秋津蛉のモンスターリストⅡ

モンスターの生態情報に特化したブログです。咆哮、捕食シーン、生態行動、素材、防具、武器とその説明文まで全てを網羅!

古龍種の書 祖龍 ミラボレアス

2024-08-31 19:38:37 | 古龍種




「祖龍」
ミラボレアス
White Fatalis
古龍種
古龍目 源龍亜目 ミラボレアス科
・狩猟地
塔、シュレイド城




・概説
全ての龍の祖といわれる龍。 しかし、その姿形・声色、誰一人として見た者はおらず、 伝説の中の伝説の龍。その名は運命の創まりを意味し、「祖なるもの」ともされる「白き王」。
判明している事柄と言えば、「まぼろしの書物」と呼ばれる伝説の書・古龍の書・終焉の書と呼ばれる3種の幻の文献を合わせ完成させることで、「祖龍」と呼ばれる白き龍に関する情報が記された書物が生み出されると云われていることくらいである。




かの龍は見る者の心を捉えるほどに美しい光がなくとも輝く白い鱗と体毛に包まれており、見る者を圧倒する強烈な力を発する翼を背に携え、煌々と輝く王冠の如き4本の角を冠する




その純白の芳容は、神々しい輝きから何者もただ仰ぎ見てひれ伏すのみであるという。
https://x.com/gagieru_seltas/status/1592465430052241408?t=MHPz2iVc9urUfHyysXAirw&s=19


言い伝えでは、ごく一部の竜人族に古くから伝わる詩句に、祖なる龍の顕現が語られているとされる。
その石板には「祖なるもの」との文字、廃墟と化した亡国の王城に纏わる記述、そして「皆既日蝕」を暗示する歌が刻まれているという。
・戦闘能力
祖龍の咆哮には神々しさと狂気が混じり、聴く者に畏怖の念を抱かせる。
https://x.com/gagieru_seltas/status/1592467140044812289?s=19








祖龍の放つブレスは黒龍のような劫火ではなく、赤き雷の塊である。激しくも厳かな紅き双眸の視線にとらわれた者は最後、赤雷に打ち砕かれるという。


赤雷の威力は地を穿つほどで、力を溜めた後に放たれる赤雷のブレスは一帯を焼き付くし吹き飛ばす。上空から降り注がせる赤雷の雨は、正に世の終末を思わせる。





また、祖龍が激昂した時、その純白の身体には禍々しい紅色の雷が走り始め、血管に沿って体の一部に赤みが差し、神々しい姿は一変して狂気すら帯びた姿となる。祖龍の真の姿の前に、畏怖を抱かぬ者などいないだろう。


・利用
一部の竜人族の職人の間では「祖龍素材の加工」を可能にするための秘伝の特殊技術が細々と語り継がれているらしい。
神にも等しき存在と言い伝えられる祖龍の素材にその特殊技術による加工を施せば、まさに神をも超える武具を作り出すことが可能であるという。

祖龍武器はその絶大な力の具現とされ、白光の刃による力強い一閃は人々の心から闇を祓い、返り血すらもその刃を穢す事を畏れると言う。そのような神々しさとは裏腹に、手にした者はその身が滅びるまで剣と舞い続け、不幸な死を呼ぶ呪いの武器として伝わる不吉な品も少なくない。
狩猟笛は古の昔、一夜にして数百人の聴衆を死に導いた”悪夢の惨劇”を引き起こしたとされ、危険性を孕んだその音色は、音の届いていない地域の人々にさえ忍び寄り、心を惑わすどころかそのまま死に追いやることが出来るとさえ言われている。
・ソース
MH4G
MHXX
復刻ハンター大全pg.161
モンスターハンター発想の法則2 禁忌の書 pg.30〜35
https://web.archive.org/web/20210914102532/https://www.capcom.co.jp/active/monsterhunter/2/index_info02.html

古龍種の書 黒龍(紅龍) ミラボレアス

2024-08-30 23:47:20 | 古龍種




「黒龍(紅龍)」
ミラボレアス
Crimson Fatalis
古龍種
古龍目 源龍亜目 ミラボレアス科
・狩猟地
溶岩島




・概説
古文書にその降臨が予言されていた、赤き伝説。即ち、極限の怒りにより覚醒を遂げ、憤怒に我を忘れた黒龍
紅蓮に燃える劫火の化身、弥終の導き手」であり、この”赤き伝説”が永き眠りから目覚めた時、運命は解き放たれ、世界に終焉が到来するという。
https://x.com/gagieru_seltas/status/1592129363474264064?s=19

”厄災”、”凶災”、”禍源”、”淵源”、”終極”、”終末”などと表現され、渦巻く炎で天地を焦がし、灼熱の紅炎深緋の流星を以って近づく者全てを灰燼に帰する激憤の叛賊、終末の指揮者とされる。




その身は尽きぬ怒りを体現する鮮やかな紅に輝く鱗を纏い、叛逆に煮え滾る凶悪な眼光を放つ魔神眼は対峙する者の精神を蝕む。
頭部に戴く歪んだ双角は"破壊と再生を繰り返す不滅の証"、そして"古より定められし宿命の証"とされ、天すら割らんばかりの怒りを湛えており、紅模様が脈打つ紅焔翼は周囲の大気をも震撼させる。




・戦闘能力
烈しき怒りを身に纏い、憤怒と狂気に満ちた咆哮が対峙する者に災厄を呼ぶ。
https://x.com/gagieru_seltas/status/1592133274268471298?s=19
灼熱の紅炎と深緋の流星を以って全てを灰燼に帰す、という表現は決して誇張に非ず、天より燃え盛る凶星を次々に降り注がせ、その場に存在するのみで周囲に紅炎を無数に噴出させる。




翼を折り畳みつつ周囲の大気を朱色に染め上げ、咆哮と共に翼を大きく振るって龍風圧と共に猛烈な熱波を放射する。空間が歪むほどの熱量は一帯を焦熱地獄と化し、その場にいる全てを焼き尽くす。これにはいかなる抵抗も、一切の意味を成さない。


それに加え、這いずりから素早く後退し、劫火で以て一帯を吹き飛ばした反動によって飛び退き、そのまま滑空で襲い掛かるという恐るべき連続攻撃すら見せる。
激昂時は怒りによって更なる炎熱が発露し、全身が橙色に光り輝く。周囲一帯に陽炎が発生し、大気までもが薄い朱色に染まる。





・利用
耐え難き紅龍の激憤を宿す武具。その傷跡からは、灼熱に湧く血潮が滴り続ける。紅龍の憤怒を封印した神器は、滾る怒りにねじ曲げられた角が力の行き場を求めて暴れ狂う。
極限の怒りを宿す素材で練り上げられた装備は、満身に渦巻く激情が比類なき力を与える。
・ソース
MH4G


古龍種の書 黒龍(紅龍) ミラボレアス

2024-08-29 22:28:10 | 古龍種




「黒龍(紅龍)」
ミラボレアス
Crimson Fatalis
古龍種
古龍目 源龍亜目 ミラボレアス科
・狩猟地
決戦場、溶岩島




・概説
運命が解き放たれ、再び襲い来る絶望の伝説、紅き厄災。とある伝承に「怒れる邪龍」として名を残す紅き龍。
古い言葉で「運命の戦争」を意味するミラボレアスだが、その中でも赤い種は、特に気性が荒いと文献に記されているという。
その怒りは大地を震わせ、天をも焦がし、世の空を緋色に染め上げるとされ、獄炎の大地に降り立ち、世界に終末の時をもたらす存在【紅き災い】として伝わる。




断片的ながら記されているその禍々しい姿と力は、「焔の禍」と呼ばれるに相応しい。その躯体は血染めの鱗と漆黒に怪しく光る紅色の甲殻に包まれ、闇夜に流れるマグマを思わせる紅く染まった翼を携える。




その正体は、己を傷つけたハンターに対し、怒り心頭に発する状態となったミラボレアス。 全身が紅潮し、邪龍としての禍々しさに威圧感を増した姿である。頭部の左に見られる角は、砕かれたのちに怒りで代謝が上がった事で仮骨が肥大化し、再生する過程で大きくうねるように変容している。

撃退された黒龍は前人未到の火山地帯の奥地へ赴き、力を蓄えた事でこの姿へ変容したとされる。しかし、かの龍が赴いた先が火山地帯であったのか、赴いた先が火山と化すのかは定かではない。




蒼黒い口から放たれる怒号は、地を轟かせて火山を噴火させるとも、天より燃え盛る隕石を大地に注ぐとも云われ、吐き出す灼炎とともにあらゆる物体を燼灰と化すという。




万が一にもかの紅き「黒龍」が来降し、その脅威を退けることが出来なければ、かつて滅亡した古代王国と同じ歴史を辿り、終末の時を迎える事となるだろう。
・戦闘能力
怒りに満ちた咆哮は狂気を帯び、対峙する者の身を否応なくすくませる。
https://x.com/gagieru_seltas/status/1591788822307962895?s=19



従来の黒龍で知られていた力を溜めた後に放たれる劫火はその頻度を増し、這いずる姿勢においてはこの必殺の大技にも最大限の警戒を払う必要があろう。怒りによって上昇した体熱が、脅威の力を生む。
後方への飛び退きから繰り出される滑空や前脚の薙ぎ払いで爆破粉塵を発生させるなど、攻撃は苛烈を極める。




最たる脅威は、咆哮によって呼び寄せる燃え盛る凶星であろう。この紅き黒龍は自らの意思で自在に隕石を呼び寄せ任意の位置に落下させる能力を有し、その威力と規模は正に災厄である。怒りに伴って全身を紅潮させた際には、さらなる苛烈な攻撃に晒される事となろう。



・利用
古い壁画には龍をも凌ぐ力を持つ謎の防具を纏った古代の人々が描かれているが、それはこの紅に染まった黒龍の素材を用いた防具と酷似している。異様なまでに強力なこの装備は重量のある素材でできているにも関わらず羽毛のように軽く、身につけても重さを感じないという。片時も離さず身につけたいという黒い欲望が身を焦がす程だが、その代償に呪いのような恐ろしい話が付き纏う。例えばその兜は被ると雑念が消え去り、戦いへの渇望が濃く渦巻き、目の前の敵を殲滅する事しか考えられなくなるという。時折、皮膚が鎧に侵食される錯覚を覚える、自分が防具に操られている、装飾の隙間から誰かに監視されているような気がする、常に禁忌を冒しているような本能的な恐怖が付き纏う……
闇より黒い黒に染まった防具の持つ力の代償は、決して軽くはない。



紅き黒龍の素材を用いた武具。紅き怒りを宿した血塗られた武具は、試練を乗り越えた者だけが許される驚異の兵器。禍々しき破滅の力は、邪に打ち勝つ者のみが振るう事ができる。その壮絶な一撃は天から現れし死神の如く、世界に極上の絶望を降り注がん。
片手剣、槍、銃槍は”黒きを滅ぼす”とされ、それぞれ龍の唸りに呼応して振動し、威力を数倍に増す、龍を見つけると脈打ちその接近を所有者に報せる、龍の前で構えれば昂揚するように熱を放つなど、龍を屠る事を求めているような逸話を持つ。
・ソース
MH2
MH4G
MHXX
モンスターハンター発想の法則2 禁忌の書 pg.23〜29


古龍種の書 黒龍 ミラボレアス 下巻

2024-08-29 00:11:23 | 古龍種




・危険度、戦闘能力
それは他のモンスターとの生存競争とはまったく異質の、完全に他を排除するためだけの機能が迫ってきた、そんな印象であったと生存者たちは語る。
それは、城を崩し、 空を焦がし、 地を溶かし……容赦なく、禁足地に踏み込んだものを攻め立てる。
その咆哮の響きからは、ムフェト・ジーヴァの繭を焼くアルバトリオンのそれに近い、怒りのようなものを感じられたともいうが、そのような感傷はヒトの勝手な思い込みであろう。
https://x.com/gagieru_seltas/status/1591255881702068225?s=19
直立と腹這いの姿勢を使い分けながら、 外敵を滅しにかかる。







ミラボレアスにおいて、最大の脅威とされる攻撃が 「劫火」と呼ばれる灼熱のブレスであろう。 極めて高い体温を持つ身体に大量の空気を取り込み、胸部で爆発的な火炎を生成したのち長い一息にて一気に放つ。
この何者をも滅する劫火の力を揮い、 眼に映るすべてを焼き尽くさんとする。 その猛威は、この世界全土をわずか数日で焦土へ変えるという。









瓦礫は焼け崩れ、 分厚い防護壁さえも溶かしてしまう威力には、ただただ戦慄を覚えるのみ。 「すべてを焼き払う」と示唆されていた伝承や文献を紐解き、情報の比較および精査を以て見えてくるのは、これが比喩表現ではなく、事実であるという確証であった。
最初の 「劫火」 を放つまでは力を温存しているのか、 火炎のブレスを交えつつも地上での肉弾戦を主とする。 それは脅威の片鱗ですらなかった。
四脚の姿勢で這いずる姿は、 黒龍の顔が間近に迫る状況を生む。 それを好機とし、スリンガーの全弾発射を試みて頭部にしがみついた者の多くが、口元から溢れ出す業火に晒された。
外敵を一定の脅威と認めたときには、周辺一帯を 「劫火」 で焼き払う。 遮蔽物を生かせなければ、ヒトなど容易に消し炭となろう。



一度目の「劫火」 を耐え抜いた外敵に対しては、 空中からのブレスや滑空による攻撃など、より激しい動きで追い詰める。 そして、二度目の「劫火」を放つ状況を迎えた最終段階では、ミラボレアス自身も抑えていた力を解放し、その暴威を存分に揮いはじめる。


吐き出されるブレスは極度の高温を孕み、 青白く燃ゆる。
腹這いの状態から全方位を薙ぎ払うブレスの前に、いくつもの命が無残に散っていったという。
全力解放の最終段階ともなれば、 全身に膨大な熱量を溜め込み、高温の火炎を足元に吐きつける姿も見られ、格段に戦闘力が増す。


無論、怒りに触れたとあれば、 さらなる重圧感と恐怖にその身をすくめることとなるだろう。
人智の及ばない強大な脅威が現実となりて、世界に混沌たる厄災をもたらすか。


・利用
“黒龍”とも呼ばれる伝説の古龍を打ち倒した者のみが、携帯を許可される武器群。
卓越した技巧により具現された伝説たる邪龍の力は、およそ人の力で御せる代物ではない。
強大無比な力には代償を。禍々しい眼の光に、汝のか細き命など吸い尽くされるやもしれぬ、と伝わる。
もはや語ることが意味を成さないほど、武器が放つ存在感は圧倒的。神をも超越せんがばかりの歪んだ破壊力を有し、人が手にする武器としてはこれ以上のものなど存在し得ないだろう。
暗き力を宿していると言われ、常に禍々しい気を放っているため、熟練のハンターですら所持をためらう呪いの武具。
呪いの至宝と謳われる黒龍の邪眼は水晶でできており、宝石眼とも呼ばれる3大宝石の1つ。死してなお眼光がただならぬ妖しさを放ち、まるで魂が籠っているかのよう。直視すれば怖気が走るという。
武具にあしらうことで悍ましい狂気を宿すともいわれ、工房の職人は作業中、襲い来る怖気と戦う羽目になる。 使用者も制作者も限定される所以。

片手剣、槍、大槌の三振りは邪龍を祀る神器とされ、大剣を持つ者は永遠に古龍と戦う宿命を強いられるという。
持った瞬間、地の底から響くような叫び声が聞こえる事から、その身を剥がれた“黒龍”の念が封じ込められていると囁かれる鎌に至っては、その刃が刻んだ傷は10年、100年経とうが、一度付けた傷を癒やすことなく、その痛みを永遠に齎す。

双剣は使用者が死してなお、両腕が動いて近づくものを斬ったという逸話から、所持者にはエ房から「黒龍の怒りが染みついた双剣により、悪しき心を持つな」 と厳命される。 何かを斬らずにはいられない衝動が生まれるとも言われる。

見る者全てに“暗き力”を想起させる呪いの銃槍。黒龍の姿をそのまま取り込んだようにうねる槍身には、黒龍の邪眼が埋め込まれている。竜撃砲発動時にその邪眼から発する光を見た者は、強制的に身体の力が奪われると囁かれている。

呪いの音色を奏で出すとさえ言われる、いわくつきの狩猟笛は聴く者の心を離さず、すぐさま虜にしてしまうほどの強力な魅力を持った音色ながら、心に隙を持つハンターがその音色をきっかけに、永遠に戦いを止めない狂戦士と化すこともある。

重弩の大きく開かれた口径からは、射撃のたびに轟音が鳴り響く。その音は“黒龍の咆哮”とも言われ、強靭な精神を保っていないと、所有者ですら発射した瞬間に戦意を失いかねない。リロード能カが高いため、連続する音に耐え得る豪傑のみが武器本来の機能を発揮できる。

禍々しい力を感じさせる黒い弓を見た者は、得体のしれない恐怖を感じると言われている。
この弓で狙われたモンスターは、狙いを定められた瞬間に独特の気配を察知するが、同時に足がすくみ、その矢から逃れることは不可能なことを思い知る。

歪み伸びた黒龍の剛角や鍛え鞣された黒龍の重殻を用い、黒龍の意匠を形造った防具が示す黒龍の伝説は、継承と超越。全ての極意を解放し、超人的な武技と強靭さをその身に宿す。 着用時に黒龍の鼓動を感じると訴えた者は、悪夢にうなされ、命を危ぶむ。





余談だが、ポッケ村に存在する”秘密の洞窟”の奥地に人の身の丈より遥かに巨大な漆黒の大剣が突き立っており、その意匠は黒龍の素材を用いた大剣に酷似するという。
この剣は非常に稀有な物質を含む鉱石で造られており、破損しても元の形に自己を修復する。 そのため少量ずつ削り出され、武具生産の素材や、学会での研究資料として利用されることになった。
しかし、削り取った物体は禍々しい気を放ち、手にするだけで絶望が体を包むような恐怖心に襲われるという。

そして、その黒い素材を用いた防具もまた、使用するうちに暗き力の奔流に飲み込まれ、身体中の血液が沸騰するような感覚を覚え始め、やがては己が人でなくなるような恐怖を感じ、心を蝕まれ、正気を失っていくという。
使用するだけでこれほど悍ましい気配を感じる装備は、否が応にも黒龍の武具を想起させる。
・ソース
MH4G
MHXX
復刻ハンター大全pg.39.43.84.121.149.155.161.165.172.185
DIVE TO MONSTER HUNTER WORLD: ICEBORNE モンスターハンターワールド:アイスボーン 公式設定資料集pg.176〜281.398〜401.470〜472
モンスターハンター発想の法則
2禁忌の書pg.12〜21

古龍種の書 黒龍 ミラボレアス 上巻

2024-08-29 00:00:00 | 古龍種




「黒龍」
ミラボレアス
Fatalis
古龍種
古龍目 源龍亜目 ミラボレアス科
全長約4137.17cm
全高約1017.63cm/607.45cm(立ち時の肩までの体高)
脚の大きさ約235cm
・狩猟地
シュレイド城





・概説
異形なる巨体を漆黒に染めた禍々しい見た目から 「黒龍」 と呼ばれ、自然や生物を超越した圧倒的な破壊の力を持つ邪龍として恐れられてきた伝説の龍。
その名は遥か昔から語り継がれており、“龍”と呼ばれる生物の始祖の姿を、最も色濃く残す古き種族ではないかと推測される。
名うてのハンターが戦いを挑んだという話が伝わっているが、その真偽すら定かではなく、実体は確認出来ておらず、長きにわたり伝説の存在のままであった。
この伝説の龍についての生態は未だ謎に包まれているが、伝えられる限りで推測すれば、最も凶暴かつ強大なモンスターであるようだ。ゆえにハンターにとっては、いずれ倒すべき究極の目標となっているのであろう。




遥か昔、栄華を極めた大国シュレイド王国を一夜にして滅ぼし、その城に棲みついたとされる。 その事によりかの存在は実証されたが、調査者の誰もが帰還せず、遂には進入禁止区域となり、再び伝説の存在となった。
”地は揺れ、木々は焼け、 小鳥と竜は消え、日は消え、古の災いは消え。 これらが続いて数ヶ月後、シュレイドは消えた”
すなわち、断続的な小振動、度重なる森林火災。それらにより発した塵が常に太陽を覆い隠し、小動物をはじめモンスターの気配までもが消え、 古龍までもが姿を消す。
これらの現象を出現の予兆と記した伝承は、わらべ歌に乗せた御伽噺として1000年もの昔から存在していたという。
かの者の名は、ミラボレアス。 御伽噺の中にしか存在しない、黒い悪夢。一度姿を現せば最後、この生ける災いを討伐できなければ、生きとし生けるものは滅ぶと云われる。
伝説の黒龍と対峙し、運命の戦争に挑む狩人には、まさに世界の運命が託されるのである。

今から遡ることおよそ千年ほど前に、東西に分裂した古シュレイド王国。これについては、現在でも様々な憶測が飛び交っているが、最も有力な説として黒龍との戦争が原因とされている。この黒龍伝説については、名前や形を変えながら各地に伝えられているが、そのどれが正確なのかも不明であり、そもそも「黒龍など存在するのか?」という懐疑的な声さえあがっているのが実状である。
竜人族であれば、古シュレイド王国の分裂について何か知っている可能性があると言われているが、彼らは王国の中枢にいるわけもなく、そもそも人前に姿を現す機会自体も多くない。
そんな中、王国が誇る書士隊の書記官、ギュスターヴ・ロン氏によって、ひとつの解が導き出された。ここにその一部を抜粋する。
『これまでにも多くの者が、後に伝説の黒龍などとも呼ばれるようになったミラボレアスと、それにより分裂という悲劇に晒される事になった王国との関わりについて言及を試みてきたが、そうした書物のうちで確かな証憑に基づいていると言えるものは殆どなく、いわんや読む価値のあるものともなれば片手で数えるにも満たない。ミラボレアスという名はそのまま”運命の戦い”を意味する。我々の知る限りこの名が初出するのは、古シュレイド王国の創設者が裏切りのうちに命を落とした時、いずこかより現れた赤衣の詩人の詠じたという唄の中においてである。』

数多の飛竜を駆逐せし時 伝説はよみがえらん
数多の肉を裂き 骨を砕き 血を啜った時 彼の者はあらわれん
土を焼く者 鉄【くろがね】 を溶かす者 水を煮立たす者
風を起こす者 木を薙ぐ者 炎を生み出す者
その者の名は ミラボレアス
その者の名は 宿命の戦い
その者の名は 避けられぬ死
喉あらば叫べ 耳あらば聞け 心あれば折れ
ミラボレアス 天と地とを覆い尽くす 彼の者の名を
天と地とを覆い尽くす彼の者の名を 彼の者の名を
(大国史29-114)

『二度登場するミラボレアスという語の綴りが若干の相違を見せているという事実については、 古シュレイド王国時代の一種独特な文章表記の問題もあって複雑な議論を呼んでいる。
避けられぬ死という表現は、じつに言い得て妙である。古王国末期の混乱を予言するかのようなこの記述は、多くの神秘学者や宗教家のしばしば引用するところともなっている。 』

ミラボレアスなどという存在は、幻想や創作であるとの見方が一般的である。事実、ギルドでも一部の者にしか存在を信じられてはいなかった。
そのため黒龍のモンスターリストはその体を成しておらず、それ自体が御伽噺の童話として扱われている。
現在は、 黒龍を指す言葉としてミラボレアスの名が使われている。
しかし、言語学を遡ると、より広義な意味合いが見えてきた。 「運命の戦い」を意味し、黒龍とそれ以外の命のすべてを賭した戦いの顛末、その一連のなかで起こった現象を指して 「ミラボレアス」 と呼んだという。
現代を生きる我々にとって御伽噺に登場する魔王のような印象を受ける名称も、かの龍に対して当時の人々がどのように向き合ったのかが慮られるだろう。
周辺各地には、その存在が招いた惨劇の壁画も残されており、 竜人族の口伝においても禍々しい脅威として在り続けることから、ミラボレアスは実在したと考えられてきた。
曰く、 全ての命を脅かす災い。





「大きな角と翼を持った黒い古龍であった。地を四つ脚で這い、立ち上がるとその威容に足が竦んだ」 との伝承も残る。 我々の知る、 どの古龍とも異なる容貌がうかがえる。
脊椎を守る漆黒の甲殻は体表を覆う鱗の一部が成長したもの。隙間なく多層に重なっており、並の武器では歯が立たない。
後脚に見られる四指の形状から、似た脚を持つ竜人族との関わりを考察する者もいるが、それこそ飛躍が過ぎるのではないか。
歪に波打つ大小4本の角は黒光りする妖しい魅力を放ち、凄まじい強度を誇る。龍の力を宿すとも云われ、 これを破壊できればブレスの威力を抑え込めるという。





背中に生やした翼は、コウモリを想起させる形状。細かな鱗と皮膚のシワが目立ち、甲殻は少ない。皮膜の縁には、亀裂のように入り込んだシワがいくつも確認でき、厚鱗と共に幾星霜を生き続けてきたこの種の年齢を物語る。
胸部の甲殻には金属が焼き付いており、体温の異様な高さをうかがわせる。
「ねぐらに集めた武具が、 体温で溶けて皮膚に付着した」 と言い伝わるが、 真偽のほどは定かではなく、這いずりや倒れ込みで付着した可能性も否めない。
ミラボレアスの体内において、 龍属性エネルギーを宿す 「古龍の血」は検出されていない。
他の古龍種とは一括りにできない要因のひとつと言えよう。




・活動
現大陸においてシュレイド地方は古くから立ち入りが禁止されており、民間では僅かな書の内に記されるだけの幻の地として語り継がれていた。途轍もないモンスターが一夜にして焼き尽くしたとも言われているが、記録の多くが失われた現在ではおとぎ話の類――そう、思われていたのである。
とある討伐クエストでシュレイド城に赴いたハンターは、何やら計り知れないほど恐ろしい体験をしたらしく、 話を聞こうとしても耳を塞いで頑なに拒絶するばかりである。 かろうじて、「バリスタの照準器を覗いたら上空から巨大な火球が・・・・・・」 と、 消え入るような声で語った。
https://x.com/gagieru_seltas/status/1591298362439241731?s=19






出現は必然なのか。 雨天に広がる不気味な空模様と共に、此度シュレイド城に現れた黒い龍。 それが「ミラボレアス」なのか、かつてシュレイド城を壊滅させた「ミラボレアス」であるのかは定かでない。 仮に同一の個体と考えれば、優に数百年以上の歳月を経ていることになる。
ギルドが保有する公式の書簡を見るに、 最も近くに現れたとされるミラボレアスは1000年ほど前のシュレイド地方であった。
先の大戦後、シュレイド城に棲みついたとされるが、城内を寝床としていたのか、周辺の山岳地帯や地底などの洞窟に潜んでいたのか、その実態は明らかになっていない。
およそ1000年もの間、休眠状態にあったと考えるのも、いささか無理があるかに思えるが、そこはヒトの尺度で計るべきではないのかもしれない。かの者にとっては、ひと眠りに過ぎないと考えるほうが自然だろう。
一国を滅ぼした脅威として、伝説に名を遺す黒龍が、何処から、 どのような理由で現れるのかは不明である。シュレイド城に棲みついている、とは信じ難く、時間や空間をも超越した歪みに身を置く存在なのでは、と考える者もいる。
にわかには信じがたいが、何処かの砂漠において異世界との繋がりを示唆する者がいたと、そんな突拍子のない噂もある。 ただ、もし仮に同様の事象がシュレイドにも起きたとするならばと、考え悩むほどに傾倒も深まるものである。 黒龍の出現を機に、かの者を退けた世界線と、 それを成し得なかった世界線が生まれる可能性について。 史実を違える並行世界の存在を仮定すれば、それが御伽噺であれ腑に落ちる部分もある事も事実なのだ。

かつて、 ラオシャンロンと呼ばれる巨大な古龍が、ミラボレアスから逃げるような動きを見せていたという。 一方で、 ミラボレアスが他のモンスターを蹂躙したような話は残されておらず、ヒトが築いたシュレイド王国が標的となった理由なども、現在のところ不明である。
わらべ歌で唄われる 「キョダイリュウノゼツメイニヨリ、デンセツハヨミガエル」の一節は、時代により様々な解釈がなされてきた。
此度のミラボレアス出現は、赤龍と呼ばれる巨大なムフェト・ジーヴァの存在が引き金になったのだろうか。
黒龍は古龍らの持つ力、その全ての力を等しく平らげる存在であるからして、可能性は否定できない。

文字数制限の関係で、本記事は分割記事となります。続きは【古龍種の書 黒龍 ミラボレアス 下巻】をご覧下さい。