歯科技工管理学研究

歯科技工管理学研究ブログ
歯科技工士・岩澤 毅

第8回歯科技工士の養成・確保に関する検討会資料(ペーパーレス会議)

2019年12月16日 | 基本・参考
第8回歯科技工士の養成・確保に関する検討会資料(ペーパーレス会議)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08338.html

医政局歯科保健課
課長補佐 小嶺 祐子
主査    堀 義明
日時:令和元年12月12日(木)10:00
場所:TKP新橋カンファレンスセンター    (ホール11A)
○ 歯科技工士の養成・確保に関する事項
※掲載資料は変更される可能性があります。
議事次第[PDF形式:208KB]
https://www.mhlw.go.jp/content/10804000/000575507.pdf
資料1 歯科技工士の養成・確保に関する検討会報告書(案)[PDF形式:1.2MB]
https://www.mhlw.go.jp/content/10804000/000576130.pdf

歯科技工士の養成・確保に関する検討会 報告書(案)
令和〇年〇月○日

第8回歯科技工士の養成・確保に関する検討会
資料1
令和元年 12 月 12 日

はじめに
○ 2025 年以降、日本の総人口が減少する中で、高齢者人口の割合が増加するこ とから、国民の医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれ、このような 社会構造の変化に対応するため、地域包括ケアシステムの構築が進められてい る。
○ このような社会構造の変化に伴い、歯科医療機関を受診する患者の高齢化 等による患者像の変化や生活環境の多様化等により、歯科疾患の疾病構造及 び治療内容の変化等、歯科保健医療を取り巻く状況も急速に変化しているこ とから、平成 29 年 12 月に「歯科医師の資質向上等に関する検討会」におい て、今後の歯科保健医療の提供体制の目指すべき姿として「歯科保健医療ビ ジョン」が取りまとめられた。
○ 歯科技工士を取り巻く状況を見ると、CAD/CAM 装置等のデジタル技術を 活用した歯科技工が広がるなど歯科技工に関する技術はめざましい進歩を とげている一方で、歯科技工士養成施設入学者数及び就業歯科技工士数とも に年々減少傾向にあり、歯科技工士の養成及び確保対策は喫緊の課題となっ ている。また、「歯科保健医療ビジョン」においても、歯科技工士の人材確 保は大きな課題であり、歯科技工士を取り巻く状況の変化に対応した業務の あり方の検討を行うことが求められているとされている。
○ そこで、超高齢社会を迎え、今後も歯科医師と歯科技工士が協同し、患者に 対して義歯等の歯科補てつ物等を適切に提供することにより、質の高い歯科 医療の提供が可能となるよう、歯科技工士を取り巻く状況を踏まえつつ、歯 科技工士の養成・確保に関する検討を行うために平成 30 年5月に「歯科技 工士の養成・確保に関する検討会」(以下、「本検討会」という。)を設置し、 これまでに7回開催し、議論を重ねてきた。その結果をここにとりまとめる。


1 歯科技工士の養成について <現状と課題>
1.1 歯科技工士養成施設の状況
○ 近年、歯科技工士養成施設の入学者については、女性の割合は増加傾向にあ る一方で、総数は年々減少しており、さらに養成施設の募集停止も相次いでいる。
○ 入学者数が減少している一因として、若年者のう蝕の罹患率が減少し、治療経 験が少ない者が増加したことにより、歯科医療に関わる職業として歯科技工士の認知度が低下していることが考えられる。
○ それだけではなく、歯科技工士という職業に対して、長時間労働や低賃金という イメージが(学生だけではなく、進路指導の教員も含めて)あり、歯科技工士養成 施設は進路の選択肢の中で敬遠されるという意見もあげられた。
○ 歯科技工士養成施設の入学者を確保していくために、オープンキャンパス等の 開催や、歯科技工所における小中学生の職場体験の受入れ、日本歯科医師会 のホームページに歯科技工士の職業紹介の動画を掲載する等、歯科技工士の 認知度をあげるための取組みが行われている。

1.2 教育内容
○ 教育内容については、弾力的なカリキュラム編成が可能となるよう、平成 29 年 に歯科技工士学校養成所指定規則の見直しが行われ、教育内容の大綱化及び 単位制が導入された(平成 30 年改正規則施行)。
○ 医療に携わりたいと考えて歯科技工士を選択した学生が多い中で、現状の教 育内容ではその実感を得ていない者も多いと思われる。歯科診療や歯科技工の 現場を早期に見学することにより、患者を意識して実習に取り組む姿勢が見られ、 学生のモチベーションの向上にもつながり、さらには就職後の離職防止にもつな がると考えられる。
○ また、教育内容の工夫のひとつとして、歯学部や歯科衛生士養成施設との交 流を行うことで、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士のそれぞれの職種の理解を 深めるような内容を授業に組み込むことも必要ではないか、との意見があげられ た。
○ 最近の学生は、CAD/CAM 装置などデジタル技術を用いたものや IT 等に対し て、特に関心を持つ者が多い傾向にある。学生を確保するためには、時代にあっ た教育内容が求められる。

1.3 修業年限
○ 超高齢社会の進展や歯科医療に対する国民の意識の変化等に対応し、社会 のニーズに応えることができる歯科技工士を養成するためには、現在の教育内 容では不十分な部分もあることから、修業年限を現行の「2年以上」から「3年以 上」にすることが必要だという意見があげられた。


(今後、修業年限が延長された際に追加が必要だと指摘された教育内容の例)
 診療室のチェアサイドでの歯科技工士が歯科医師と連携し、より質の高い歯 科医療の提供を可能とするために必要な、臨床に関わる幅広い歯科医学的 知識やそれらに関連する内容  訪問歯科診療において有床義歯の修理等が必要な場合に歯科技工士が歯 科医師に帯同することによって、より質が高く効率的な在宅歯科医療の提供 が可能となるよう、在宅歯科医療に関連する内容  労働環境の改善等に取り組むことができるよう、労務管理等に関する内容
○ 一方で、3年制課程の必要性は理解しつつも、現状では、  経済的な理由により2年制課程の養成施設を選ぶ受験生が一定数いると考え られる  現在2年制課程の養成施設の中には規模の小さい施設も多く、修業年限を「3 年以上」とすることにより負担が増し、閉鎖する施設が増加することも懸念され る といった意見があげられた。
○ 現在の2年制課程では十分に修得することが難しい、より臨床的な内容につい ては、2年制課程卒業後に国家試験受験資格を与え、国家試験合格後に臨床研 修のような制度や歯科技工士として働きながら学ぶことができる研修制度などの 環境整備を行うことを検討してもよいのではないか、という意見があげられた。
○ 歯科技工士養成過程には、4年制大学、短期大学、3年制課程専門学校(昼 間・夜間)及び2年制課程専門学校(昼間)があるが、4年制課程・3年制課程に ついては、その教育内容等について、2年制課程との違いを示すことが必要であ る。
○ 現状では、いずれの課程を卒業しても歯科技工士としては同じ扱いであるが、 本検討会における関係者のヒアリングの中で、4年制課程では臨床に必要な(特 に高齢者医療に参加できるような)教育を充実させることにより4年制課程を修了 した者については義歯の管理などの臨床に関わることができるようしてもよいの ではないか、といった提言もなされた。養成課程と今後の歯科技工士の業務のあ り方については、改めて検討すべきであると考えられる。

1.4 学級定員
○ 一学級の定員について、現行の歯科技工士学校養成所指定規則第2条第5号において「学生又は生徒の定員は、一学級十人以上三十五人以内であること。」と されているが、令和元年度(2019 年度)入学者において、約 95%(44 施設)の養成 施設が 30 人以下となっている。また、下限について定員は十人以上とされている ものの、現状の入学者数としては 10 人以下の養成施設が約 23%(11 施設)となっ ている。このような現状を踏まえ、一学級定員について、下限の撤廃と上限の見直 しについて意見が出された。仮に、上限を 30 人と見直す際には、授業の方法及び 設備等の教育上の諸条件等を考慮して、教育効果を十分に挙げられる場合はこの 限りではない、といった規定を設けるべきだという意見もあげられた。

1.5 就職、その他
○ 入学者(卒業者)数が減少する一方で、求人件数は増加傾向にあり、求人に応 えられていない状況である。学生の傾向としては、大規模な歯科技工所を希望す る者が多い。
○ 歯科技工士養成施設への海外からの留学生が増加しているが、歯科技工士国 家試験の受験資格はあっても、歯科技工士として就労するための在留資格がな いため、日本で歯科技工士として就労できない状況となっていることから、海外か らの留学生で歯科技工士国家試験に合格した者についても歯科技工士として就 労可能となるようにするべきである。
○ 一方で、歯科技工士の資格を有しながら歯科技工士として就業していない者が、 国内に多数いることから、まず離職者対策を考えるべきである。歯科技工士に在 留資格を付与するとしても、そのことにより日本の歯科医療や歯科技工にマイナ スの影響がないようにすべきである。

<歯科技工士の養成に関する今後の方向性>
○ 歯科技工士養成施設の入学者の確保に向けて、歯科技工士の認知度を上げ るための取組みを関係者や関係団体が協力して引き続き進めるとともに、歯科 技工士養成の観点からも労働環境等の改善対策に取組むことが必要である。
○ 歯科技工士養成施設に入学した学生が歯科医療における歯科技工士の役割 を知り、歯科医療に携わる職種であるという意識を早期に持つことができるようす ることは重要であることから、単位制の導入後の各施設のカリキュラムの状況を 把握しつつ、教育内容に歯科医療機関や歯科技工所の見学等の導入を推進す る。

○ 修業年限については、現行制度において「2年以上」となっていることから、3年 以上の養成課程も可能であるが、3年制養成課程とする養成施設数は2施設(夜 間課程を除く。)にとどまり、増加していない現状に鑑みると、必要修業年限を「3 年以上」と法制化することは現時点では難しいと考えられる。一方で、診療室や 在宅歯科医療の現場において歯科医師が歯科技工士と連携することによってよ り質の高い歯科医療の提供が期待されることや、3年以上の養成課程を修了し た歯科技工士の新たな業務のあり方についての提言もだされたことから、これか らの歯科技工士に求められる(期待される)業務内容及びそのために必要な教育 内容及び修業年限等について、今後も引き続き検討する。
○ 一学級の定員については、近年の入学者数が 10 人以下である養成施設が一 定数あること、少人数であっても歯科技工士の養成課程の継続を希望する施設 もあることから、下限を撤廃し、現行の「10 人以上 35 人以下」を「35 人以下」とす る。
○ 歯科技工士養成施設の入学者数及び歯科技工士国家試験合格者数は減少傾 向にある一方で、近年、歯科技工士養成施設には留学生も一定数おり、国家試 験合格後に日本国内で歯科技工士として就労しながら更なる歯科技工に関する 技術の習得を希望する者もいると考えられる。歯科技工士養成施設の留学生が 国家試験に合格後、歯科技工士として就労しつつ研修が可能となるよう、関係省 庁とともに在留資格について見直しを検討する。ただし、期間を限定する等の条 件をつけるとともに、養成施設における留学生の受入状況等についても適宜、情 報収集を行うなど適切な運用となるように努めるべきである。

2 歯科技工士の確保について
<現状と課題>
2.1 歯科技工士の現状
○ 就業歯科技工士数は、平成 30 年の時点で約 34,000 人であり、近年、微減傾向 にある一方で、就業歯科技工士のうち 50 歳以上の者の割合は増加傾向にあり、 平成 30 年では 50%となっている1。

1 就業歯科技工士数:( 平成 10 年末)36,569 人、 (平成 30 年末)34,468 人 年齢階級別就業歯科技工士割合(平成 30 年末):「29 歳未満」10.8%、 「30~39 歳」 16.1%、 「40~49 歳」23.1%、「50~59 歳」26.0%、 「60 歳以上」24.0%。 (出典:衛生行政報告例)

○ 日本の総人口は減少しても高齢者人口の減少は大きくないことから、補綴物等 の作成に関わる歯科技工の重要性は今後も変わらないと考えられる。また、デジ タル化等による歯科技工の効率化が進んでも、歯科技工士は必要であることか ら、歯科技工士の養成・確保は重要な課題である。
○ 一方で、今後の歯科医療の動向やデジタル化等の歯科技工に関する技術の進 歩も踏まえ、必要な歯科技工士数について検討する必要がある。

2.2 歯科技工士の離職・復職について
○ 厚生労働科学研究2の結果では、年齢階級別の就業の状況については、歯科 衛生士はいわゆる M 字カーブを示しており 20 代~30 代に離職した後も復職す る傾向が見られるが、歯科技工士では右肩下がりであり、離職後に復職する者 は少ない。
○ また、同研究 2による歯科技工士の就業状況等に関する調査の結果では、現在、 歯科技工士として就業していない者が歯科技工士としての仕事を辞めた理由とし て、「仕事内容への不安」と「給与・待遇面」が上位を占めていたことから、若い頃 に給与・待遇面や仕事の内容等への不安があると、歯科技工士として働き続け ることに不安をもち、結婚等のライフイベントを機に離職する者が多いと考えられ る。
○ また、歯科技工士の労働実態等に関する調査3において、職務内容に対する意 識について「社会の人々は、私の仕事を尊敬するに値する仕事だと思っている」 「私は仕事をしていて着実な人生設計がたてられる」という質問に対しては、いず れも否定的な回答者の割合が半数を超えている、という結果が報告されている。 給与・待遇等だけではなく、歯科医療に関わる職業としての実感を得にくいことや 自分自身の仕事に対する評価が少ないこと等によって、仕事のやりがいを感じに くくなることも、離職につながっていると考えられる。
○ 離職防止のためには、職場環境や長時間労働などの労働環境や給与等の処 遇に関する問題を改善する必要がある。そのためには、  歯科技工所の状況に応じた業務の効率化を図ること  短時間勤務の歯科技工士の雇用など、多様な勤務体系を取り入れていくこ と  女性歯科技工士が増加していることから、産休育児休暇の取得や子育ての

2 厚生労働科学研究「歯科衛生士及び歯科技工士の就業状況等に基づく安定供給方策に関 する研究」(H29‐医療‐一般‐003)研究代表者 須田英明 3 厚生労働科学研究「歯科技工業の多様な業務モデルに関する研究」(H29-医療-一般002)研究代表者 赤川安正

ための勤務時間の調整等、女性が働きやすい環境を整えること 等の対策が必要である。
○ 地域医療介護総合確保基金等を活用して、多くの都道府県で歯科衛生士の復 職支援事業は実施されている一方で、歯科技工士についてはあまり実施されて いない。一度離職した後(特に長期離職後)の復職が困難となる理由のひとつに、 技術的な不安があると考えられることから、技術修練を含む復職支援の研修体 制の整備が求められる。

2.3 歯科技工所の状況について
○ 歯科技工士の就業場所は、歯科技工所が約73%、病院・診療所が約26%であ り、病院・診療所で働く歯科技工士(以下、「院内歯科技工士」とする。)の数は減 少傾向にある4。
○ 歯科技工所の規模は、就業歯科技工士数が「1 人」の歯科技工所(以下、「1 人 歯科技工所」とする。)が約77%を占め、「2~9人」の歯科技工所が約 22%、「10 人以上」の歯科技工所は約1%である5。
○ 「1人歯科技工所」では、すべての歯科技工の過程を1人で行うため、一連の過 程に責任をもって業務にあたるが、業務分担ができないため、状況によって長時 間労働にもなりがちである。一方で、自分の裁量により業務時間の配分を行うこ とができる。
○ 就業歯科技工士数が複数の歯科技工所では、業務分担や進捗管理の工夫に よる効率化や人材育成のための各種研修の実施等の業務改善への取組が可能 である。
○ 院内歯科技工士は、歯科医師と日常的にコミュニケーションをとることができる ため、指示書だけでは伝わりにくい内容も歯科医師と意見交換をしながら進める ことができる。また、チェアサイドの立ち合いも可能なため、やりがいにつながって いる。
○ 厚生労働科学研究6の結果によると、歯科技工所における書面による雇用契約

4就業場所別就業歯科技工士割合(平成 30 年末):「歯科技工所」: 72.7%、「病院・診療 所」: 25.7%。「病院・診療所」は平成 10 年末の 37.4%と比べると約 12%低下。 (出典:衛生行政報告例) 5規模別(業務に従事する歯科技工士数別)歯科技工所割合(平成 30 年末):「1人」: 76.7%、 「2人」:12.4%、 「3人」:4.2%、「4人」 :2.2%、 「5~9人」:3.2%、「10~19 人」 :0.8%、「 20 人以上」 :0.5%。(出典:衛生行政報告例) 6 厚生労働科学研究「歯科技工業の多様な業務モデルに関する研究」(H29-医療-一般


の締結等の状況は、  歯科技工所における書面による雇用契約の締結については、「家族以外の 従業員がいないため不要」と回答した歯科技工所が約6割であったが、「結 んでいない」が約2割  本調査の回答者の約9割は、従業員数9人以下であるが7、就業規則の作成 については、「作成していない」が約8割  補てつ物等の製作受託に関する歯科医療機関との契約書については、「取 り交わしていない」が約9割 であった。

<歯科技工士の確保に関する今後の方向性>
○ 歯科技工士の離職防止対策は喫緊の課題であり、労働環境や勤務環境改善 の取組みが必要である。厚生労働科学研究「歯科技工業の多様な業務モデルに 関する研究」の結果及び結果に基づく提言をふまえ、  書面による雇用契約の締結や就業規則作成・整備の必要性  歯科医療機関と歯科技工所との業務委託契約書の作成の推進 等について、周知を図る。
○ 歯科技工所の勤務環境を改善するためには、業務の効率化を進める必要があ るが、その方法については歯科技工所の規模や地域の状況等、個々の状況に 応じた取組みを考える必要がある。令和元年度より実施されている「歯科技工所 業務形態改善等調査検証事業」において、様々な業務モデルの好事例の収集・ 分析をすすめ、これらの結果をわかりやすくとりまとめ、全国の歯科技工所で業 務改善に取り組む際の参考となるよう、周知を図る。
○ 歯科医師と歯科技工士の連携を推進するため、まずは現行法令上可能な業務 について内容を整理し、周知する。また、今後の歯科技工士の業務のあり方につ いては、引き続き検討する。

3 歯科技工士の業務等について
<現状と課題> 3.1 デジタル技術の活用
○ 近年増加している CAD/CAM 装置などデジタル技術を活用した歯科技工により、 従来は手作業で行ってきた工程の効率化や均てん化が可能になる一方で、設備
002)研究代表者 赤川安正 7 労働基準法(昭和 22 年法律第 49 号)第 89 条(抜粋):常時十人以上の労働者を使用す る使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。

導入や維持にかかる費用が高額になる、操作に慣れるまでに時間を要するなど の課題もあり、小規模な歯科技工所では導入困難となる場合も多い。
○ CAD/CAM 装置等を用いた歯科技工は増加傾向にあり、これらのデジタル技術 を活用した歯科技工は今後も増加することが推測されることから、小規模な歯科 技工所は、それぞれの得意分野を生かしながら連携を強めていく必要がある。
○ また、CAD/CAM装置等を用いた歯科技工の増加に伴い、CAD/CAM装置等の デジタル技術を活用した歯科技工のみを行う歯科技工所の増加が想定される。 このような歯科技工所について、構造設備基準等のあり方についてどのように考 えるか、検討が必要である。ただし、その際は、安全性等も十分に検討する必要 がある。

3.2 チェアサイドでの業務
○ 現行制度では、歯科技工士はその業務を行うにあたり、試適等8の患者の口腔 内を直接触れる行為はできないが、歯科技工士の業務範囲を拡大することによ って、歯科医師と歯科技工士のより密接な連携が可能となり、より良い歯科技工 物を作成することができれば、歯科医療の質の向上につながると考えられる。さ らには歯科医療機関における歯科技工士の雇用拡大や歯科技工士の地位向上 にもつながると考えられる。
○ また、高齢社会の進展により、在宅歯科医療の需要は今後更に増加すること から、歯科技工士の業務内容の検討の際には、訪問歯科診療や介護の現場に おける歯科技工士の業務のあり方についても検討が必要である。

3.3 トレーサビリティ、その他
○ 歯科技工物のトレーサビリティを確保するために、患者に歯科技工物の作成者 等がわかるシステムが必要であり、また歯科技工士の認知度を上げるために、 歯科技工物の作成者について歯科医療機関に掲示する等の取り組みを進める べきである。
○ 国民がもっと自身の口腔内に関心を持つようになれば、口腔内に入れている歯 科技工物に対して関心が高まり、それを作成している者に目が向けられ、歯科技 工士の認知につながると考えられる。


8 歯科技工士法(昭和三十年法律第百六十八号)第二十条において、 「歯科技工士は、その 業務を行うに当つては、印象採得、咬合採得、試適、装着その他歯科医師が行うのでなけ れば衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。」と規定されている。ま た、歯科技工士はいわゆる診療の補助行為を行うことはできない。

<歯科技工の業務等に関する今後の方向性>
○ デジタル技術を活用した歯科技工を行う場合について、CAD は PC 上の作業の みとなることから、歯科技工の過程において CAD を行う際にテレワークを活用す る場合の取り扱いを整理する。
○ チェアサイド等における歯科医師と歯科技工士の連携を推進する観点から、  シェードテイキング等、現行法令において歯科技工士が実施可能な業務内容  訪問歯科診療において歯科医師に歯科技工士が帯同する場合の業務のあり 方及び歯科技工を行う場所の考え方 について、整理する。
○ 歯科医師と歯科技工士の連携を推進し、より質の高い歯科医療を提供する観 点から、歯科技工士の業務範囲(歯科技工士が業務を行う上で直接患者の口腔 内を触れることも想定される業務も含む。)については、歯科技工士養成過程に おける教育内容や必要な修業年限も併せて、引き続き具体的な検討を行う。
○ 国民に対する歯科医療や歯科技工・歯科技工士に関する周知、啓発をさらに 推進するための方策を検討する。

おわりに
○ 本検討会では、歯科技工士の養成及び確保に関する課題の解決に向けて、歯 科技工士養成施設に係る課題と歯科技工所の労働環境等に係る課題や歯科技 工士の業務のあり方等について、議論を行った。
○ 歯科技工士の養成については、各種養成施設の関係者に歯科技工士養成の 現状についてヒアリングを行い、教育現場の声をききながら養成過程の課題等に ついて検討を行った。
○ また、歯科技工士の確保については、歯科医療機関(病院、診療所)や就業歯科 技工士数の異なる複数の歯科技工所について、それぞれの施設の状況につい てヒアリングを行うとともに、厚生労働科学研究の結果もふまえつつ、歯科技工 所の労働環境の改善や離職防止のための方策について検討を行った。
○ 今回の一連の議論において特筆すべきは、歯科技工士の養成及び確保のいず れにも共通する今後の方策として、近年の歯科技工に関する技術の進歩により、 CAD/CAM 装置等の導入が進んでいることを踏まえ、それらを活用していくため の意見が出されたことに加え、臨床の場、すなわち診療室のチェアサイドや訪問 歯科診療における歯科医師と歯科技工士の連携の推進の必要性について多数 の意見が出されたことがあげられる。今後の歯科技工士の業務のあり方につい て、従来からの課題であった養成課程の教育内容や修業年限等とあわせて、引

き続き、具体的に検討していくことが望まれる。
○ 健康寿命の延伸に向けて歯科保健医療の役割が期待されるなかで、質の高い 歯科医療を提供するためには歯科専門職の連携は欠かせない。そのためには、 歯科専門職の一員として、歯科技工士自身も医療人としての意識を確固として持 つことが重要である。今後、質の高い歯科技工士の養成・確保に向け、本報告書 で示された方向性について適切に対応が進められることを期待する。


【別紙】

「歯科技工士の養成・確保に関する検討会」構成員名簿

氏名 所属・役職
〇赤川 あかがわ安正 やすまさ
昭和大学客員教授
秋野 あきの 憲一 けんいち
札幌市保健福祉局保健所 母子保健・歯科保健担当部長
大島 おおしま
克郎 かつお 全国歯科技工士教育協議会会長(※第7回検討会以降)
尾 お
﨑 ざき順男 よしお 全国歯科技工士教育協議会会長(※第 6 回検討会まで)
小畑 おばた 真 まこと
弁護士法人小畑法律事務所代表弁護士
陸 くが 誠 まこと 株式会社コアデンタルラボ横浜代表取締役社長
桑名 くわな 良 よし尚 ひさ
桑名歯科医院院長
杉岡 すぎおか 範 のり明 あき
公益社団法人日本歯科技工士会会長
高橋 たかはし勝美 かつみ 株式会社オムニコ代表取締役社長
傳寳 でんぼう弥里 みさと アルモニア代表
三井 みつい 博 ひろ晶 あき
公益社団法人日本歯科医師会常務理事
〇:座長

(オブザーバー)文部科学省高等教育局医学教育課


参考資料1 これまでの議論の整理と今後の方向性について(案)(第7回歯科技工士の養成・確保に関する検討会 資料2)[PDF形式:568KB]
https://www.mhlw.go.jp/content/10804000/000576129.pdf


歯科技工士の養成・確保に関する検討会
これまでの議論の整理と今後の方向性について(案)

1 歯科技工士の養成について <現状と課題>
1.1 歯科技工士養成施設の状況
○ 近年、歯科技工士養成施設の入学者(卒業者)数は年々減少しており、さらに養 成施設の募集停止も相次いでいる。
○ 入学者数が減少している原因のひとつとして、う蝕の罹患率の減少により治療経 験が少ない若年者が多く、歯科技工士の認知度が低いことが考えられる。
○ 歯科技工士養成施設の入学希望者が減少してきているのは、歯科技工士という 職業の認知度が低いという問題があるが、それだけではなく歯科技工に対する 魅力が減ってきているからではないか。歯科技工士に関して長時間労働や低賃 金というイメージがあり養成施設は進路の選択肢の中で敬遠されていると考えら れることから、労働環境等の改善の取組を進めることが必要である。
○ 入学者の男女比については、女性の割合が増加傾向にある。

1.2 教育内容
○ 教育内容については、弾力的なカリキュラム編成が可能となるように平成 29 年 に歯科技工士学校養成所指定規則の見直しを行い、教育内容の大綱化及び単 位制を導入した(平成 30 年施行)。
○ 医療に携わりたいと考えて歯科技工士を選択した学生が多い中で、現状の教育 ではその実感を得ていない者も多いと思われる。
○ 歯科診療や歯科技工の現場を早期に見学することにより、患者を意識して実習 に取り組む姿勢が見られ、学生のモチベーションの向上にもつながり、さらには 就職後の離職防止にもつながると考えられることから、歯科技工が歯科医療に 関わっていることが実感できる教育(歯科医療機関や歯科技工所での実習等)が 必要ではないか。
○ 教育内容の工夫のひとつとして、歯学部や歯科衛生士養成施設との交流を行 い、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士のそれぞれの職種の理解を深めるような 内容を授業に組み込むことも必要ではないか。

第7回歯科技工士の養成・確保に関する検討会
資料2
令和元年 10 月 31 日
第 8 回歯科技工士の養成・確保に関する検討会 参考
資料 1
令和元年 12 月 12 日

○ 近年の学生は、CAD/CAM 装置などデジタル技術を用いたものや IT 等に対して は特に関心を持つ者が多い傾向にある。学生を確保するためには、時代にあっ た教育内容が求められる。

1.3 修業年限
○ 超高齢社会の進展や歯科医療に対する国民の意識の変化等に対応し、社会の ニーズに応えることができる歯科技工士を養成するためには、現在の教育内容 では不十分な部分もあることから、修業年限を現行の「2年以上」から「3年以上」 にすることが必要だと考える。 (追加が必要だと考えられる教育内容の例)  診療室のチェアサイドでの歯科技工士が歯科医師と連携し、より質の高い歯 科医療の提供を可能とするために必要な、臨床に関わる幅広い歯科医学的 知識やそれらに関連する内容  訪問歯科診療において有床義歯の修理等が必要な場合に歯科技工士が歯 科医師に帯同することによって、より質が高く効率的な在宅歯科医療の提供 が可能となるよう、在宅歯科医療に関連する内容  労働環境の改善等に取り組むことができるよう、労務管理等に関する内容
○ 3年制課程の必要性は理解できるが、現状では、経済的な理由により2年制課程 の学校を選ぶ受験生がいる。
○ 現在2年制課程の養成施設の中には規模の小さい施設も多く、教育課程を「3年 以上」とすることにより負担が増し、閉鎖する施設が増加することも懸念される。
○ 2年制課程卒業後に国家試験受験資格を与え、国家試験合格後に臨床研修の ような制度や歯科技工士として働きながら学ぶことができる環境整備を行うことを 検討してもよいのではないか。
○ 歯科技工士養成施設の修業年限は「2年以上」となっていることから、現状では、 4年制大学、短期大学、3年制課程専門学校(昼間・夜間)、2年制課程専門学校 (昼間)があるが、4年制課程・3年制課程については、2年制課程との違いを示 すことが必要である。
○ 現状では、いずれの課程を卒業しても歯科技工士としては同じ扱いであるが、4 年制課程では臨床に必要な(特に高齢者医療に参加できるような)教育を充実さ せることにより 4 年制課程を修了した者については義歯の管理などの臨床に関 わることができるようにする等、歯科技工士の業務のあり方について検討してもよいのではないか。

1.4 就職、その他
○ 求人件数は増加傾向にあり、求人に答えられていない状況である。学生の傾向 としては、大規模な歯科技工所を希望する者が多い。
○ 歯科技工士養成施設への海外からの留学生が増加しているが、歯科技工士国 家試験の受験資格はあっても、歯科技工士として就労するための在留資格がな いため、日本で歯科技工士として就労できない状況となっていることから、歯科技 工士として就労可能となるようにするべきである。
○ 一方で歯科技工士の資格を有しながら歯科技工士として就業していない者が、 国内に多数いることから、離職者対策を考えるべきである。在留資格に歯科技工 士を追加するとしても、そのことにより日本の歯科医療や歯科技工にマイナスの 影響がないようにすべきである。

<歯科技工士の養成に関する今後の方向性> ○ 歯科技工士養成施設に入学した学生が歯科医療における歯科技工士の役割を 知り、歯科医療に携わる職種であるという意識を早期に持つことができるようする ことは重要であることから、単位制の導入後の各施設のカリキュラムの状況をみ つつ、教育内容に歯科医療機関や歯科技工所の見学等を取り入れることを推進 することとしてはどうか。
○ 養成過程の修業年限については、現行において「2年以上」となっていることか ら、3年以上の養成課程も可能であるが、3年制養成課程とする養成施設数は2 施設(夜間課程及び4年制課程を除く。)にとどまり、増加していない現状を鑑み ると、現時点で必要修業年限を「3年以上」と法制化することは困難であると考え られる。一方で、診療室や在宅歯科医療の現場において歯科医師が歯科技工士 と連携することによってより質の高い歯科医療の提供が期待されることや、3年 以上の養成課程を修了した歯科技工士の業務のあり方について検討が必要で はないかとの意見もあることから、今後、歯科技工士に求められる(期待される) 業務内容及びそのために必要な教育内容等について検討を行うこととし、修業 年限についてもあわせて引き続き検討してはどうか。
○ 歯科技工士養成施設の入学者数及び歯科技工士国家試験合格者数は減少傾 向にあることから、労働環境改善などの歯科技工士として就業後の離職防止対

策についてもあわせて検討すべきである。一方で、近年、歯科技工士養成施設 には留学生も一定数おり、国家試験合格後に日本国内で歯科技工士として就労 しながら更なる歯科技工の技能習得を希望する者もいると考えられることから、 歯科技工士として就労しつつ研修が可能となるよう、関係省庁とともに在留資格 について見直しを検討してはどうか。ただし、期間を限定する等の条件をつけると ともに、養成施設における留学生の受入状況等についても適宜、情報収集を行う など適切な運用となるように努めるべきである。
○ 1学級定員について→10 月 31 日の議論により、追加修正 (現時点案)1学級の定員について、現状において大半が 30 人以下であり、また 10 人以下の養成施設も一定数あることから、現行の「10 人以上 35 人以下」を「30 人以下」と見直してはどうか。


2 歯科技工士の確保に関する内容
<現状と課題> 2.1 歯科技工士の現状
○ 日本の総人口は減少しても高齢者人口の減少は大きくないことから、補綴物等 の製作に関わる歯科技工の重要性は今後も変わらないと考えられる。また、デジ タル化等による歯科技工の効率化が進んでも、歯科技工士は必要であることか ら、歯科技工士の養成・確保は重要な課題である。
○ 一方で、今後の歯科医療の動向やデジタル化等の歯科技工に関する技術の進 歩も踏まえ、必要な歯科技工士数について検討する必要がある。

2.2 歯科技工士の離職・復職について
○ 年齢階級別の就業者数について、歯科衛生士ではM字カーブになっており20代 ~30 代に離職した後も復職する傾向が見られるが、歯科技工士では右肩下がり であり、離職後に復職する者は少ない。
○ 若いうちに給与・待遇面や仕事の内容等への不安があると、歯科技工士として働 き続けることに不安をもち、結婚等のライフイベントを期に離職するケースが多い と考えられる。
○ 歯科医療に関わる職業としての実感を得にくいことや自分自身の仕事に対する 評価が少ないこと等によって、仕事のやりがいを感じにくくなり、離職につながっ ていると考えられる。
○ 離職防止のためには、職場環境や長時間労働などの労働環境や給与等の処遇に関する問題を改善する必要がある。
○ 短時間勤務の歯科技工士の雇用など、多様な勤務体系を取り入れていくことが 必要である。
○ 女性歯科技工士が増加していることから、産休育児休暇の取得や子育てのため の勤務時間の調整等、女性が働きやすい環境を整えることが必要である。
○ 一度離職した後(特に長期離職後)の復職が困難となる理由のひとつに、技術的 な不安があると考えられることから、復職支援の際は技術修練を含む研修が必 要である。
○ 地域医療介護総合確保基金等を活用して、多くの都道府県で歯科衛生士の復職 支援事業は実施されている一方で、歯科技工士についてはほとんど実施されて いない。

2.3 歯科技工所の状況について
○ 歯科技工士の就業場所は、歯科技工所が約 73%、病院・診療所が約 25%であ り、病院・診療所で働く歯科技工士(以下、「院内歯科技工士」)の数は減少傾向 にある。
○ 歯科技工所の規模は、就業歯科技工士数が 1 人の歯科技工所(以下、「1 人歯 科技工所」)が約 77%を占め、2~9人の歯科技工所が約 22%、10 人以上の歯 科技工所は約1%にとどまっている。
○ 「1 人歯科技工所」では、すべての製作過程を 1 人で行うため、一連の過程に責 任をもって業務にあたるが、業務分担ができないため、状況によって長時間労働 にもなりがちである。一方で自分の裁量により業務時間の配分を行うことができ る。
○ 就業歯科技工士数が複数の歯科技工所では、業務分担や進捗管理の工夫によ る効率化や人材育成のための各種研修の実施等の業務改善への取組が可能で ある。
○ 「院内歯科技工士」は、歯科医師と日常的にコミュニケーションをとることができる ため指示書だけでは伝わりにくい内容も歯科医師と意見交換をしながら進めるこ とができる。また、チェアサイドの立ち合いも可能なため、やりがいにつながって いる。
○ 厚生労働科学研究の結果によると、歯科技工所における雇用契約等の締結状 況は、  歯科技工所における雇用契約の締結については、「家族以外の従業員がいな いため不要」と回答した歯科技工所が約6割であったが、「結んでいない」が約

2割  就業規則の作成については、「作成していない」が約8割  補てつ物等の製作受託に関する歯科医療機関との契約書については、「取り 交わしていない」が約9割 であった。
○ CAD/CAM 装置を含め各種設備投資にかかる費用が増加傾向にあることから、 小規模な歯科技工所はそれぞれの得意分野を生かしながら連携を強めていく必 要がある。

<歯科技工士の確保に関する今後の方向性>
○ 歯科技工士の離職防止対策は喫緊の課題であり、労働環境や勤務環境改善の 取組みが必要である。厚生労働科学研究「歯科技工業の多様な業務モデルに関 する研究」の結果及び結果に基づく提言をふまえ、  雇用契約の締結や就業規則作成・整備の必要性  歯科医療機関と歯科技工所との業務委託契約書の作成の推進 等について、周知を図ることとしてはどうか。
○ 歯科技工所の勤務環境を改善するためには、業務の効率化を進める必要があ るが、その方法については歯科技工所の規模や地域の状況等、個々の状況に 応じた取組みを考える必要がある。「歯科技工所業務形態改善等調査検証事業」 のモデル事業等において、多様な業務モデルの好事例の収集・分析をすすめ、 全国の歯科技工所で横展開が可能となるよう、周知を図ることとしてはどうか。
○ 歯科医師と歯科技工士の連携を推進するため、現行法令上可能な業務について 内容を整理し、周知することとしてはどうか。


3 歯科技工の業務等について <現状と課題>
3.1 デジタル技術の活用 ○ CAD/CAM装置などデジタル技術を活用した歯科技工により、従来は手作業で行 ってきた工程の効率化や均てん化が可能になる一方で、設備導入や維持のコス トが高額になる、操作に慣れるまでに時間を要するなどの課題もあり、小規模な 歯科技工所では導入困難となる場合も多い。
○ CAD/CAM 装置を用いた歯科技工は増加傾向にあり、これらのデジタル技術を 活用した歯科技工は今後も増加することが推測される。
○ CAD/CAM 装置などデジタル技術を活用した歯科技工のみを行う場合の歯科技 工所の構造設備基準等のあり方について、検討する必要があるのではないか。 ただし、その際は、安全性等も検討する必要がある。

3.2 チェアサイドでの業務
○ 現行では、歯科技工士はその業務を行うにあたり、試適等の患者の口腔内を直 接触れる行為はできないが、歯科技工士の業務範囲を拡大することによって、よ り良い歯科技工物を製作することができれば、歯科医師にとってもメリットがあり、 さらには歯科医療機関における雇用の拡大や歯科技工士の地位向上にもつな がると考えられる。
(参考)
歯科技工士法第二十条 歯科技工士は、その業務を行うに当つては、印象採得、咬合採得、試適、装着その他歯科医師 が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。
○ 訪問歯科診療や介護の現場における歯科技工士の業務のあり方について検討 が必要ではないか。

3.3 トレーサビリティ、その他
○ 歯科技工物のトレーサビリティを確保するために、患者に歯科技工物の作成者 等がわかるシステムが必要であり、また歯科技工士の認知度を上げるために、 歯科技工物の作成者について歯科医療機関に掲示する等の取り組みを進める べきである。
○ 国民がもっと自身の口腔内に関心を持つようになれば、口腔内に入れている歯 科技工物に対して関心が高まり、それを作成している者に目が向けられ、歯科技 工士の認知につながると考えられる。

<歯科技工の業務等に関する今後の方向性> ○ デジタル技術を活用した歯科技工を行う場合について、CAD は PC 上の作業の みとなることから、歯科技工の過程において CAD を行う際にテレワークを活用す る場合の取り扱いを明確化してはどうか。
○ チェアサイド等における歯科医師と歯科技工士の連携を推進する観点から、  シェードテイキング等、現行法令において歯科技工士が実施可能な業務内容  訪問歯科診療において歯科医師に歯科技工士が帯同する場合の業務のあり 方及び歯科技工を行う場所の考え方 について、整理してはどうか。
○ 歯科医師と歯科技工士の連携を推進し、より質の高い歯科医療を提供する観点 から、歯科技工士の業務範囲(歯科技工士が業務を行う上で直接患者の口腔内 を触れることも想定される業務も含む。)については、歯科技工士養成過程にお


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