平さを感じ離職する人は後を絶たない。
少し大変でもあるが、介護職を継続する、専門性を高める、そして給料アップを狙うためには、少しでも勉強して更なる資格の取得を目指すことが先決といえる。
そうすれば、働いたことに対する報酬に納得できるのではないだろうか。
超高齢化社会を迎え、慢性的な人手不足に陥っている介護業界。
そんな危機的状況にある介護業界の人手不足解消のために国が創設したのが、介護職員処遇改善加算だ。
介護職員処遇改善加算とは、介護職の賃金アップを目的に2012年に創設された制度で、介護サービス事業所に支払われる介護報酬の加算の一つ。
この加算を受けるには、計画書を作成して自治体に届け出し、国保連に請求しなければならない。
さらに、加算金の支給後は自治体に報告書の提出が必須だ。
ここで押さえておくべきポイントが、介護職員処遇改善加算ではサービスおよび要件の区分毎に加算率が設定されていること。
基本の介護報酬に加算率を掛けて加算金額を計算するため、事業所の状況やサービスの種類によって、受け取る加算金額が異なるのだ。
「介護職員処遇改善加算は介護事業所に入ってくるお金で介護従事者には関係ないのでは?」と思う人もいるだろう。
事業所が取得した加算金は、毎月の給与に含まれたり、ボーナスや一時金として支給されたりと事業所によって異なるが、事業所からスタッフに配分される。
ちなみに、手当の額は月額数千円~数万円とスタッフによってさまざまだ。
実際に加算が行われるようになり、介護職の平均給与は増加傾向にあるといわれている。
さらに、2019年には特定処遇改善加算という制度も新設され、介護職員処遇改善加算と同じように要件を満たすと介護職員処遇改善加算に上乗せして加算されている。
特定処遇改善加算は、経験やスキルが豊富なスタッフの手当額がその他のスタッフよりも上回るよう配分方法に一定の規則が設けられているので、いつまでもやりがいを持って働けるのだ。
介護職員処遇改善加算をはじめ、介護職に支給される手当について気になる人は【介護職に就くなら気になる「手当」のはなし】を参考にすると良いだろう。