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ハングタンが奪った嫌疑のお釣り

この物語はフィクションであり、人物・団体などはすべて架空のものです。また、決してこのような行為を真似してはいけません。
なお、ザ・ハングタンのメインキャスト設定等々はこちら

ある晩、松田と言う県職員が何者かに襲撃された。松田は男の顔を知っていたらしく、事件の直前に軽く会釈をしていた。その隙を男は狙っていたのだ。

翌朝、盛岡市清水町のショパンとマッキーの住むマンションではスティングこと原俊彦を囲んで酒盛りが行なわれていた。未成年である(中の人は「おとなデビュー」しちゃったけどね)ウイングは蚊帳の外。
「ハングタンの仕事がない日が一番楽しいんだから」
「ちょっと待て、俺は今から納豆の取材だ」
スティングは納豆の取材と称して部屋を出ようとした。そのときだった。
「はい、横田ですが…あ、少々お待ちください」
ウイングが電話に出て、ショパンを呼んだ。そしてショパンが受けた相手は何とゴッドこと大谷正治だった。
「ショパン、仕事だ。すぐに会いたいので、城址公園はどうかな」
「わかりました」
というわけで、ショパンはウイングを連れて城址公園へ。
「もう、バッキャロー!!」

城址公園もすっかり冬枯れである。
「もうすっかり冬よね」
ウイングは結構重ね着してきたみたいだ。福岡出身のウイングには岩手の寒さは相当堪えるはず。
「マッキーをひとりにさせちゃったけど、大丈夫かな」
ショパンがため息をついていると、そこにゴッドが。
「ショパン、実は折り入って話がある。これを見てくれ」
東北日報の社会面に冒頭の事件の記事があったのだ。
「松田達郎、48歳。中学3年の息子が学園中等部の生徒会長をやっている松田拓也と言えばわかるかな」
「はい。中等部のほうでも顔を何度も見てますから」
「この事件の犯人は大方県職員の不正や汚職に批判的な右翼だと言う声があるが」
「違うって言うの?」
「まぁ、あるいは昨今流行の正義を謳うテロリストや辻斬りグループかな」
「怖いよ」
ウイングはゴッドのテロリストや辻斬りという言葉に震えてしまう。
「でも…」
「ショパン、どうした」
「双方を合わせてみたらどうかしら。例えば不正事件を理由に知事を失脚させたい人が、テロリストとか辻斬り、通り魔を雇ったりとか」
「…まぁ、ないこともない。警察が一枚噛んで迷宮入りとかされたら大変だ」
「じゃ、OKなんですね」
「念のためだ」
そう言ってゴッドは今回の行動予算250万円をショパンに手渡した。
さっそくショパンは盛岡市の西に位置する長橋の松田家に向かった。松田家ではすでに焼香が行なわれており、ショパンも盛岡学園の先生ということで弔問に訪れた。
「このたびはとんだことで」
「先生…父さんの仇を」
「何言ってるの?」
「ハングタンに父さんの仇を」
ショパンからしたら驚いたのは当然だ。そして拓也からとんでもない話を聞いてしまう。
「父さん、何でも岡原って人にいっつも電話してたな」
「岡原さん、て言うのね」
「そうだよ」
ショパンは岡原という名前を気にかけながら焼香を済ませた。

ショパンから岡原と言う名前を聞いたスティングは、今夜も地酒バーにいた。
「純米と、水一升」
「もう、水だけで何リットル飲んだのよ」
「すまない」
「で、お姉ちゃんの話の続きなんだけど」
「岡原って言ったんだね」
「うん、農林水産大臣の許可証を持ってるからって」
「岡原…岡原…」
スティングは岡原という名前を必死に思い出していた。しかし岡原といえば以前スティングたちが競馬をめぐるゴタゴタで利用され、自殺未遂を図った岡原幸樹のことだ。
「岡原さんは確か死んだ…いや、岡原はんは一命を取り留めたとニュースで」
スティングはまさかと思った。
「岡原幸樹のことか。確か松田さんは競馬場運営部署だったらしいからね」
「だとしたら、やっぱり」

松田が刺された件で、東京の六本木ヒルズの中で密議が行なわれていた。
「松田達郎が刺された一件ですが、盛岡では混乱が起きていますね」
「やはりな。しかし岡原の名前が出たことはまだ警察も感づいてないな」
「おそらくは…ただ」
「どうした?」
「もし大谷さんと腹心の配下に探られると」
「大谷さんは腹心の部下を全員クビにしたんだ。いまさらどうってことはない」
「我々が保釈で一週間で出られたあと、岡原が一命を取り留めたと知ったときは驚きましたけど」
「ああ」
ボスの名前は中谷隆一、そしてしゃべっていたのは以前スティングのチーム「ザ・新選組」と激闘の末敗れた「シャドウ・トリニティ」の一員、桂木晋作だった。
「桂木君、万が一ということもある。すぐに長谷川と接触しろ」
「わかりました」

一方、警察は松田達郎殺害容疑で相馬と言う男を挙げていた。相馬は元中央競馬の厩務員だった。
「どうしてわたしを逮捕するんですか」
「相馬、お前は4年前に飲酒運転で捕まったことがあるな」
相馬は4年前に不祥事で厩務員をクビにされた。その後は地方競馬場を転々としていた。スティングはそれを知っていた。
「捕まった相馬は昨年辺りから盛岡や水沢で見かけてたんだよ、なぜそんなことを…」
「へぇ」
「ところで4年前の事故って」
スティングはショパンに4年前の交通事故の記事を見せた。
「4年前に長谷川って新人騎手が事故死したんだが、そんときに関与したのがこの相馬雄吉だ」
「相馬さんって、藤原厩舎所属だったの」
「そうだ。だから岡原幸樹の名を騙って…」
「そう言えば、松田さんは」
「松田さんが競馬ネタで何か?」
「ここをJRAに買い上げるって、そして場長に岡原さんをなんて」
「前にもどっかで聞いた話…あっ!」

スティングは盛岡学園の理事長室でゴッドに話をした。
「保釈!?」
「そうだ。桂木晋作も、そして4年前の相馬雄吉もな」
「どういうことですか」
「実は保釈屋と呼ばれる裏ビジネスが暗躍している。この前もある芸能事務所の社長がそれで保釈になった」
「確か保釈金をローンする人ですよね」
「ただし、今回の場合は岡原も相馬も桂木も競馬絡みだ。それに4年前の事件、その事故で死んだ長谷川の兄を調べていたら…」
ゴッドはスティングに長谷川の兄のデータを見せた。
「長谷川寿志、28歳。4年前に事故死した長谷川政志の兄だ。それに、長谷川の勤める会社社長の中谷隆一」
「この中谷ってのが、今回の黒幕ってわけですか?」
「いや、そうとも言えんな」
「どうしてですか」
「君の言う岡原幸樹の話がもし長谷川か相馬によるでっち上げだとして、中谷を逮捕すればそれで済むのか」
スティングは一瞬考えた。
「この話、松田達郎の息子の拓也君にも関わってくる話だからな。きっちり始末をつけて欲しいんだ」
「先生にもよろしく」
その後ゴッドはショパンにも同じことを説明した。そしていよいよハングタンは長谷川寿志と桂木の始末に向かった。

盛岡駅ではハングタンたちが長谷川と桂木が接触するのを待っていた。
「長谷川ってのはこの人ね」
ウイングとエース、それにアイリは南口、アローとホワイトはスティングと北口を張った。
「これで袋のねずみだ」
スティングが桂木の顔を見た。そしてそこへマッキーがやってきて、長谷川に声をかけた。
「長谷川様ですか、桂木さんと言う方がお待ちです」
「そうですか」
しかし長谷川と桂木は盛岡駅からハンギングの場所へ連れ込まれた。そしてスティングは桂木に顔を知られていることを理由にハンギングには参加しないと言った。
「そんで、これが桂木の保釈金からたかった分だ」
そう言ってスティングは桂木から取った25万円と中谷隆一名義の証文をショパンに手渡す。

放課後、中等部の拓也の下足箱にショパンからの手紙が入っていた。
「先生、約束したよね。きっとお父さんの仇を取るって。ハングタンのみんながお父さんの仇を取ってくれたわ。だから今すぐ盛岡駅の滝の広場へ来てね」
それを見た拓也は自転車で盛岡駅に向かった。

一方、ハンギングを前に桂木と長谷川は戦々恐々としていた。
「念のため、この証文を確認させてもらいますよ」
マッキーがさきほどスティングがショパンに渡した証文を二人の前に見せた。
「松田さんと言う競馬運営担当官を買収して、計画を進めようとした。しかしそれがうまくいかずに殺した」
「違う、違うんだ!」
「いいえ、長谷川さん。あなたは弟さんの仇を取ろうとしたんでしょ」
「た、確かに俺は政志の事故の真相が知りたかった。だが、それを知ったときには…」
「そうですか。では桂木さん、馬に蹴られて死んでください」
すると、二人の後ろに大きな馬の足が。しかも蹄は斧のような形をしていた。
「この後ろの斧が背中に刺さったら大変ですよ…」
そして斧はマネキンに突き刺さった。これを見た桂木は恐怖におののいた。
「さぁ、どうしましたか?」
桂木はまったく知らないと白を切り通したが、さすがに斧が首筋に近づくともう怖くなった。
「中谷さんに金積んでもらって保釈されたんだ、岡原の名前を騙ったのはこの長谷川なんだ」
「冗談じゃない。政志の仇の相馬って奴を盛岡で見た人がいるって言うから、たのむからやってくれと言ったんだ」
「そんなこと言っちゃいない、岡原の名前を使ったのは相馬だ、それに中谷さんの考えに反対する県職員の松田を殺したのは長谷川だ。でもすべて中谷さんの差し金なんだよ」
「と言うことは、相馬はシロですね?」
「相馬は中谷さんに保釈金の恩を受けた人間なんだ、それを殺せなんて酷いボスだ」
桂木と長谷川の自白は盛岡駅滝の広場に響き渡っていた。桂木と長谷川は滝つぼの中心で縛られていただけだったのだ。

「桂木さん、まだ競馬場乗っ取りをあきらめていなかったのですね」
「そうだ、悪いのは中谷さんだ。あいつは競馬関係者の保釈や過怠金立替などやっているんだ」
「でも俺と相馬さんはあんたに利用されただけだ。中谷さんは俺を消そうとあんたを盛岡に送ったんじゃないか」
「ふざけんな」
そんな罵りあいを拓也も見ていた。そしてハングタンたちはスティングと一緒に対岸のぴょんぴょん舎で食事しながらこの光景を見ていた。
「よかったね」
「でも、中谷さんは保釈金なんかで人の罪をもみ消す人よ」
「したたかな男だ、当面長い付き合いになりそうだな」
憮然とした表情でスティングはハラミと牛タンを食べていた。

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