放浪カモメはどこまでも

若草のことやなにげない日常のこと

「ルイザ-若草物語を生きた人」

2012-01-28 | 日記

 

 

読み応えのある本でした。ルイザ・メイ・オルコットの両親の出会いからはじまり、ルイザが亡くなるまでを綴っています。この本の帯に「ジョー」よりも、もっと波乱万丈な人生!」とありますが、本当にそんな感じで、新たなもう一つの若草物語に出会えます。
ただやはり現実は、かなりシビアですね。特にルイザの両親、父、哲学者で思想家のブロンソンとろ、母、アッバのことが事細かに書かれています。なんとなくここまで読んでももいいのかなぁという気にもなってしまいます。
どの若草関連書にも、父ブロンソンについてあまりよく書かれてはいないのですが
この本を読むと納得。
ほとんど定職に着かず理想を追い続け、生活はもっぱら友人らの援助と妻と上の二人の娘頼りなのですから。それでもルイザは、父を愛し家族を愛していたんでしょうね。
ルイザは、女中奉公や針仕事や小説を書いて、一家の稼ぎ手となり家族を支えました。また姉のアンナの夫ジョンがなくなった時は、姉を助け、アンナの子の父親代わりにもなりました。その後末っ子のメイの死後には、彼女の生まれたばかりの娘ルル(ルイザ・メイ・リカー)もあずかりました。

彼女は常に「与える人」でした。家族はそれを当たり前のように享受し、ルイザもまた当たり前のように家族に自分の財産や知恵を惜しみなく与えました。それが彼女に与えられた役割であるかのように。

これは、訳者谷口由美子さんのあとかぎなのですが、なんだかとても印象に残る言葉でした。

一つ驚いたことがあるんですが、ルイザは、ある晩餐会で、「小公子」&「小公女」のフランシス・ホジソン・バーネットと出会い、のちに彼女とその息子(小公子のモデルとなった)をコンコードの昼食に招待したそうです。名劇ファンとしては嬉しいつながりです。