ここには確かにあの街があったんだ。むかしむかしの話だ。

たどり着く場所なんて考えてはいなかった。歩いてきた。ゆっくりとだ。はじまりの場所は,はっきりと覚えている。

人の思いをおいたまま季節は流れ去っていく。風情など感じることのない人たちの周囲でも・・だ。

2019年07月05日 23時43分09秒 | テレビドラマが語るものがたり


彼女はまだ母親が亡くなったことを知らされてはいない。僕にもそれを伝える勇気はない。いまはまだ。彼女がほんの1週間か10日という予定で入院してからすでに7ヶ月が過ぎた。まだ退院できそうもないのだという。僕は入院以来初めて見舞った,今日のことだ。

いつも彼女の洗濯物を洗濯してもっていったり身の回りの世話をしている彼女の兄が,手術を受けたからだ。同じ病気で手術は今日だった。代役で顔を見に行った。洗濯物はその彼女の兄さんの嫁さんがもって帰ったとのことだった。
僕は嘘はつかなかった。ただ本当のことを言わなかっただけだ。

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