Mr.トリックの科学・自然・子育て論議

どんな科学マジックでもすぐそのトリックが見破られるMr.トリックが、科学や自然それに子育てについて語ります。

視覚支援学校の子どもたちにネイチャーガイド

2021-09-17 14:41:29 | 日記

縁あって先日、秋田県立視覚支援学校の子どもたちへのネイチャーガイドを行う機会があった。
目の不自由な方たちを相手とした自然観察会は、空白期間があったが、これまで20年以上も続けてきた。
とはいえ、視覚にハンディキャップを持った子どもたちは初めてのことである。
ただ、子どもたちを対象にした自然体験活動では、常に「知る」ということよりも「五感を活用した活動」に重きを置いてきたこともあり、当日を楽しみにしていた。
迎えた当日、心配していた天気も穏やか、気持ちの良い空気だ。
子どもたちは小学生から中学生まで5人だけだが、それぞれにサポートする先生が一人ずつ付き添い、さらに2人の先生が後方を支援しているようだ。
会場となった秋田県立岩城少年自然の家の職員も5名ほど同行する。
玄関前で簡単な自己紹介と挨拶をしてから施設周辺のフィールドを歩き始めた。
アイスブレークとして、「音はいくつ聞こえるかな。」を提示した。
エゾゼミやミンミンゼミそれにヒヨドリや遠くで工事の音も聞こえる。
これだけでも5つは聞こえそうだ。
ここで私はさらにプラスした。
音の聞こえる図鑑を使って、ウグイスのさえずりを再現したのだ。
すると子どもからの声。
「ホーホケキョ鳥だ!」
もともと聴覚には敏感な子どもたちだ。
周辺の音をしっかりキャッチしていた。
続いて、ナンブアザミやオヤマボクチの頭花に手で触れさせてみた。
ざらざら感を感じてもらうためだ。
近くには、キンエノコロも盛りだったので、数本取ってきて子どもたち一人一人に渡した。この感触を顔や手で感じて、「猫じゃらしだ!」という子どももいる。
クズの花も残っていたので香りもかいでもらう。
甘い香りが子どもたちにも伝わったようだ。
歩き進めるにつれて遊歩道はアスファルトからふかふかの落ち葉の中へ。
その場で軽くジャンプしてもらった。
両側には広葉樹も増えてきたので、樹皮に触れてもらうことにした。
「ざらざら。」
「すべすべ。」
などの声も出始めた。
ミズナラにはドングリもつき始めているし、落ちているものもある。
先生たちの指導でドングリも拾ってみる。
殻斗や実そのものにも触れてもらった。
岩城少年自然の家の案内板にちょうど「この周辺にはエビフライのようなものが落ちていることもあるけど誰の仕業かな。」
というクイズがあったので、足元を見たら、すぐに見つけることができた。
ニホンリスが食べたであろう松ぼっくりの食痕だ。
早速、松ぼっくりとその食痕の違いを手で感じてもらい、私もクイズにした。
「このエビフライのようなものは誰かが食べてこんな姿になったのだけど誰が食べたのだろう。」
と。
「①ネズミ②リス③熊」
というように。
決してにぎやかではないが、場が盛り上がる。
オオバクロモジもあったので葉の香りを楽しんだり草笛にチャレンジしたりした。
「どうしたら鳴るの?」
「あ、(音が)出た。」
いつの間にか先生たちの方が夢中になっている。
しかし、これが大事だ。
サポートする先生が楽しそうであればそれは子どもたちに伝わる。
子どもたちはそれを敏感に感じていたはずだ。
さらに歩き進めるとサンショウがあったので、その葉の香りも味わってもらうことにした。
木の実も試食させたかったので、前日マイフィールドで取っておいたミヤマガマズミとナツハゼの実を子どもたちや先生たちが食べられる数だけ準備した。
下見の際、このフィールドでミヤマガマズミは確認していたが、遠い場所にあったからだ。
一粒味わうごとに
「酸っぱい」
「少し甘い」
などの反応があった。

歩き始めた頃は曇っていたが、終わりに近づくにつれて太陽の光がまぶしい。
子どもたちのこの先は、個に応じたサポートが行き届くかもしれないが、だからといって将来も光が見えているわけでは決してないだろう。
それどころか視覚に障害を持っているというだけで、様々なハンディや時には理不尽さも感じてしまうことがあるかもしれない。
それでもこの子らと歩き、自然と真摯に向き合う姿を見て、心から応援したくなった。
もちろん、この子らを支える先生たちにも。

子どもは未来の宝だ。
それは障害のあるなしに関わらないはずだ。
どの子にも等しく光を当てていかなければならないはずだ。
この日、出会った子どもたちにも。
別れ際、「また、会おうね。」
と声をかけてフィールドを後にした。
手を振る子どもたちの姿がいつまでも心に残った。

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悩ましい!コロナ禍での自然体験活動

2021-09-08 05:54:30 | 日記

「コロナ(に感染するの)が心配で参加できません。」
この言葉を昨年来どれだけ聞いたことだろうか。
即、反論できるわけでもなく逆に
「そうですよね。」
と答えていた(心配になるのは当たり前のことだ)。
今年になってもそれは続いている。
主催者側からのキャンセルも相次いでいる。
見かけ上は忙しそうにしている私ですら、キャンセルされた活動は4月以降、数件に及んでいる。
キャンセルされたからといって、明日の食事に困るほどではない。
にもかかわらず、準備してきたことへのキャンセルの精神的ダメージは大きい。
そんな中、参加条件を制約した自然観察会は細々と続けている。
9月4日のわくわく科学工房主催の親子自然観察会もその一つであった。
募集範囲は、昨年以降、横手市内の親子20名と決めている。
定員を超えたら抽選で決定。
この日は、参加希望者のキャンセルもあって、参加者は親子8組のちょうど20名となった。
ちょうど1週間前、下見をした際、わくわく科学工房のメンバーで確認をしていた。
もし、横手市内で1校でもコロナ感染のため休校となったなら、あるいは市内にそれが広がる状況があったなら即中止か延期ということだ。
今や人数限定のイベントであっても当たり前になっている、事前の健康チェックや現場での体温チェックそれに消毒はどんな観察会においても行っている。
マスク着用は義務だ(熱中症対策ではずことはあっても一定距離を保つことは当然のことだ)。
声が届きにくい場合は、携帯マイクを使いながら話す。
できるだけ大きな声を出さないためだ。
観察会では、飲食は控える(水分補給はあっても)。
参加者は連絡先がはっきりしている方に限る。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
主催者側となったらあれこれ、気を回さねばならない。
およそコロナ禍の前までは考えられなかった事態である。
ここまでしてイベントはやらなければならないのかなと考えてしまうこともある。
イベントがどれだけ社会的意義が大きいことかと確信を持てたとしてもそうだ。

8月11日以降、秋田県の警戒レベルは3から4へと上がった。
いっそう慎重にならざるを得なくなった。
今週11日は、県内の小学生を対象にした自然体験活動(「釣りキチ三平の里子ども自然体験塾」)がある。
それも主催者側の配慮によって横手市以外の子どもたちは断らざるを得なくなった。
いつも市外から参加している子どもの表情を思い浮かべると残念でしょうがない。

実施するにしても制約された条件ばかりがついて回る。
仕方がないこととはいえ、つらいことが多い。
いっそのこと
「当分の間、活動は自粛したい!」
と言えたらどんなに楽だろうか。
コロナ感染を広げてはいけないーこれは当たり前のことだ。
しかし、だからといって現段階ですべての活動をストップさせるのもどうかと思う。
だから、それだけは避けている。
なぜなら、やめてしまえば思い描いている願いは一歩も進まないからだ。
今まで続けてきた思いはどんなことだったろうか、何のためにがんばってきたのか。
「あなたの好きな活動でしょう。」
といわれたらそれまでだが、だとしても毎回悩みながら築き上げてきたものだ。
これからも、これまでそうしてきたように自分のできる対策をし、悩みながら進めていくしかなさそうだ。
そのことが小さな歩みであってもいつかは大きな前進へとつながることだろう。

今週金曜日には、視覚にハンディキャップを持った支援学校の子どもたちへの自然ガイドが待っている。
コロナ禍にあってもそして様々なハンディを背負いながらも私という人間をガイドに選んでくれた方たち、子どもたちに感謝しながら最大の力を発揮しよう。

コロナ禍にあっても大切なことー限られた条件の中でベストを尽くす、当たり前のようでいて難しいが、参加者共々実施して良かったと言えるようにしていきたいものだ。

※タイトルの「悩ましい」意味は、本来の意味とはそれるとは思いますが、最近は(タイトルのような意味でも)頻繁に使われているようですので、ここでも使わせてもらいました。

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初めてのオンライン講演にワクワクドキドキ!

2021-08-28 05:56:53 | 日記

 先日、9月25日に行われるオンライン講演の打ち合わせが県庁であった。
 これは、秋田県の「人が人を呼ぶ好循環」推進事業の一環であり、秋田県の移住定住促進課が進めているものである。
 現職時代は、何かと県の施策事業に細々と関わってきたのだが、現場から離れ、今は全くフリーの立場。
 まさか、県の事業に再び乗るとは思ってもみなかった。
 だが、今回は別ルートから声がかかったこともあり講演に臨むこととなった。
 まして、今回の事業は、人口減少が進む秋田県にとって大きな課題ともいえるもの。
 事業の取組によって、秋田県にとても興味を持った、秋田県に移住定住の検討をしてみたいという方が出てきたら、これほどうれしいことはない、まあ、私の講演ではそこまでいかなくても何かしらお役に立てる話ができたらとても光栄なことだ。
 張り切って、打ち合わせに臨んだ。
 打ち合わせは、仕事場から離れた別室にて行われた。
 県の担当者と私に声をかけてくださった秋田市在住で合同会社HOMARE代表の荒谷はるかさん、そして今回のファシリテーター役の平元美沙緒さんがオンラインで出席した。
 事業について、簡単に説明を受けた後、早速ファシリテーターの平元さんが話を振ってくる。
 数年前にもあるイベントで、平元さんがファシリテーターとして、私も参加させてもらったことがあるが、実に話したくなる雰囲気を作ってくださる。
  まずは、興味を持ってくれたのが、自然というフィールドの中での子ども同士の人間関係の再構築だ。
 日々学んでいる教室では、ともすれば人間関係が固定しがちだ。
 いわゆる「勉強のできる子・できない子」「腕力の強い子・弱い子」などが例えばそうである。
 ところが、子ども同士が参加する自然観察会や自然体験活動ではそれが大きく変わることが多い。
 生き物が大好きな子がリードしたり日々野の中で遊び回っている子に他の子が付いていく場面が何度も見られる。
 そこには、先生に評価されたいとか友だちに好かれたいなどの利害関係は全くない。
 それは、また自然の姿でもあると思えるのだ。
  私から言わせたら、それはまさに子どもらしい子どもの姿だと思えてしまうのだ。

 自然の中で育まれる五感にもとても興味を持ってくれたようだ。
 ともすれば、私たちは日常生活の中で視覚だけに頼りがちだ。 
 現代の都市生活からは、これでもか!というほど目への刺激情報が入ってくる。
 しかし、子の育ちという観点からではどうだろうか。
 視覚だけに頼らず、鳥や虫の声が聞こえる、水や風が冷たいなどといった五感を通して感じられるものは大切なことだ。
 そして、それは自然の中でこそ鍛えられることであるに違いない。
 この中で、五感は育まれ、現代の子どもたちに足りないと言われる危機管理意識も醸成されてくるはずだ。

 あとは自然の姿から学べる大切なこともある。
 私は、たまたまカンムリカイツブリの観察から得たことであるが、子育てにとって大切なことも自然が教えてくれることが多い。
 私の著作でも紹介したことだが、カンムリカイツブリはヒナが生まれた後、母親の背中で庇護される。
 危険が迫ったときにはそのまま母親の背中に隠れることができるが、食料もまた、母親の背中に乗ったまま父親から小魚や水を与えられる。
 体が大きくなるにつれ、親の背中から下りてしまうのだが、それでも親の後を付いていき、親から体サイズに見合った魚を与えられる。
 たまに空や水中からヒナを狙おうとする天敵も現れる。
 親は天敵に対して普段は聞くことのできない大声を出して追い払う。
 そんな親だが、ある時期が来ると近づこうとするヒナに対してつつき返す行動が見られるようになる。
 どんなに甘えた声を出すヒナに対しても驚くほどの追い払い方である。
 いわば、親が子どもの自立を促す行動である。
 この頃には、ヒナも体が親サイズと同じ大きさになっているし、水にも潜れるようになっている。
 人間社会から見たら一見残酷とも見える姿であるが、逆にそこには私たち人間が学べる姿があるといっても良いだろう。
 これは、カンムリカイツブリに限ったことではない。
 多くの鳥類やほ乳類に見られる自然の摂理とも呼べるものだ。

 まだ語りたいことはあるのだが、いずれ秋田には人として育っていく上で豊かな自然が豊富にあることを強調したい。
 果たして限られた30分という枠でどれだけのことを伝えられるかどうか不安であるが、質問時間も別枠で設けられているようである。
 この日は、私の講演の他に、由利本荘市をフィールドに活動する、移住してきたお母さんたちの団体「ままちょこ」の方たちによるお話もある。
 こちらは、秋田での子育ての魅力がより身近に感じられるはずだ。
 共に力を合わせながら、少しでも秋田の自然や子育てすることに興味を持ってもらえたらこれほどうれしいことはない。
  イベントまで1ヶ月を切った。
 今は、コロナ禍でリアルな活動は厳しい状況だ。
 だが、逆にオンラインだと安心感がある。
 コロナ禍だからこその利点を生かしながら準備を進めよう。

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バッタよ、なぜそんな姿に~夏の怪奇現象?~

2021-08-21 05:37:34 | 日記

増田ネイチャークラブの仲間3人と真人山を歩いていたときのことだ。
一人のメンバーが叫ぶ。
「バッタが草の上で死んでいる!」
よく見るとバッタは乾いた状態いわばミイラ化した状態だ。
さらに不思議なことに1カ所だけではない。
同じようなバッタの死骸が3カ所ほど見つかった。
なぜ、バッタはこんな死に方をしたのか?
早速、自宅に戻り、手元にあった昆虫関連の書籍に当たってみた。
すると最近発行されたばかりの本に、
「エントモファガ・グリリ」と初めてその名を聞く一種の菌がこのような現象を起こすと記述されているではないか。
その名前が気になったので、ネット上でも検索してみた。
昆虫病原糸状菌の一種のようである。
やはり同じような現象がそのことによってあちこちで起きることが記載されていた。
それらによるとエントモファガ・グリリは、取り込んだバッタを弱らせ、できるだけ草の上に上らせるという。
そこでバッタは最後の力を振り絞り茎を抱くようだ。
それはまた、エントモファガ・グリリができるだけ高い位置に上らせ、胞子をできるだけ遠くに飛ばすための戦略でもあるという。
カマキリがハリガネムシによって水辺に誘導されたり(実はバッタもそうだ)さなぎやアリなどがある種の菌によって動きを封じこまれ、キノコ化する、いわゆる冬虫夏草も知られているとおりである。
それと似たような現象がバッタにもあるとは驚いた。

もう7,8年前のことだろうか、マイマイガが街部や里山で大発生した。
マイフィールドの真人山を歩いても木々の葉から糸を垂らした幼虫が下りで来るし、ベンチなどにも蛹化していた。
昼夜かまわず成虫は飛んでいた。
幼虫や蛹がこれだけ大発生したら翌年はどうなることかー心配は尽きなかった。
それがどうだろう。
年内のある時期になったら、その発生はぴたりと止まった。
何事もなかったかのように。
これについては、はっきりしたことはわかっていないようだが、何らかの自然界に存在する、ある種の菌類あるいはウイルスがさらなる大発生を止めたようだ。
そうでなければ、毎年、マイマイガに悩まされ続けていたに違いない。

今、人間界でも新しい型のウイルスに悩まされている。
それは、人類史学上これまで何度か繰り返されてきたことだろうが、今回もまた人類にとって大きな危機といってよい。
これによって、私たちの生活は一変した。
詳述しないが、人間もまた自然の一部ならありうることなのだろう。
いずれ、自然界は私たち人類の頭脳を寄せ集めても決して解明できないだろう多くの現象を見せてくれる。

20世紀の天才・理論物理学者であるアルベルト・アインシュタインは次のような言葉を残している。

自然が見せてくれている姿は、ライオンのしっぽほどでしかない。しかし、私はライオン自身が自然の一部であり、彼自身巨大なその体全体を見渡すことができないと知っている。
                                                                 <アルベルト・アインシュタイン>

自然は、相変わらずわからないことだらけだ。
だから、今日もまた探求の旅が始まる。
暑い夏の一日、里山で起きていた私たち人類にとって怪奇ともいえる現象はまた多くのメッセージを残してくれた。

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24名の小学生と栗駒山に登る

2021-08-13 14:30:11 | 日記

第5回目の「釣りキチ三平の里子ども自然体験塾」は、アドベンチャーキャンプ(1日目)を兼ねた栗駒山登山であった。
予想通りと言うべきか予想以上に申込者が増加した。
定員20名に対して、50名近くの申込者があったからだ。
その中で、25名が抽選によって選ばれ、主催者である釣りキチ三平の里体験学習館に集まった。
北は潟上市から南は湯沢市まで県内各地の25名の小学生である。
まだ顔を合わせたことのないもの同士が一つ屋根の下に泊まり、一緒にご飯を食べるという楽しみはあるだろうが、正直不安もあった。
初日の栗駒山登山に耐えられるだろうかという不安である。
栗駒山は、花の百名山としても有名で、標高1626Mのいくつもコースが整備されている山だ。
一番歩行距離が短いのは、宮城県側からのいわかがみ平コースだが、そこに行くまでの交通アクセスが長い。
といえ、現在、昭和湖を回るコースは使えず、となれば産沼コースとなるが、意外にこのコースは長い。
2カ所の沢を渡る片道4.6キロのコースである。
しかし、午前7時には、体験学習館を出発し、8時には登山口を出発するならいくら何でも明るいうちには戻れるだろうという計算もあった。
ガイドのリーダーは、公認登山ガイド、東北で唯一という山岳看護師という資格を持つ方にお願いした。
他には、栗駒山には100回以上は登っている私に、ボランティアガイド2名、体験学習館職員3名に、横手市から保健師含む2名の合わせて9名が引率することになった。
出発する前に25名の子どもたちに過去に栗駒山に登った体験があるかどうか聞いてみた。
2名の手があがったが、よく聞けば山頂まではあがっていない、要するに誰もが初めての経験となる。
かくして、子どもたち25名はバスで登山口まで向かった。
ここまでは、およそ50分までの道のりである。
この日は快晴。
体験学習館周辺の気温は、朝の時点で30度近くまで上昇していた。
登山口に着くやいなや最初の不安が発生。
バス酔いがひどく登山前に一人の子が出発できなくなった。
やむを得ず、その子はバスの運転手にお願いした(後で聞けばその子は待っている間、周辺のハイキングを楽しんだようで安心した)。
いよいよ出発。
時刻は、8時20分になろうとしていた。
途中、景色や高山植物それに火山の成り立ちについて説明しながら歩いた。
休憩をこまめに取り、水分補給もする。
大人9名は、経口補水液含む500CCのペットボトル2本ずつ24名分計48本を分担して背負った。
歩き始めて、1時間も経った頃だろうか、後部からトランシーバーで一人の子が具合悪くなったとの連絡。
リーダーの指導で、動かさず冷やしたり水分補給したりしてほどなく立ち上がれるようになった。
再び33名の登山隊は歩き始めた。
続いて、もう一人の子が具合悪くなったという。
この子についてもしばし、冷やすこと水分補給それに休ませることで回復。
そのたびに具合の悪くなった子のリュックを背負う。
リーダーは率先して背負う。
助かったのは、保健師もいたことだ。
途中、トイレの場所も確保した。
このコースは、登山口以外にはトイレがない。
したがって、数時間の歩行をするならその面でのサポートも必要だ。
リーダーの指導で、こまめに水分や塩分それに糖分を補給した。
とここまで書けばかなりしんどさばかりが目立つが、登っていくうちに見下ろす風景が抜群となる。
ほほをなでる風も涼しい。
子どもたちから思わず「涼しい!」との声が出る。
その場所で気温を測ったら、25度であった(下界では30度をとうに超えていたようだ)。
時刻が12時半になろうとした頃、山頂に着いた。
33名全員だ。
子どもたちは全員栗駒山は初登頂ということになる。
山頂に達したらあたりは雲が発生し始めている。
気温も23度前後だ。
汗をかくこともない。
皆、思い思いの場所で、弁当を広げた。
山頂には夏場を過ごすアキアカネやナツアカネが多い。
よく見るとウメバチソウやミヤマアキノキリンソウもにぎやかだ。
午後1時を回った頃、下山となる。
再び、4.6キロのコースを下る。
途中、ひらひらとアサギマダラがヨツバヒヨドリにやってきた。
子どもたちはもちろんのこと大人も初めて見る方も多い。
長い山行を慰められたかのようにも思える。
下りは予想していたことだが、足がくじいたという子が出てきた。
それでも急遽の手当で大丈夫そうだ。
本当に看護師と保健師の二人が同行してくれて助かった。
「三途の川」という地点では、石を歩きながらの沢越えとなるが、沢から吹き出す冷気が気持ちよく子どもたちは石に座りながらタオルを水に浸す。
これもまたすてきな風景だ。
朝までは全く知らなかったもの同士が、今こうして語り合っている。
5つのグループを作っているが、縦割り班で上級生が下級生のめんどうを見ている。
沢などでは、上級生が下級生の手を引っ張ってくれている。
これもまた、「自然体験塾」の狙い通りである。
最後の沢近くまで来たとき、一人の子が足を滑らせて沢近くまで転がった。
一瞬ひやりとしたが、その子は前転を済ませたごとくぱっと立ち上がり、こちらの不安を見透かしたかのように「大丈夫!」と言って聞かせた。
空は、朝あれほど天気が良かったはずなのに遠くでは積乱雲が発達し、雷の音が聞こえた。
近づくなよと心に願いながら、名残ヶ原まできた。
この地点からは今登ってきた栗駒山がとてもよく見える。
地名にふさわしく今まで歩いてきた道のりを振り返った。
再び登山口に着いたのは、午後4時半。
まさに9.2キロの道のりを8時間かけて歩いたことになる。
再びバスに乗り、体験学習館に着いた。
振り返りの時間、子どもたち全員に聞いてみた。
「今日の登山が楽しかった人は手を挙げて。」
全員が手を挙げてくれた。
続けて問う。
「また、栗駒山登ってみたい人はいますか。」
ほぼ8割の子が手を挙げた。
なぜかほっとした。

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