新興感染症といえるコロナ感染症の終息がなかなか見えてこない。
一方では、日々続く猛暑や豪雨などの気候変動。
涼を求めて山に入ろうとすればツキノワグマやイノシシなどの野生動物との遭遇。
いったい、この先どうなるのかそれに対して自分はどう構えていくのか、さほど中味の詰まっていない頭を日々ふり絞る。
自分の仕事としている親子や子どもたち向けにガイドしたり話をしたりする場合にもこの頃はこれらの問題を避けて通れない。
それでも、気づいてきたことはある。
それは、考える頭の中をアップデートし続けることで見えてくるものがあると。
アップデートとは、いうまでもなく、ソフトウェアを更新してスマホやパソコンのシステムを最新の状態にすることだ。
頭の中をソフトウェアと比較するなんて・・・・とも思われるかもしれないが、常に最新の情報や知識を取り入れ、なおかつ柔軟な思考ができるような状態にしておくといったらよいのかもしれない。
そのためには日々研さんだ。
研さんを進めていくためには、次の3つがポイントになると考えている。
➀人から学ぶ
②本や図鑑など書物から学ぶ
③自然のフィールドから学ぶ
➀はいうまでもない。
周りの方々にはそれぞれの分野で、これまで蓄積されてきた深い知識や技術を持っている方が多い。
キノコと言えばこの方、粘菌と言えばこの方などその方の顔を思い出す。
直接教えをいただけるにこしたことはないが、必ずしもそうはいかないだろう。
その方が主催ないし講師となる観察会でも良いだろう。
直に学べば、その方の人となり生き方まで吸収できる。
もちろん、今の時代なら、電話やSNSを使って学ばせてもらったり教えを請いたりできる。
ただし、教えをいただいた以上はお礼だけでなくすぐに自分でも調べてみることが大切だ。
簡単に「食べられるか食べられないか」「名前は○○だ」がわかったからといって自分で確かめてみなければそこで思考が止まってしまう。
②は、一人でもできる。
私はできるだけ多く本を読むようにしている。
雑誌や小説などをのぞけば月10冊程度だろうか(おそらくこれでも不十分だ)。
本代がかさめば図書館から借りることにしている。
今は図書館同士がネットワークでつながっている。
お目当てのものが図書館になければ市内の図書館それでもなければ県立の図書館で検索してもらえる。
たいがいは、それで間に合う。
私がしばしば頭を悩ませているのは、生物の同定だ。
持ち合わせの図鑑でもそれが古ければ古いほど正しい情報に行きつかないこともある。
例えば、昔は食用であったが今は毒キノコのスギヒラタケの場合がある。
だから図鑑は新しいものがよい。
それとて、たまに間違った記載がある。
図鑑はその分野に関して1冊だけではなくできれば3冊あればよいだろう。
ネット検索は信用できるものが良い。
ネット上には、怪しい情報もありふれているからだ。
自分の考えを骨太にするには、確固とした哲学を持っておられる方の著作がよい。
最近、私が読んだ著作では、「虫とゴリラ」(養老孟子・山極寿一著・毎日新聞出版)が印象に残っている。
大切だと思った箇所はそのページに折り目を入れて再度見直したりノートにその部分を書き出したりしている。
書き出したものをあとで見返すとそれだけでも自分の考えにしっかりとつなげることができる。
③は、最近特に大事だと思うようになった。
いうまでもなくフィールドの自然は、一日として同じ姿を見せない。
毎日変化しているのだ。
できれば「マイフィールド」と呼べるフィールドを持ち、毎日歩いてみるのが良いだろう。
とはいっても毎日となると容易ではない。
私は自宅から2キロメートル先の真人公園ならびに真人山をマイフィールドと呼んでいる。
5分でも歩けば生物の変化に驚かされてしまう。
それを自分一人のものにしまっておくだけではなくマイフィールドを自然観察会のフィールドにしてしまう。
それによって、より多くの方に身近な自然にも不思議や変化があることに気づいてもらうことができる。
また、フィールドの自然には、自然の摂理というものがたくさん隠されている。
これほどの香りがする草木になぜこのイモムシが食草とするのか他のイモムシはなぜ来ないのかまるで競合しないようにそれぞれがそれぞれの草木を食草としていることに驚いてしまう。
なぜ、この花はこんな形をしているのか、それはある種の昆虫に花粉を運んでもらうための形であったり光をより多く集めるための形であったりする。
秋に赤い実を付ける植物はなぜこれほどまで赤くするのか、そこにはその赤色につられて野鳥たちがやってくる。
おまけにまるごと食べられても種子は消化されない仕組みで野鳥の糞まるごと移動先の場所に落とされてしまう。
自然の中を観察しようとすればするほど不思議だが実にうまくできていることに感心してしまう。
自然の見せる姿は、私たちヒトが生きていく上で大切なことを教えてくれているような気がしてならない。
自然は、先生なのだ。
だから、私も努めて自然の中に入っているといってもよいだろう。
とここまで書いていたら、それでもフィールドの中に入っていくことの魅力を十分書き表せないでいる自分に気が付いた。
こうなればアップデートし続けるしかない。
頭の中がアップアップしない程度にね・・・・
おまけ。より多くの方に楽しく伝えるにはユーモアを忘れない。
※写真は冬虫夏草。まだ詳しくは解明されていません。