Mr.トリックの科学・自然・子育て論議

どんな科学マジックでもすぐそのトリックが見破られるMr.トリックが、科学や自然それに子育てについて語ります。

ネイチャーガイドで伝えたかったこと

2023-05-31 05:08:40 | 日記

5月28日の能代市の13名の皆さんを案内して5月のネイチャーガイドはひとまず終了した。
4月22日以降、人数にして(複数によるガイドを含め)述べ265名の皆さんを真人山や黒森山それに三平の里周辺など里山を案内したことになる。
我ながら驚くほどの数であるが、問題は案内した方々にしっかり里山の魅力を伝えられたかどうかにある。
私が、いつも理想に描いていること・願っていることは次の2点である。

①より多くの子どもたちに(里山の)自然に触れてもらいたい
②より多くの方々に水辺や公園を含む里地や里山の自然を活用し親しんでもらいたい

それは完ぺきとは言えないものの貫いてきたつもりだが、あとは内容である。
ご存じのように私は、植物や野鳥や昆虫の専門家ではない。
まして、研究者とはいえない。
ただ、(里地里山の)自然と人との橋渡し役いわばインタープリターでありたいと願ってきた。
目の前で起きている自然現象をわかりやすく楽しく伝えたいと願ってきた。
そのためには、自然のこととりわけ生き物の生態を知らねばならないし、背景となる歴史や文化など理解していかなければならないと心がけてきた。
そのための日々の勉強はしてきたつもりだが、深めれば深めるほどわからないことが増えて、時にはつまずくことも多かった。
それは、参加される皆さんからの質問への解答であったり的確な解説ができなかったりしたときに痛感した。
そのたびに自宅に帰ってからは復習の連続であった。
そこで見えてきたことはあった。
それは、
「ヒトは自然の一部であると同時に植物や野鳥それに動物や昆虫など生き物はすべてつながりあって生きている」
ということだ。
当たり前といえば当たり前のことだが、ここにきてようやく見えてきた。
例えば、多くの植物は子孫を残していくためには、花粉を運んでくれる昆虫や野鳥がいなければそれは不可能である。
また、種子を運んで(食べて)くれる昆虫や野鳥がいなければ植物は子孫を残すこちができなかった。
例えば、カタクリやスミレはアリがいるおかげで、種子を親元から離れたところに運んでもらえる。
それもエライオソームといういわばアリにとっての食料付きである。
樹木の実が赤いのは、野鳥たちにとって目立つ色だからだ。
その色を目指して野鳥たちは赤い実にやってくる。
食べた後は、種子だけは消化されずにこれまた親元の場所から離れたところにフンとして運ばれる。
樹木によっては、赤い実になったばかりの頃は味がまずいだけでなく毒まで含んでいるものまである。
ところが、それは冬の寒さを通り越して食料不足となった冬のさなかに食べごろを迎える。
2月ごろ、ナナカマドやカンボクなどの赤い実がようやく見えなくなるころがそれである。
クルミやドングリなどは、ネズミやリスたちにとって格好の食料となる。
幸いなことに、ネズミやリスは貯食する習性がある。
貯食してもすべてが食べられるとは限らない。
中には地中に埋まったものがある。
それらがやがて芽を出すことになる。
先述したが、植物も「親離れ子離れ」している。
近くに親植物があれば、日陰になり水や養分も奪われてしまう。
だがそれ以上に問題なのは、近親同士で交配するという自殖が問題だからだ。
生き物には「自殖劣勢」というものがある。
自殖によって遺伝的に弱い子孫が生まれる可能性が高いことだ。
どんな環境にも耐えられる多様性というものが生まれないからだ。
だから植物によっては、オスとメスが別の株であったり中にはおしべとめしべの成熟をずらすものさえある。
それだけ自殖はリスクが高いということだろう。
それでいながら自殖は確実に子孫が残せる方法だ。
そのため、自殖と他殖の両方を準備しているものさえある(ツユクサなど)。

植物によっては、子孫を残すため上手に昆虫や動物を利用しているのがあるが、中には食べられすぎまいととげや毒をもったりするものまである(被食防御戦略)。
春を迎え、夏鳥がやってくる季節になると草木の葉が展開する季節でもある。
昆虫たちにとっては幼虫が育つ季節だ。
食欲旺盛な幼虫たちにとっては展開したばかりのやわらかい葉はまさにごちぞうだ。
それは夏鳥たちにとってはごちそうだ。
展開した葉は、野鳥たちにとっては天敵から逃れる場所となるし、食料となる幼虫たちそれは野鳥の子育てにとって絶対必要な食料でもある。

もちろん、生き物同士のつながりはすんなりと続けているわけではない。
時にはだましあい、時には人間にとって「ずるい」と思えることもあるだろう。
しかし、それは一方的にどちらが不利とか有利だとかとなるものではない。
バランスが取れているのである。
だから生き物たちは昔から今まで生き続けて来られたのである。
もし、絶滅する種がいたするとほぼ人間活動によるものであるといえるだろう。

こんな生き物同士のつながりは、まさに目の前で起きているのだ。
もっともただ野山を歩いていただけではそれは見えるものではない。
それが見えるようにしていくのが私の仕事ではないのかと思えるようになってきた。
もちろん、一見して見えないものを見えるようにするなどということは簡単にできることではない。
時には、話の内容で、またあるときには自分の撮った写真で、またあるときには目の前の痕跡で少しでも見えるように務めていくのだ。

この頃、少しずつだが自分自身の役目というものがわかるようになってきた。
6月からは里山だけでなく滝や川など水辺もフィールドとして加わるようになる。
6月7日には、里山講座も始まる。
さて、次はどんなストーリーを描いていこうか。
今は、それを想像するだけでわくわくしてしょうがない。

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こうして「こどもの日」スペシャル企画「ゴーゴーゴー」が生まれた

2023-05-08 05:57:04 | 日記

今年の「こどもの日」は、令和5年5月5日。
まさに「ゴーゴーゴー」と呼べる日。
この日は、私にとって特別な日となった。
「こどもの日」にというべきか「こどもの日」だからこそ子ども向けの企画を仕掛けてみたいという強い思いが実現できたからだ。
強い思いというのは、自身の子育ての経験からでもある。
自分の子どもが小さな頃から、自然の中で遊ぶことは大切なことだと確信めいたものを持っていた。
だから、「こどもの日」となれば思い切り自然の中で遊ばせる日となっていた。
例えば、雪のあまり影響がない高い山に登ったり野山をハイキングしたりという具合にである。
自身の子育てが終わり、より多くの子どもたちにも価値ある自然体験ができないものだろうかとひそかに考え続けてきた。
登山だとそのガイドスキルは私は弱いし、リスクも高くなる、さりとて室内での実験ショーではこれまた自信がない。
では、自然観察会は?
小さな子でも楽しめるものにできるのか?
などと考えてきたが、たどりついた答えは?
自然のフィールドでとにかく遊ばせる、それも科学に裏付けられた自然遊びを!
がそれだった。
では何ができるのか?
ふと自分の子どもが、西和賀町の写真家・瀬川強さんが主宰する自然観察会でフジづるでターザンごっこに興じる写真が出てきた。
これだ!
と直感した。
だが、次なる問題が出てきた。
自分のフィールドすなわち真人山にはターザンごっこなどができる場所はあるのか?
今度はその視点で真人山をめぐった。
フジづるがないわけではなかった。
だが場所が悪い。
藪の中では、ターザンごっこなどできそうもない。
ふとまた思いついた。
そうか、フジづるを公園内に持ってくれば良いのか。
でも待てよ、どうやって持ってくるのか?
そこでまた思いついた。
そうか私には古くからの森のプロがいる!
その名も「NPO法人森の王国サルパ」の代表である。
代表らは、しばしば真人山で森林整備の活動をしている。
真人山にも精通している。
どこにフジづるがあるのか探すぐらいであれば朝飯前だ。
早速頼み込んだ。
これで見通しがたった。
次に参加者の参加費用だ。
せっかくの「こどもの日」だというのにわざわざ真人山に来てくれてお金をいただくのは忍びない。
スポンサーを探すこととした。
私がお世話になっている 秋田県森の案内人協議会の役員には秋田県の青少年育成組織に所属されている方がいる。
早速聴いてみた。
秋田県の組織としてはできないが、地元横手市では実現できるかもしれない。
早速紹介していただいた横手市の代表の方に自分の思いを伝えに向かった。
地域の子どもたちのためにスポンサーになっていただけないか、親御さんの経費を極力抑えて子どもたちの健全育成のお手伝いをしたいのだと。
願いが届いた。
こうして、参加費無料の野遊びできる環境が整った。
相談し始めてからここまでの期間およそ3か月である。
次なる課題は、人集め、そもそも来てくれる方はいるのか?
3月の始めに周知開始。
同時に周知された一般向けの真人山ツアーはわずか3日間で定員の20名に達したようだ。
ではこちらの親子企画は?
周知から1週間、2週間と時間は過ぎていった。
ところがいっこうに申込者はいない。
少しずつ焦りが出てきた。
そこで容赦なくメディアや知っている方にお願いした。
「そもそもこどもの日に野遊びなんて無理な話ではないのか!」と助言されたりもした。それはうすうす感じていたことではある。
今や「こどもの日」には魅力的なイベントがたくさんある。
それでもやってみる価値はあると自分に言い聞かせたりもした。
ではそれらとの決定的な違いは何なのか?

〇自然の中にある素材を使って自然の中で遊ぶ
〇お金が一切かからない

この二つではないかと思う。
逆に言えば、自然の中ではお金などかけずに遊べるものがたくさんあるということだろうか。

そうこうしているうちに申込者が過去の自然観察会の参加者を中心に少しずつ増えてきた。
結局集まったのは、親子13組の40名である。
1組4名のキャンセルがあったので当日は12組の36名。
十分すぎるほどの人数だ。

迎えた当日、願っていた天気も良好だ。
急遽自然観察指導員の保育士にも手伝ってもらえることになった。
まずは公園の中を歩いてカタバミの葉で10円玉磨きだ。
ぴかぴかにしたところで、2日前にかけてもらったフジづるの場所に向かう。
フジづるは3本ある。
子どもたちは、19名いるが、すぐに順番が回ってくる。
行きも帰りもターザンごっこを楽しんだ。
子どもがフジづるにぶら下がり落ちないようにバランスを取る。
子どもたちが大きく里山の中で揺れていく姿を見て思った。
子どもたちからは、どんな景色が見られただろうかと。
フィールドビンゴや草笛体験の他、保育士が準備してくれたイタドリ笛はおみやげになった。
かくして、令和5年5月5日の特別な「こどもの日」は終了した。
参加してくれた子どもたちや引率してくれた親御さんたちには、どのようにこの日が映ったであろうか。
果たして、この場にお子さんたちを連れてきて良かったと思えただろうか?
もしかすると自己満足かもしれないが、私は「やりきった!」という思いでいっぱいだ。
ただ、これで終わりではない。
親御さんたちに自然の中ででも遊びはできるということをお伝えできたのか、そのために次にどうつなげていくのかなどである。
まだまだ課題は多い。
研鑽の日々は続く。

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ばっけには、オスとメスがあるんだー第1回釣りキチ三平の里自然体験塾より

2023-05-02 05:31:47 | 日記

今年度1回目の「釣りキチ三平の里自然体験塾」が4月22日に行われた。
3年目を迎えた体験塾は、これまでのように「親子」や「子ども」と限定せずに、どちらでも参加できるというスタイルに変えた。
また、年間計画を裏面に印刷したチラシも横手市内の全小学生およそ4000名に渡され、さらには横手かまくらFMなどのメディアに宣伝されたこともあって申込者が横手市内を中心に40名に達した。
キャンセルなどがあり、結局34名(親子14組)の参加者におちついたが、それでも初めて参加する親子が多く緊張感がわいてきた。
ただ、私の悪い癖なのだが、張り切ると過剰なリップサービスになりがちなので、説明は控えめにあくまでも子どもたちの体験を優先させていくことを心がけた。
初めは、触れる体験として、ツクシ から胞子を飛ばしてみる、スゲ(ミチノクホウモンジスゲ)から花粉を飛ばしてみる体験だ。
見えにくいのだが、もう一人のガイドがあらかじめ黒いミニ画板を準備してくれ、その上で見せることにより子どもたちのイメージが膨らんだ。
次に、トチノキの展開しつつある冬芽のねばねば感だ。
これもまた、なぜねばねばでなければならないのか考えてもらうきっかけとした。
カタクリが多く咲く場所では、手鏡を充てるなどして蜜標(ハニーガイド)の模様を見てもらった。
桜の根元には、春のキノコであるアミガサタケがあることを下見で確認していたので、それも見てもらったり触ってもらったりした(れっきとした食用キノコである)。
ばっけ(フキノトウ)が多く見られる場所では、ばっけにはオス(雄株)とメス(雌株)があることを知ってもらい、その違いに触れた後、子どもたちには歩きながら確認してもらった。
ゲーム感覚でやっているうち、ほぼ子どもたちはそれが同定できるようになった。
ユキツバキの花が割いている場所では、庭に割いているヤブツバキとの違い例えばしなやかさや花の作りに触れたのち、葉を1枚ずつ取って太陽にすかしてもらった。
葉脈がはっきり見えることを確認してもらった。
オオバクロモジは、なんといっても香りで知ってもらうことが一番だ。
枝が発する香りや葉っぱが醸し出す香りもこれが食べようとする昆虫には有害な揮発性の物質であっても人体には心地よいことも付け加えた。
釣り堀池近くに下りるとミズバショウが群生する池がある。
雪もすっかり消え、ミズバショウが真っ盛りだ。
ミズバショウはその美しさとは裏腹に毒を持つ。
しかしながら、その毒をも利用して食べる動物がいる。
ここで、いつものようにクイズ形式で問う。
さて、その動物とは何か。
もちろん、ツキノワグマだ。
その毒を利用して冬眠(冬ごもり)中の宿便を出す。
それから、いよいよ釣り堀池にやってきた。
まだ水はなく魚は話されていないが、泥水の中で冬を越したであろうアカハライモリの多く棲む池だ。
ここでたっぷり時間を取る。
魚釣りをする子どもでなければ、今はじっくりイモリをさがすなどという時間などないだろう。
体験塾ならではこそのプログラムだと自負する。
ここで、爬虫類両生類博士の中学生こと鈴木君の出番だ。
彼は、私が仕事を退職した5年前から毎回のように私がかかわる自然観察会や自然体験活動に参加している。
今では、大事なお客様というよりガイドスタッフに近い。
要所要所で、彼に説明してもらうようにしている。
まだ中学2年生になったばかりだから小学生にとっても頼りになる兄貴的存在であるに違いない。
さて、子どもたちはイモリを次々と見つけては観察したり親御さんの了承を得て自宅に持ち帰ろうとしたりする。
鈴木君からオスとメスの見分け方や婚姻色の説明を受けている子もいる。
それほど大きな池ではないが、本来の子どもたちの遊び場空間となっている。
よく童心に帰るというが、まさにこれこそが本来の子どもの姿ではないかと思えてしょうがない。
30分も過ぎただろうか、子どもたちの動きがやや静かになってきたところで池から上がってもらう。
帰り道は、もうすっかり生き生きした表情の子どもたちだ。
きっと子どもたちも親御さんも満足してくれたに違いないー私もほっと一息ついた閉会式であった。

ヒトだけが通過するであろう長い子ども時代ーどんな子ども時代を過ごすか、それは大人になって振り返るとき、その人自身の人格形成につながりあるいは良き思い出となってよみがえる。
だからこそ、子ども時代は四季折々の自然の中でたくさんの体験をさせたい、それも五感を駆使しながら・・・・
かくして、3年目の自然体験塾がスタートした。

※写真は、イモリを探しているうちに発見したコオイムシ。オスだけが背中に卵を背負います。

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5年間を振り返り6年目の活動がスタート

2023-04-05 06:02:45 | 日記

公の仕事を定年退職してから早5年が過ぎた。
振り返れば、ちょうど退職の年、関係機関からヒアリングされたことが懐かしい。
担当者から聞かれた。
「定年後どうされるつもりですか。」
もし、この場で「まだ考え中です。」「再任用や再雇用も選択肢にあります。」
などと答えていたら別のコースも用意されていたかもしれないが、おそらく私は担当者の期待された答えに反して次のように答えた。
「来年度から、自然観察会やワークショップに専念します。」
その時の担当者のきょとんとした表情が忘れられない。
さりとて、私は自信ありげに答えたわけではない。
きっと「これで良いのだろうか。」とおどおどした表情で答えていたに違いない。
それだけ不安も大きかったからだ。
不安とは、およそ次の3つである。

①しばらく年金など出ないのに経済的に自立していけるのか
②自然観察会やワークショップなど進められる知識やスキルなど十分備わっているのか
③無名の私の活動に参加してくれる方などいるのか

振り返れば次の方法で何とか克服してきた。
①は、活動に支障のない程度にアルバイトで稼ぐ。
例えば、リンゴ園での仕事や田んぼでの仕事などだ。
非力な私にとっては、とても体に堪える仕事であったが、自然にかかわる仕事でもあり、学ぶことが大きかった。
もちろん、真人山での案内などでもいくばくかのお金をいただいた。
②は、とにかく勉強するしかないととらえ、他団体の観察会や研修会に足を運んだり本や図鑑などを読んだ。
③については、地元の新聞やラジオ局それにSNSなどを通して宣伝してもらった。
時として、自分を宣伝しすぎなのではないかと嫌味を言われたりもすることもあったが、とにかく自分を知ってもらうには、これ以外方法はないだろうということで続けた。
逆にいえば、少しずつ知られることによって勉強しなければやっていけないという状況に追い込むことができたと思う。

5年間で私にとって大きな変化もあった。
これもまた振り返れば次の4つに集約できるだろうか。
①両親との永遠の別れ
②単独の執筆で本を出した
③学校や幼稚園など他団体主催の活動の増加
④退職後5年目にして初めて薬を常用することになった

①については、精神的なショックが大きかったが、誰も避けては通れない問題でもある。
そう考えたら悔いはない。
できることを十分やってのお別れである。
それも昨日の母の納骨でほぼ送る仕事は終えたかなと考えている。
②は退職してから10年以内と考えていたが、3年目で達成することができた。
単独執筆とあえて書いたのは、現職時代に共著で1冊、理科の本を出版しているからである。
ただ、肝心の本だが、必ずしも売れているとはいえない。
日々、過去の本となりつつあるが、書かれた気持ちや考えは基本的に変わっていないのでもう少しがんばってみたい。
③は、予想以上に出番が増えたと思う。
それに、全国誌の掲載や全国大会(科学教育ボランティア全国大会)での発表など声をかけていただいたことは光栄なことであり感謝以外の何物でもない。
ただ、それだけ大きなステージに立つことは自分の力量が試されることでもあり、いっそうの精進が必要であることを痛感した。
④については、この5年間風邪一つひかなかった。
それほど健康な私でも老化が進んだということだろうか、血圧が少しずつ高くなってきたのだ。
医師と相談し、ついに毎日1錠ではあるが、薬にお世話になることとなった。
仕方あるまい。

以上の5年間を振り返り、この先どれだけ活動ができるかどうかこれまた不安だが、当面5年間は健康であるととらえ(願い)、次なる目標を立ててみた。

①「もっと子どもに自然体験を」と「もっと里地里山の活用を」の2本柱を活動の主軸に置きたい。
② 海外に足を運び、単なる観光旅行ではなく世界の一端を自分の目で見てみたい。
③ もう1冊単独執筆で本を出してみたい。

正直、私には、あと20年とか30年など洋々たる未来などあろうはずがない。
それでも夢を持ち続けている。
これが活動の原動力となるかもしれないからだ。

この5年間で学んだことは多かったが、本当にたくさんの方に助けてもらったし、支援してもらった。
いくら感謝してもしきれない。
また、悔いることも少なくなかった。
ただ、過ぎてしまったことは仕方のないことである。
むしろ、それをいつまでも引きずらずにこの先の教訓とすることである。
くよくよする暇があったら勉強せよ!である。

HP「森林インストラクター酒井浩の部屋」https://sites.google.com/view/hirotora

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もっと魅力あふれる自然体験塾へ 3年目の挑戦

2023-03-10 14:19:35 | 日記

  「もっと秋田の子どもたちに自然体験をさせたい」と願い、始めた「釣りキチ三平の里自然体験塾」(以下、「体験塾」と記述)が3年目に入ろうとしている。
1年目は、コロナ禍のため中止となった2回をのぞき、ちょうど10回。
2年目は、計画を立てた10回を無事終了することができた。
1年目である2021年度は、子ども単独含む親子が43組の延べ人数115名、2年目である2022年度は、子ども単独含む親子が30組の延べ126名が参加してくれた。
2年間で、リピーターも誕生した。
少なくとも4組の親子が毎回参加してくれるようになった。
もし、体験塾を実施していなければ、この4組の親子に出会うこともなかったかもしれない。
それを考えるならば、試行錯誤の2年間であったが、続けてきて良かったなとしみじみ思う。
また、延べ人数だが、毎年100名以上の親子が参加してくれたことにただ感謝するのみである。
さらに、2年間、毎回ガイド役を務めてくれた増田ネイチャークラブ(MNC)のメンバーが何回か親子や子どもを相手にする中で、スキルや自信を深めてくれたのがうれしい。
子どももそうだ。
明らかに2年間で自然と向き合う楽しさを感じてくれた子がいること自体、自画自賛であるがすごいことだと思う。
そもそもこの体験塾を始めるようになったきっかけは、主催者である「釣りキチ三平の里体験学習館」に声をかけられ、夏休み子ども教室のガイドをしたことがきっかけである。
夏休みの一日、自然体験をやることがどれだけ子どもたちにとって価値あることか感じていた。
それをもっと継続的に季節に応じた体験活動ができないだろうかと相談させてもらったのである。
幸い、担当の古谷さんは、昔からの知り合いで快く応じてくれた。
フィールドも特別な観光地でなくとも有名地でなくてもよい。
むしろ、ごくありふれた里山や森をフィールドとしたいのである。
そこにこそ、地域に宝があるのだということを感じてもらいたかったからである。
2021年度第1回目の体験塾は、体験学習館周辺の自然観察であった。
このときの感動は今でも昨日のことのように覚えている。
始めは、私が主導で、自然観察していたのだが、後半釣り堀池のところに下りたところで一人の子どもがアカハライモリを見つけた。
さあ、それからが子どもたちが主役である。
皆が皆、池に入ってはイモリを捕まえる。
おそらく生まれて初めての子が多いのだろう。
皆、興奮気味である。
これは、イモリを捕まえることだけが目的ではない。
泥や砂がたっぷり入った池に入り、イモリを探し、捕まえようとする体験自体が大事なのだ。
子どもたちは、興奮冷めやらぬ姿で帰って行った。
これで、体験塾は毎回大盛況だろうなと感じた。
ところが、2回目以降、参加者は必ずしも伸びなかった。
7月のハッチョウトンボの住む湿原には、コロナ禍の影も忍び寄り、参加者は8人となった。
8月の登山を含む1泊2日のキャンプは泊まりがあることでお断りしなければならないほどの人気だったが、9月には参加者数が6名、10月のハイキングは18名とやや持ち直したものの11月には5名、1月の室内ワークショップに至っては3名となった。
いずれも定員20名である。
私の気持ちも落ち込んだ。
やはり体験塾をこの地域で根付かせるには無理なのだろうかとも考えてしまった。
一時、いっそのことやめてしまった方が楽なのではとも考えた。
続けるにしても自分には、何が足りないのだろうかともんもんと考える日が続いた。
2年目は、1年目がすべて子どもだけの参加者であったのに対し、隔月で親子・子どもと変えながら実施していくこととした。
相変わらず、子どもだけの参加者の時は少ないが、親子となると参加者は増えた。
もちろん、コロナ禍の影響は大きかった。
どれだけ、コロナのため、参加できなくなったという理由によるキャンセルが多かったことか。
それでも毎回実施することで、先述した通りリピーターも生まれてきたのである。
課題は相変わらず多い。
昨年の秋田駒ヶ岳登山のことである。
途中、1組の親子に会った。
その親子から聞かれた。
「いったい、何の団体ですか?」
と。
聞けば親子は横手市内の小学生親子である。
「釣りキチ三平の里自然体験塾ですよ。知っているでしょう?」
ところが、この親子は全くその名前すら聞いたことがないという。
あれほど市報や新聞などメディアから宣伝されていても登山する親子にも知られていなかったのかとショックだった。
宣伝の仕方も考えねばと考えた。
あとは、もっと魅力的なプログラムにするにはどうしたら良いかという課題である。
幸い、講師役を務める他のメンバーには楽しい発想をする方も多い。
ヒントとなることが多い。
昨年の1回目となる体験塾では、メンバーの発想により、親子で肥料袋を使ったお尻滑りが好評であった。
私には思いつかなかった発想である。
また、7月の狙半内川に入った時には水生生物に詳しいメンバーがガイドを務めてくれて、私の苦手な分野を大いにサポートしてくれた。
橋の上からは、暖かく見守る地域の方や親御さんに励まされたことが印象的だった。
室内のワークショップでは、私には決してできないであろう、講師となる方の見事な作品とその指導に子どもたちも喜んだ。
今年度最後となる10回目は、私は母の逝去の日と重なってしまったが、運良く前日もう一人のガイドと下見をしたことにより、その方が見事に講師役を務めておられたようだ。

毎回試行錯誤の連続であったが、2年目を終え、いよいよ3年目を迎える体験塾。
次のような周知で試みることにした。
①(8月のキャンプをのぞき)毎回、子どもだけでも親子のどちらでも参加して良いこととする。
②(4月始めに)横手市内の全小学生(4000名弱)に年間の体験塾計画表をわたす。
③体験塾の魅力を、メディアを始め様々な方法でより広く発信し続ける。
④子育てグループや自然愛好団体などより多くの団体と連携していきながらよりよい内容の向上を目指す。
⑤リピーターの親子の数を増やすと共に新規の参加者を増やす。
⑥「大人のための自然体験塾」を6月に実施し、楽しさを大人の方にも感じてもらうと共に参加された方からもまわりの親子に呼びかけていただく。
などである。

先日、隣の村の児童館に宣伝に訪れた際、職員の一人がたまたま知り合いだったこともあり、チラシを見て「コピーして全員にわたしますよ。」と話してくれた。
少なからぬ方が応援してくれていると感じた瞬間であった。
体験塾のみならず、私が関わる自然体験活動に5年間参加している中学生が学校に出した作文に次のようなことを書いてくれたという。
「ぼくも将来、酒井先生のように小さな子どもたちを相手に自然観察会をやりたい。」
と。
このような子も生まれているのだ。
落ち込んでいる時間などないのである。

まだまだ活動の輪は小さいが、より広がりができて「自然の中でこそ子どもはよりよく育つ」ことが多くの方に実感できるようになることを夢見ている。

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