お湯に濡れたバスタオルを外し、大急ぎで浴衣に着替えた
お昼のお弁当も美味しかったけど、こんなに長く温泉に浸かっていたので、すっかりお腹が空いてしまった
夕食は部屋ではなく、離れにある素晴らしい日本庭園の見える個室を頼んでおいてくれた
「どうして部屋食にしなかったの~?」
隣の部屋でテレビを観ているらしい彼に向かって、襖ごしに聞いた
「なんかサ、すごく二人が盛り上がってたりしたら、部屋にご飯持って来られた時に慌てるかな・・っていう設定だったんだよね」
・・あまりにサラっと言うので、なんの事だかピンと来なかった
浴衣の帯を締めながら、急にコトの意味がなんとなくわかり、彼も男なんだ・・と思うと急にドキドキしてきた!
何も知らないふりをして、濡れた髪を大きな髪留めでザクッと止めて、
「お待たせ~」
と隣の部屋に行くと、
「あ!仕事中に髪の毛を留めてたヤツだ!それ、なつかしいな~。あかばねっちさぁ、お客さんが来たら慌ててそれを外してから接客に出てたでしょ?その時にいつもシャンプーのいい匂いがしてたんだ」
「へぇ~、いろいろとジロジロ見てたんだねぇ?全く知らなかったよ」
「いつも概要を覚えるのに必死だったもんね?」
「でも、高校野球で甲子園に出た話は聞こえていたよ。すごいね!」
「奇跡の1回だけだよ。せっかくそれをこの後、自慢しようと思ってたのに・・」
と、後ろから髪留めを眺めて、その後
「あ、お化粧、しなくていいよ。なんかその情けない顔がいいよ!」
「・・それって、褒めてるの?」
「そうだよ!いつもは仕事ができる女風だけど、実は情けない顔・・って事知ってるのはボクと他の人だけだからサ。あっ!でも他の人は、仕事をしているときのあかばねっちを知らないんだよね?あんなに優しい顔でお客さんの話を聞いてあげるところ、ボクしかしらないんだよね!勝った!」
「情けない顔ねぇ・・・」
「あれから、きっといい仕事するようになったんだろうね?一緒の現場で仕事したかったな」
「ホント、一緒だと楽しいだろうね!」
「でも、ボクはヤキモチ焼きだから、あかばねっちがすごく長くオジジと接客してると、もうそろそろ帰って下さい・・って言いそうだよ」
「あ!私も若いおねーちゃんと、長話してるとムカつくかも!」
「じゃあ、これでよかったんだよね? ボクはこれから5年か10年か、、東京に帰ってこられないんだよね?」
「そんなに長く?」
「先輩はみんな転勤すると長くて、あっちでヨメさん見つけてくるから・・・」
・・・・沈黙
廊下に出る寸前に、そんな話をしたもんだから、急に切なくなってしまった
「イヤだな・・・行きたくないな」
「私も、もう仕事続けても楽しくないよ」
スリッパを片方履いたままの姿勢で、彼がきつくきつくハグしてきた
とても切ないハグだった
情熱的ではなく、刹那的な、未来への絶望さえ感じる長い抱擁だった
長い廊下を浴衣にスリッパという姿で、二人はうつむきながら歩いた
4人連れの女性グループとすれ違った時も、配膳のカートとすれ違った時も、彼はどんなに邪魔でも、繋いだ手を離さなかった
さっきまで、裸でお風呂に入っていたのに、そのときは一度も指先さえ触れることがなかったのに、今は、胸が苦しい
桔梗の花が生けてある離れの部屋は、ひっそりと明かりが灯り、まるで今日の二人のためだけに用意された空間のようだった
どこかでタイミングを見計らって乗せたと思われる七輪の上には、地鶏やきのこがこんがりと乗ってあり、なんか、その絶妙なタイミングが、かえってどこかで二人を見張られているような気分になり、ちょっと不気味だった
ふと、家族のことが頭をよぎった
『電話しなきゃ』
でも、この雰囲気で彼に何も言えない・・
本当に素晴らしい気配りのお料理ばかりで、一つ一つ私たちは堪能した
「美味しいね」
「本当だね」
ただ、それだけ・・・
この雰囲気に何の演出もいらなかったし、モノマネも楽しい話題も作る必要はなかった
ただ、一緒に向き合って二人だけの空間を堪能したかった
・・・つづく
お昼のお弁当も美味しかったけど、こんなに長く温泉に浸かっていたので、すっかりお腹が空いてしまった
夕食は部屋ではなく、離れにある素晴らしい日本庭園の見える個室を頼んでおいてくれた
「どうして部屋食にしなかったの~?」
隣の部屋でテレビを観ているらしい彼に向かって、襖ごしに聞いた
「なんかサ、すごく二人が盛り上がってたりしたら、部屋にご飯持って来られた時に慌てるかな・・っていう設定だったんだよね」
・・あまりにサラっと言うので、なんの事だかピンと来なかった
浴衣の帯を締めながら、急にコトの意味がなんとなくわかり、彼も男なんだ・・と思うと急にドキドキしてきた!
何も知らないふりをして、濡れた髪を大きな髪留めでザクッと止めて、
「お待たせ~」
と隣の部屋に行くと、
「あ!仕事中に髪の毛を留めてたヤツだ!それ、なつかしいな~。あかばねっちさぁ、お客さんが来たら慌ててそれを外してから接客に出てたでしょ?その時にいつもシャンプーのいい匂いがしてたんだ」
「へぇ~、いろいろとジロジロ見てたんだねぇ?全く知らなかったよ」
「いつも概要を覚えるのに必死だったもんね?」
「でも、高校野球で甲子園に出た話は聞こえていたよ。すごいね!」
「奇跡の1回だけだよ。せっかくそれをこの後、自慢しようと思ってたのに・・」
と、後ろから髪留めを眺めて、その後
「あ、お化粧、しなくていいよ。なんかその情けない顔がいいよ!」
「・・それって、褒めてるの?」
「そうだよ!いつもは仕事ができる女風だけど、実は情けない顔・・って事知ってるのはボクと他の人だけだからサ。あっ!でも他の人は、仕事をしているときのあかばねっちを知らないんだよね?あんなに優しい顔でお客さんの話を聞いてあげるところ、ボクしかしらないんだよね!勝った!」
「情けない顔ねぇ・・・」
「あれから、きっといい仕事するようになったんだろうね?一緒の現場で仕事したかったな」
「ホント、一緒だと楽しいだろうね!」
「でも、ボクはヤキモチ焼きだから、あかばねっちがすごく長くオジジと接客してると、もうそろそろ帰って下さい・・って言いそうだよ」
「あ!私も若いおねーちゃんと、長話してるとムカつくかも!」
「じゃあ、これでよかったんだよね? ボクはこれから5年か10年か、、東京に帰ってこられないんだよね?」
「そんなに長く?」
「先輩はみんな転勤すると長くて、あっちでヨメさん見つけてくるから・・・」
・・・・沈黙
廊下に出る寸前に、そんな話をしたもんだから、急に切なくなってしまった
「イヤだな・・・行きたくないな」
「私も、もう仕事続けても楽しくないよ」
スリッパを片方履いたままの姿勢で、彼がきつくきつくハグしてきた
とても切ないハグだった
情熱的ではなく、刹那的な、未来への絶望さえ感じる長い抱擁だった
長い廊下を浴衣にスリッパという姿で、二人はうつむきながら歩いた
4人連れの女性グループとすれ違った時も、配膳のカートとすれ違った時も、彼はどんなに邪魔でも、繋いだ手を離さなかった
さっきまで、裸でお風呂に入っていたのに、そのときは一度も指先さえ触れることがなかったのに、今は、胸が苦しい
桔梗の花が生けてある離れの部屋は、ひっそりと明かりが灯り、まるで今日の二人のためだけに用意された空間のようだった
どこかでタイミングを見計らって乗せたと思われる七輪の上には、地鶏やきのこがこんがりと乗ってあり、なんか、その絶妙なタイミングが、かえってどこかで二人を見張られているような気分になり、ちょっと不気味だった
ふと、家族のことが頭をよぎった
『電話しなきゃ』
でも、この雰囲気で彼に何も言えない・・
本当に素晴らしい気配りのお料理ばかりで、一つ一つ私たちは堪能した
「美味しいね」
「本当だね」
ただ、それだけ・・・
この雰囲気に何の演出もいらなかったし、モノマネも楽しい話題も作る必要はなかった
ただ、一緒に向き合って二人だけの空間を堪能したかった
・・・つづく
↑2ちゃんに晒されてますよ!
残せずにごめんなさい。
でもちゃんと毎日チェックしにきてるよ。アカバネさまには頑張って欲しいです。
だって私はここが好きだから...
毎日チェックしてアカバネーゼさんのブログに超元気もらってます
アカバネーゼを書き始めたのは、本来「私みたいに傷ついて、廃人のようになっても、人間、再出発ができるよ!」というメッセージのつもりでした
、
必死で生きているうちに、いろいろと復活劇が訪れ、悩みながらも、何もできなかった私がこんなに自立できるように成長しました
私に起こった全ての出会いや事件は、私の人生に必要であることだったと思っているし、
読んでくれた人が、バカ正直な私の生き方から何かを感じてくれたらいいな・・と思っています
でも、この話を書くにあたって、現在同居中の主人や子供、登場するさまざまな人々に迷惑がかかるようでは、続ける意味がない…、と悩んでいます
まさか、お手本になる生き方ではないし、中傷を受けることも覚悟で書いています
でもこの文章の中に、私から主人へのメッセージや、いつか読むかもしれない子供にも、ママからの溢れる愛と一生懸命に生きているママの生き方を感じてくれれば、嬉しいと思っています
2ちゃんの影響で、閲覧数が乱れるようでしたら、しばらく様子をみて再開しようとおもっています
なんか、微妙な文章なところで、お休みしてしまい申し訳ありません。。。
掲示板のことは、ずっと気になっていたので、忠告いただき感謝しています どうもありがとう
もしかして2ちゃんからいらしたのでしょうか?
毎日、たくさんの方が閲覧してくださり、なんとなくあおられるように更新が続いています
男性の方は、いろいろと複雑な思いをされて読んでおられると思います
不器用な私ですので「バカ正直」な生き方しかできません
なつかしい記憶をたどって、振り返りながら、少しずつ人間が成長できれば…と思っています
極端な生き方かもしれませんが、とても単純な喜怒哀楽のわかりやすい女ですので、何か女性の心の中がわかってもらえれば…と思います
今日の私が登場するには、まだまだ日数がかかりそうですねぇ・・・
続けられるかな?悩み中です
今日は、夜更かしさんより夜更かしかなぁ?
明日も朝から目いっぱい仕事があるんだけど、なんとなく眠れずにお勉強しています
今、建築士を目指しているんですよ~
四十路のおばんが頑張ってるでしょう?
益々パワーアップしております!
毎日ワクワク、ドキドキと楽しい事がいっぱいで、ホントは今の仕事のことも、たくさん書きたいくらいです!
ご存知の通り、現在ブログの更新を見合わせています。無事に続けられるように応援してくださいな
元気になると言ってくれてありがとう
その言葉で、私も救われます
家族と仕事と資格試験取得の勉強とブログ更新の狭間でいろいろと悩んでしまいます
書きたい部分はもっといろいろとあるのですが、なかなか避けられない部分もあり、子供を傷つけにように、主人を傷つけないように、Nさんを傷つけないように…といろいろと考えると、ちょっと悩んでしまいます…
また、みなさんの良い意見を聞かせてくださいませ
毎日更新をチェックし読ませて頂いてます。
とても色々な意味で勉強になります。これからも今後のアカバネさんが知りたいので是非続けてほしいです。男性からするとこういった女性の気持ち解りづらいのかもしれないですが、きっとみんなそう言った気持ちとかその場になれば同じようになってしまうのではないでしょうか。
これからも陰ながら応援してます。
いつも、読ませていただいています。
2チャンでウワサになっているなんて、ある意味すごい!
でも、ある意味怖いですよね……。
このブログは、ご主人とかNさんとかに打ち明けてしまっているのでしょうか。
私も娘のお受験についてのブログを書いていますが、その性格上、絶対に書き手を特定されないよう、名前はもちろんですが、ところどころ脚色やウソも交えています。
でも、私が読んだ感じでは特定することはまず不可能ですが、この業界の人が読めば「ああ、あの人ね」なんて感じになってしまうのかしら…。
であれば、少し難しいのでしょうか…。
ファンとしては、えーこれでお休みとすごく残念ですが、アカバネーゼさん個人のファンとしては、アカバネーゼさんがお休みを検討しているのなら、それを尊重したい気もしますし…。
すごく複雑です…。
とにかく、ブログもアカバネーゼさん個人も応援しています。
2チャンになんてヘコタレないで、がんばってくださいね。
1つ前の私の恋愛についてのコメントに、アカバネーゼさんから「夫婦は変わりましたか?」と質問されていたのですが、
私のところの現実はあまりに衝撃的なため、書かないでいました。
私が特定できないとしても、ウチの娘や夫が読まないとしても、なんだか勇気がなくて書かないでいましたし、いまも書けなくてごめんなさい。
抽象的な言い方ですが、家族としての外見は変わっていませんが、その中身は大きく変わっています…。
もし、また機会がありましたら、お返事させていただきますね。
2チャンって、よく知らないけれど、たまたま見てしまったりすると、なんだかほんとうに怖い気持ちにさせられます。
アカバネーゼさんとつながっていたいためにも、やっぱ何らかの形で続けて欲しいなぁ。
お仕事や起業のお話も読みたかったし…。
なんて、勝手なファンの意見でごめんなさい。