透明人間たちのひとりごと

アトムの涙と汗の正体

 『サンデー毎日』 の1970年(昭和45年)2月1日号
「突拍子もない教養を開拓してほしい
劇画における若者論」
と題された文章を発表し
たのは、『仮面の告白』 や 『金閣寺』 などで知られる作家
の三島由紀夫です。

 そのなかで、「劇画やマンガの作者がどのような思想を
持とうが自由であるが、啓蒙化や教育者や図的風刺化に
なったら、その時点でもうおしまい」 と言及。

 ナンセンスが徹底的だという赤塚不二夫の 『もーれつ
ア太郎
』 を絶賛したのとは対照的に、「かつて颯爽たる
鉄腕アトム』 を創造した手塚治虫も、『火の鳥』 では
日教組の御用漫画家と成り果てた」 と批判したのです。

 一方の手塚は、雑誌 『旅』 たびの1983年(昭和58年)
1月号に掲載した 『火の鳥』 に関する文章のなかで、日米
安保や学生運動という60年代から70年代にかけての状況
を振り返りながら、「マンガのファンである三島由紀夫氏が
、『火の鳥』 を読んで、A誌に 『手塚治虫もついに 民青
(日本民主青年同盟)の手先となりはてたか』 と批判した」
と語っています。

 そしてこの時、自分の意図をはっきり知ってもらわねば
困ると思い、「とにかく最後まで読んでから批判してほしい
ですね」 と三島に電話したというのです。

 しかし

 三島は連載の完結を見ることなく、1970年(昭和45年)
11月25日に生涯を閉じたため、再び 『火の鳥』 に対する
批評がなされることはなかったのでした。

 symbol2 歴史をつくった先人たち ― 『日本の100人』
 NO.079 手塚治虫   By. DeAGOSTINI

 正直、『火の鳥』 を読んでいないので、その批判が
妥当か否かの判断は尽きかねますが、『鉄腕アトム』 は
テレビアニメでみたり、マンガの単行本を読んでいたので、
イメージすることが可能です。

 たとえば

     1 正義の味方のスーパーロボットの誕生
     2 心やさし ラララ 科学の子symbol7のいる世界

 つまり、科学万能時代の明るい未来社会の到来を子供
心にも想像していたのです。

 そして、多くの人々が、思い描いた21世紀も、この作品に
抱くイメージも多かれ少なかれ、そんなところではなかった
でしょうか。

 ところが、何気ないネットサーフィンの最中に …

 symbol2 「手塚が自ら握るペンで描いた漫画の原作を読めば、
物語の世界観はそのような単純なものではない」 …

  『図解鉄腕アトム』 の著者で手塚プロダクションの資料
室長である森晴路(60)は 「科学礼賛などではなく、むしろ
科学万能社会への懐疑といった深遠なテーマ
流れている」 と話す … と書かれている

 【47news】 『日本を創る』 ①原発と国家の番外編・アトム
の涙 手塚治虫が込めた思い (上) 「僕のアトムじゃない」
というページを読んでみて、あれぇ、と思ったのです。

 確かこの記事、前に読んだ気がすると整理してない新聞
の切り抜きのストックを探すと 「アトムの涙」 と題する上下
二つの切り抜き記事が見つかったのですが、【47news】に
よると(中)にあたる記事も掲載されていたようなのです。

 残念ながらストックケースの束から(中)にあたる記事は
見つかりませんでしたが、3月に静岡新聞の夕刊に3回に
渡って連載された記事のようで ネットを介して(中)の内容
も読むことができました。

 そこで、なぜ、(中)の記事の切り抜きがなかったのかquestion2

 その理由がわかったような気がしたのです。

 拾い読みする記事の内容に少しでも興味を惹かれるなり
琴線に触れるようならば切り抜き、さもなければ、ひと通り
目を通すだけで終わってしまうので、(中)の内容は興味も
琴線を揺らすこともなかったということになります。

 案の定、そこには …

 原子力発電所をPR する 「アトムジャングルへ行く」 と
題する冊子が電気事業連合会を通じて全国の電力会社に
納入され、東京電力福島原発のPR館でも無料配布された
というようなことが書かれていたのです。

 物語は、寒さで凍える動物を救おうと、アトムが動物と力
を合わせてジャングルに原発を造るわけです。

 さらに翌年には、続編 「よみがえるジャングルの歌声」も
作られたとか …

 続編は、やがて起きる地震と津波に原発はびくともせず
「安全でした」 といって終わるストーリーです。

 続編を見た編集者のひとりが 「手塚先生がこんなことを
していたら漫画界の恥になる」 と思い、真意をただそうと
パーティー会場にいた手塚を訪ねて取材を敢行したのが
1988年の6月のことだそうですが、いつもは多忙ですぐに
消えてしまう手塚が 「大切な問題だから」 と時間を作って
くれたそうです。

 取材に対して、手塚は 「描いた覚えがないの。 許可した
覚えもない」 と冊子への関与を否定したうえで、「僕も原発
に反対です。 はっきりそう書いてください」 と写真撮影用に
「原発反対のポーズ」 までとったそうです。

 手塚はこの取材インタビューの約8ヶ月後に、胃がんで
亡くなるわけですが、この取材結果を原発をテーマに編集
した 「図説危険な話」として発表したのは編集者の才谷遼
(60)です。

 当時マネジャーだった手塚プロダクションの松谷考征(68)
によると、手塚のもとには生前、電力各社から 「是非PRに
使わせてほしい」という依頼が何度もきていたが、その度に
断っていたとしていますが、冊子を企画制作した 「漫画社」
(既に解散している)の社長を務めた樋口信(74)は 「手塚
プロダクションの許諾は受けているはずだ」 と無断使用を
否定しています。

 松谷は、「もしそうならチェックのための原稿が上がって
くるはずなのに、私はそれを一度も見たことがない」 として
います。

 「鉄腕アトム」 をめぐり、手塚治虫が感じていた世間との
すれ違い。 その溝を象徴するかのような出来事が1977年
に起きたこの事件なわけですが、

 原子力発電のPRに無断で 「アトム」 が使われたとされる
この 「事件」 が真実であるとすると原発推進派ではない
ものの「脱原発」を標榜する 2号 としては少々複雑
な思いに駆られます。

 その真偽を 2号 が判断する立場にはないけど、当時
この出来事が事件となった記憶もなく、手塚プロダクション
の意に沿わない事態が10年以上も進行していたのならば
、もっと問題になっていた気もするのですが、「鉄腕アトム
の生みの親の欠席裁判的な展望は決して本意ではないの
で、もうこれくらいにしましょう

 つまり、過去のこうした問題には全く興味がないのです。

 それが切り抜きを残さなかった最大の理由でしょう。

 いずれにしても、代表作といわれる 「鉄腕アトム」 に対し
て、手塚治虫は89年に亡くなるまで、複雑な思いを抱いて
いたといいます。 前出の手塚プロ社長の松谷は 「あれは
僕のアトムじゃない
」 と突き放す手塚の冷たい声を聞いて
いるそうです。

 「アニメは限られた時間枠に物語を収める必要がある。
協賛企業やテレビ局の意向も入らざるを得ない。(だから)
作者の意図と離れていってしまうことがある」 草創期から
活躍するアニメーター鈴木伸一(79)は、大掛かりになる
アニメ制作の難しさをそう解説しています。

 手塚の長女の手塚るみ子(48)は、テレビアニメによって、
子どもたちの人気者から、国民的なアイドルになったことで
手塚本人が予期しないかたちで、この作品が語られること
が多くなり、そうしたイメージが先行することは父にとって、
とても不本意なことだったと言います。

 東京電力福島第一原発の事故の後に、インターネットの
掲示板などに「鉄腕アトム」への批判的な意見が相次いだ
そうなのですが、その多くは「 原発のイメージアップに加担
しているのではないか」 という書き込みだったそうです。

 るみ子は不安に駆られ、何度も声を上げそうになったが、
そのたびにファンが反論して「疑惑」を打ち消してくれた。

 今はそんな批判も、冷静に受け止められるようになった
そうで、「あらためて原作を読み、真意をくみ取るきっかけ
にしてほしい」 有名な 「アトム誕生」 のエピソードからして
「父の思いがよく出ている」 と彼女は言います。

 
 わが子を失った天馬博士が悲しみのあまりに、息子に
そっくりのロボット、アトムをつくる。博士は最初は喜んで
かわいがるが、成長しないアトムにいらだち、ついには
追い出してしまう …

 「幸福のためにあるはずの科学技術が、人間のエゴや
欲でゆがめられてしまう。 アトムはいつもそのはざまで
悩んでいるんです」

 アニメの放送から50周年を迎えた「鉄腕アトム」ですが、
手塚治虫は、原発のPR広告に利用された ヒーロー に、
ある種の悲しみを感じていたのです。

 東京電力福島第一原発事故から2年4ヶ月、もしも、今
この日本にアトムがいたならどんな物語が生まれていた
のでしょうか

 原発事故の直後、アトム、コバルトの兄弟と妹ウランが
一緒に、放射性物質の除染のために福島に向かう。3人
は発電所内で除染を終えた後、壊れて動かなくなる …

 「その物語をいつか私に書かせてほしい。(福島の現状
を見て)手塚先生は、きっと許してくださると思うんです」

 「なのはな」 「プルート婦人」 など、福島の事故後、原発
をテーマにした作品を次々に発表した漫画家の萩尾望都
(63)は、「鉄腕アトム」 が原発と関連づけて語られること
にやるせなさを感じ、そんな「アトムの最終話」
あらすじを考えたのでした。

 【47news】 『日本を創る』 原発と国家 番外編 
 アトムの涙 (上)(中)(下)より適宜引用(文中敬称略)

 さて

 その最終話は、ドライでシリアスで悲しいストリーです。

 最近では、『介護ロボットと鉄腕アトム』
題して 5号アトムの記憶容量などについて記事を
書いていますが …

exclamation http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/303.html(参照)

 ブレイン・マシン・インターフェース(脳介機装置)でさえ、
まだ難しい段階でのテクノロジーしか持ちあわせていない
現状では 「鉄腕アトム」 は夢のまた夢の存在です。


 ところで、「アトムの涙」 はわかったけど、

 アトム をかくのかなぁase2

 成分 って …

 分析の結果、ただの生理食塩水だったら

 何だか、いきなり現実に戻された感じだよね 

 けっこう ファンタジー だったのに

コメント一覧

バカボンのパパのパパ
う~む。 アトムの汗と涙は尊いのだ!

体液と生理食塩水は人間とロボットの関係、つまり、生物と人工物との違いではあっても涙と汗の本質に関しては一緒なのだ!
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