赤松正雄のブログ

公明党・衆議院議員。国会での出来事を中心に、今、世界で日本で話題となっている様々な出来事をどう受けとめればいいかを解説。

長寿医療制度を批判する人たちのあまりに狭い了見

2008年04月24日 | Weblog
 この4月1日にスタートし、15日からは年金より保険料が天引きされることになった長寿医療制度(後期高齢者医療制度)が野党及び一部メディアから厳しい批判にさらされています。ここではなぜ、この制度が必要なのかを三点に絞って述べて見ます。

 第一に、この制度を作ることで、日本の医療保険制度の崩壊を防ぐことを狙っています。これから6年間で75歳以上の人口は23.6%も増え、その医療費は全体の3割を大きく上回る一方、一人当たりの医療費では、75歳以上は、それ未満に対して4倍も超えようとしています。つまり、この75歳以上をターゲットにして医療費を抑制することが国民的課題だとの認識を持つ必要があるのです。今まで曖昧だった現役世代と高齢者の負担を明確にし、世代間で負担能力に応じて公平に負担するとともに、公費(税金)を重点的に充てることにより国民全体で支えようという仕組みなのです。「年寄りは死ね」ということか、とか「現代の姥捨て山」などの批判は全くの筋違い。お年寄りにも自立の気概を持って元気で長寿をしてもらおうとの観点からの仕組みなのです。

 第二に、医療費増大の最大の鍵をにぎる後期高齢者の方々の健康保険制度を運営する主体を都道府県単位のものにすることで、より安定した仕組みにしようというのです。市町村の国民健康保険はもともとは、農業や自営業者のための医療保険であったのですが、高度経済成長の進展のなかで、無職の高齢者のためのものへと変貌を遂げててきました。約20年前には老人保健制度が導入されたものの、被用者保険制度とのバランスがいよいよとりにくくなり、新たな仕組みが必要になってきたのです。パイを大きくすることでより安定的な運営を可能にしようと狙っています。

 第三に、複数の病気に罹ったり、長期の治療が常態の高齢者の特性に鑑みて、新制度では真正面からお年寄りに向き合おうとしています。かかりつけの主治医のもと、外来から入院、在宅治療まで一貫した流れのもとでサポートしていこうとの考え方にたっているのです。これに対して理念倒れの可能性を指摘したり粗探しをする向きがありますが、少子高齢化が一層進展する時代にあって、全く新しいシステムをみんなで育てる自覚が必要ではないでしょうか。

 それにつけても、この制度の見直しをはやし立てる自民党の一部議員には、その見識を疑うことを通りこして、怒りすらわいてきます。