まだ個室に入って五分も経っていない。
俺は恐る恐る受話器を取った。
「もしもし?」
受話器から聞こえてきた声。それは紛れもなく女の声だった。
「も、も、も、もしもし」
俺の声は見事に上擦っていた。
女「…君、いくつ?」
俺「に、に、二十代前半ですすす…」
女「…今日はどういうひとを探しに来たの?」
俺「いや…どういう…えーっと、…は、初めて来たんで…あの…」
女「そっか。あたし、35歳なんだけど、君、若い娘を探してるよね?」
俺「いえ!決してそのようなことは…あの…えーっと」
女「あたしね、車で来てて、割り切りの人を探してるんだけど」
俺「あ…僕…電車っす…」
女「そっかぁ。そうだよね。じゃあコールバックしてくれる?」
俺は大人しくコールバックした。
コールバックとは、女性からの電話をフロントに戻すことで、その電話は他の部屋に回される。
俺はあまりの緊張で背中に尋常ではない量の汗をかいていた。
当時の俺が気になったのは、女の口にした「割り切り」という言葉だった。
隠語か何かだと思ったけれど、当時の俺には何のことだかさっぱり分からなかった。
その一年半後に「割り切り」にどっぷりハマるとは夢にも思わなかった。
結局、電話は最初のものを含めた二本だけで、それも「割り切りを探してる」と言われてコールバックした。
俺は約二時間、自分の持っていたCDを聴いたり、AVを観たりして過ごした。
…つづく
俺は恐る恐る受話器を取った。
「もしもし?」
受話器から聞こえてきた声。それは紛れもなく女の声だった。
「も、も、も、もしもし」
俺の声は見事に上擦っていた。
女「…君、いくつ?」
俺「に、に、二十代前半ですすす…」
女「…今日はどういうひとを探しに来たの?」
俺「いや…どういう…えーっと、…は、初めて来たんで…あの…」
女「そっか。あたし、35歳なんだけど、君、若い娘を探してるよね?」
俺「いえ!決してそのようなことは…あの…えーっと」
女「あたしね、車で来てて、割り切りの人を探してるんだけど」
俺「あ…僕…電車っす…」
女「そっかぁ。そうだよね。じゃあコールバックしてくれる?」
俺は大人しくコールバックした。
コールバックとは、女性からの電話をフロントに戻すことで、その電話は他の部屋に回される。
俺はあまりの緊張で背中に尋常ではない量の汗をかいていた。
当時の俺が気になったのは、女の口にした「割り切り」という言葉だった。
隠語か何かだと思ったけれど、当時の俺には何のことだかさっぱり分からなかった。
その一年半後に「割り切り」にどっぷりハマるとは夢にも思わなかった。
結局、電話は最初のものを含めた二本だけで、それも「割り切りを探してる」と言われてコールバックした。
俺は約二時間、自分の持っていたCDを聴いたり、AVを観たりして過ごした。
…つづく
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