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うるさい!ツンデレ家庭教師

盛岡学園の体育館。今日も牧村環率いる女子バスケ部は放課後練習だ。環が信頼する高橋弥生は福岡からの転校生で、今日も元気にボールを動かしていた。
「おらおら、弥生についてく気持ちで」
環は部員たちに檄を飛ばした。しかし弥生についていけない。すると環は切れてしまう。
バッキャロー!!
弥生に合わせるのよ、弥生に。そんなことで全国大会勝てると思う?」
そして弥生は笑顔で他の部員にパスした。
「それじゃ、今度は相原、あいぽん、宮田で弥生を囲んで」
あいぽんとはもう一人いる高橋、1年生の高橋愛佳(あいか)のこと。
「じゃ、行くわよ」

練習が終わって、弥生が環に呼ばれた。またゲームの話かと思っていた弥生だったが、環が口にしたのはそのことではなかった。
「高校終わったらどうするの?」
弥生は考えた。どうせなら東京へ出よう。でも牧村先生と別れるのは辛い。
「ま、どっちみち春になればここを去るんだし」
「先生・・・」
しかし環の話はこれで終わりではなかった。
「でも弥生、あんた勉強はまじめにやってるの?この前もテスト64点よ」
「すいません」
「寛明は95点よ。中川さんもフランス帰りで80行ったのに…」
弥生はため息をついた。
「これはもう、家庭教師を呼ぶしかないわね」
「えっ?家庭教師…どこに呼ぶのよ」
「当然、うちでしょ」
弥生はぶつぶつと文句を言った。こうして環の提案で弥生に家庭教師がつくことになった。

数日後、弥生の家庭教師がやってきた。
「はじめまして。阿部真弓です」
「それじゃ、よろしくお願いします」
阿部真弓は横田夏子と弥生に会釈してから部屋に上がった。
「先生は何教えてくれるの?」
「国語。色々と問題がありそうだから」
「へぇ~」
「じゃ、さっそくこれやってみて」
真弓は弥生に本をどっさり用意した。弥生はただただ驚くばかり。


さて、盛岡市内では大学生の竹田さゆりがある中学生の家へ向かっていた。
「えっと、ここよね」
さゆりは中学生の家についた。そして山田あゆみを呼んだ。
「あゆみちゃん」
あゆみの母もあゆみを呼び出すが、あゆみはなかなか現れない。
「すいませんね、いつもあの子ったら」
さゆりは2階に上がり、あゆみに話をしようとした。しかしあゆみは手首を切って自殺、さゆりは言葉が出なかった。

翌日、一人で朝市に出向いた環は原俊彦に出会う。
「あ、おはよう。どうしたのよ」
「普通免許、ゲットだぜ!」
俊彦は免許証を環に見せつけた。そして刷りたての朝刊を見せた。そこには山田あゆみの自殺が記事になっていた。
「こんな事件があった。家庭教師の絡みで自殺したらしいが」
「えっ」
「ま、気をつけるようにってことで」
環も弥生のことがある。山田あゆみの二の舞はいやだ。だが、これはそんな単純なものではなかった。

盛岡学園の高等部の屋上で、夏子と環が話をする。
「でも、家庭教師なんてどこもやってるのよ」
「それが、最近女の家庭教師が絡んだ事件が多発してるの」
「そのことね」
環は朝市での俊彦の話を思い出した。山田あゆみもその犠牲者だろう。
「自殺者まで出たのよ。ほっとけないわ」
そして二人はゴッドである理事長の大谷正治へ直談判。
「家庭教師が元で自殺する子が出たんです、何とかしないと」
「そうですよ」
しかしゴッドの返答はNoだ。
「だが、なにも証拠がないんじゃ行動できないだろ」
「それよね」
そこで環は弥生の家庭教師から糸口がつかめたら、と弥生に協力を求めた。

弥生は今夜も真弓に教えてもらうことに。
「ああん、そこ違う。ここは…」
真弓にダメだしされると弥生はちょっと照れくさくなった。そこへ白澤美雪と斉藤葵がやってきた。
「あっ、葵、美雪」
「来たよ~」
葵は真弓に会釈してから中座。そして数学の教科書を広げた。
「数学ならまかせて。あたしもおじ様から経理教わったから」
「うん」
そして3人は真弓にあれこれ教わりながら勉強を進めていた。そして終わりに弥生と葵が真弓に問いかけた。
「ねぇ」
「今日の新聞、見ました?」
真弓はおろおろした。
「さゆり、かわいそう」
真弓のつぶやきを聞いた弥生はうつろな目をしていた。葵はさらに問い詰める。
「さゆり、って誰です?」
「あたしの高校時代の友達。別になんともないわ」
「そう…」
しかし真弓は後ろめたい気分だった。

真弓とさゆりが勤める「岩手家庭教師派遣センター」では、センター長の奥寺がスタッフに説教をしていた。
「まったく、近頃の若い子は。ツンデレだか何だか知らないが、そんな態度で子供に触れるなと何度言えばわかる」
スタッフの一人が反論する。
「でも、みんなあたしのことをじろじろ見るから」
「そうよ、うちの担当の子も気が散るとすぐいたずら。なんとかしてって」
だが、奥寺は耳を貸そうとはしなかった。
「そう言う教え方がよくないんだ」
そこへ真弓が戻ってきた。真弓は奥寺と家庭教師たちの話を聞き流していたが、過熱したもんだからもう黙っていられなくなった。
「うるさい、うるさい、うるさい!」

翌朝、盛岡学園の生徒たちの間である口コミが流れた。
「あのさ、俺もこの前から女の家庭教師を雇ったけど…」
「あの先生ツンデレだよ、ツンデレ」
「ツンデレって」
「あたしも知ってる」
そんな話題を葵と荒川まどかが耳にした。さっそく事情聴取。ある女子生徒は
「女の先生で、格安派遣だって。現役大学生もいるから信用してたのに」
と証言。そして別の生徒は
「確か問い合わせのときに奥寺とか言ってたな」
「そういえば岩手家庭教師派遣センターって」
と、岩手家庭教師派遣センターの名前を出した。まどかは家庭教師派遣センターに興味があったので、さっそく連絡をすることに。

夏子と環は俊彦から新事実を聞きだす。
「ねぇ、お酒おごるから、聞かせてよ」
「実は岩手家庭教師派遣センターと言う家庭教師の派遣業に苦情が来てるんだ。県教委でさっきまで記者会見があってね」
「へぇ~」
「だから、念のため派遣センターを調べるけど」
「お願い」
その後、環にまどかからの連絡が入る。まどかからも派遣センターの話が出た。
「そのことね、それならすぐに派遣センターへ行くことにするから」
環は俊彦の手引きで派遣センターへ。そこにはすでにまどかも来ていた。
「まどかちゃん、早かったね」
「今日は練習がないから」
「さて、派遣センターへ行きますか」
派遣センターは上田の病院と大学のちょうど中間にあった。なるほど、ここなら家庭教師できる人も多い。
「すいません」
俊彦が入ろうとすると、そこには誰かいたようだ。
「息子は悪くありません、あの先生が」
「先生のせいですって?親のあんたがろくなことしないからでしょ」
それを見た俊彦は、携帯電話で奥寺が被害者の母親をぼろくそに言う有様を撮っていた。
「よし、入るぞ」
そしてまどかは俊彦のエスコートで奥寺と話をした。
「荒川さんは、サッカーをなさっているとか」
「はい」
「ちょうどこの前も、高橋さんと言う」
そして奥寺は弥生の資料をまどかに見せた。
「弥生ちゃんも。で、担当は」
奥寺はさゆりを呼び出した。
「この子なんかどうでしょう」
「は~、いいと思います」
「荒川まどかさんですね」
「は、はい。さゆりさん、よろしくお願いします」
こうしてまどかはさゆりを家庭教師として迎え入れた。

そしてその夜、弥生と美雪も交えて勉強会を開いた。
「だから、ここ違うって何べん言えばわかるのよ」
「す、すいません」
「ページが間違ってるわ、あんた馬鹿?」
弥生はすっとぼけていた。それを見たさゆりは、
「ほんとに馬鹿ね」
すると美雪が怒った。
「うるさいな」
するとさゆりも反撃。そして収集がつかなくなった。そこでまどかが止めに入った。
「さゆりさん、まさかあなたが…」
「そうよ」
「でも、どうして」
「お金よ。高給で派遣家庭教師になれるって、だから」
「学費のために、無理をしてたんですか」
「それだけじゃない。奥寺さんは派遣の家庭教師に給料を払うためどうしてもお金が必要だと言った。だから…」
「だから成績が悪かったら追加授業料とか、家庭教師のために貢いだり」
「えっ?」
さゆりにはそこまでのことはわからなかった。
「知らなかったじゃ済まないから」
生徒たちの作戦に見事にはめられたさゆりは、奥寺の悪事を告白。
「でも、あの子は殺してない。あの子は自分で…ほんとよ」
「わかったわ。信じてあげる」
まどかと弥生から話を聞いた環は、夏子、俊彦と組んで奥寺と数人のスタッフを捕まえた。

あくる朝、山田家に便箋が届いた。差出人は不明だが、サッカーボールの封がしてあった。これはまどかのもの。
「山田さん、娘を苦しめ自殺に追いやった家庭教師に天罰が下ります。正午、盛岡学園の栴檀の木の前にお越しください」
こんな招待状が届いたのだ。

奥寺は暗室に閉じ込められた。
「なんだ、ここは」
そこへ環を中心にハングタンの面々が集まった。
「わたしたちはハングタン」
「ハングタン?」
「あんたのような悪人を始末する死刑執行人よ」
そして奥寺の前に六つのトーチカが置かれた。
「このトーチカに入ってもらうわよ。ただしトーチカには爆弾が…」
弥生が武器であるニトロ入りバスケットボールを部下たちに投げつける。
「それっ!」
ボールは爆発し、部下たちは真っ黒け。
「わかりましたね、トーチカの爆弾にご注意ください」
そう言ってハングタンたちは去った。そしてトーチカの中から爆音が鳴り響いた。
「いいですか、今から空爆を開始します」
「ふざけるな」
「何もかもしゃべらないと、後悔しますよ」
しかしこの爆音はさゆりの自供テープを隠すための環の罠だった。そして箱の外では真弓たちが待機していた。
「さあ、しゃべってもらいますよ」
「うるさい!」
「さぁ、学生をカモにする商売人のみなさん」
「すべて話せば許してあげます」
「黙れ!」
しかし爆音は止まらなかった。そして弥生がまた爆弾を投げつけた。
「やめてくれ、話すよ」
奥寺は家庭教師のビジネスで教育を変えようとしたが、経営が傾いたので安価な家庭教師を売り込んだと言うわけだ。しかし、なにか売りになるものをと考えて若者のニーズに合わせようとした。
「学生にも最初は協力してもらったんだ。でも、だんだんと不満が出てきて…」
そこで夏子はさゆりの自供テープの音声を奥寺の自白に差し替えた。奥寺の声を聞いた野次馬たちは怒り心頭。
「ふざけるな、金返せ!」
「だまされたよ」
さらに俊彦の撮った保護者いじめの映像まで流した。
「ここまできたらもうだめだわ。せいぜい反省しなさい」
突然トーチカに光が差し込んだ。そしてみんなで奥寺をもぐらたたきにした。ほどなくパトカーがやってきた。
「これで、みんなまともに勉強できるといいのにね」
「誰かの力を借りてまで勉強する、方法論としてはありだけど」

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