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透明人間たちのひとりごと

ダ・ヴィンチの罠 武器化

 都市伝説やオカルト界隈で大人気となって
いる「ヴォイニッチ手稿」が ダ・ヴィンチの手に
よる作品であるかもしれないと、前回の記事で
うっかりと触れてしまいました。

 「ヴォイニッチ手稿」とダ・ヴィンチとの
関係については、いずれ詳しく解説する予定
でいますが、概略だけ簡単に触れておこうと
思います。

 「ヴォイニッチ手稿」とは、

    
   ヴォイニッチ手稿 ja.wikipedia.org

 1912年にイタリアで発見された古文書で、
15世紀頃に作られたものと考えられているの
ですが、そこには多数の女性たちの入浴姿が
繰り返し登場する奇妙な挿し絵と解読不能な
難解な文字などが記されています。

 これまでに様々な研究者がこの文字の解読
を試みたのですが、成功するに至らなかった
という奇書中の奇書です。

 未知の文字によって書かれた文章と、多数
の彩色画で構成されている本書は、ほとんど
のページに挿し絵が描かれていて、文章だけ
で占められたページの数は少なく、本全体と
して見てもさし絵が占める割合の方が大きい
と思われます。


  ヴォイニッチ手稿 根の部分のページ karapaia.com

 挿し絵は植物に関するものが多く、全体の
7割ほどが植物の全体像を描いたページか、
植物の部分を並べて描いた分類図鑑のような
ページで占められています。

 他には、銀河や星座などの天体図に見える
天文学や占星術に関すると思われる絵や奇妙
で複雑な配管設備のような絵とそれらの管で
繋がったプールや温泉の浴槽(バスタブ)に
浸かる女性たちの絵などの不可解な挿し絵が
描かれています。

 入浴する女性たちの腹部は、大なり小なり
膨らんでいて、妊婦であることを想像させる
のに過不足のない仕上がりになっています。


         ヴォイニッチ手稿 部分 karapaia.com

 この辺りが、『ダ・ヴィンチの罠』との
関係性や関連性を窺わせるわけですが、

 それはまた、別の機会に詳述する予定です
ので、なにぶんにも今日のところはこの辺で
ご勘弁ください。

 さて、

 最近、よく耳にすることの多い言葉の中に
〝グローバリズム〟があります。

 それを、

「自らのイデオロギーを世界中に浸透させ
、全地球的規模にまで広めようとする動き」

 であると定義すると、

 キリスト教が、最もわかりやすい事例の
ひとつであると言うことができます。

 時間軸から言っても、布教という点から
見ても、その行動力はピカ一でしょう。

 特に大航海時代のカトリックの宣教師や
現代における〝エホバの証人〟の拡散力
は世界一だと言っても過言ではありません。

 意外と知られていませんが、彼らの強み
は凶暴さと根性であって、意外にも思想的
な堅固さや強さではないのかもしれません。

 もっとも、〝エホバの証人〟を純粋に
キリスト教のカテゴリーに当てはめるのは
問題なのかもしれませんが ・・・

 ところで、先に、

 グローバリズムを「自らのイデオロギーを
世界中に浸透させ、全地球的規模にまで広め
ようとする動き」であると定義しましたが、

 ELEMINISTの記事によれば、

 グローバリズムとは、地球を一つの共同体
と捉え、世界の一体化を図ろうという思想や
概念のことで、一般的には国境という物理的
な垣根を飛び越えて、経済、政治、文化など
を地球規模で拡大させる考え方や姿勢のこと
を指すのだそうです。


     グローバリズムのイメージ(Photo by NASA on Unsplash )eleminist.com

 英語で地球を意味するグローブ(globe)
が由来であり、日本語では「地球主義」と
も訳されます。 

 グローバリズムと似た表現や言葉には、
「グローバリゼーション」や「グローバル化」
がありますが、これらは世界が一体化して
いく様子や現象のことで、それらに対して
グローバリズムは、グローバリゼーション
を推進する理念や考え方、姿勢などのこと
を指しているわけです。 

 また、対義語として、グローバリズムに
反対する思想のことを「反グローバリズム」
や「ナショナリズム」といいます。
 
  以上、ELEMINISTの記事から
 適宜に引用いたしました。 

 さて、

 「武器化(ウエポナイゼーション)」と
いう言葉は、化学物質や細菌などを含めた
軍事的用語(大量破壊兵器)としての表記
である「核武装」(weaponization)とは
英語での読み方や綴りが同じですが、

 宗教をグローバル化して武器化したのは
キリスト教です。

 中世における十字軍の遠征や大航海時代に
見られた植民地化への先兵としての宣教師の
派遣などが典型で、イエズス会はその代表例
と言えるでしょう。

 今や、我々の知る社会において世界最大の
信者数を誇る宗教に発展したのはキリスト教
(パウロ教)ですが、

   
      パウロの肖像

 その内実は権力的な支配・統制に加担する
グローバリズムの組織体でもあるのです。

 宗教を「武器化(ウエポナイゼーション)」
したのがキリスト教であったという観点から
展望すれば、教義を「核武装化」している
のがイスラム教で、現在のムスリムのなかの
原理主義たちはテロリズムの権化だと言える
かもしれませんが、ほんとうに恐ろしいのは
キリスト教です。

 ガザ戦争(イスラエルとハマスの戦い)は
ユダヤ教とイスラム教の争いのように感じて
いますが、実際はキリスト教も含めた一神教
(アブラハムの宗教)同士の戦争なのです。

 少しだけ時間を巻き戻してみましょう。

 2022年2月24日のロシアによるウクライナ
侵攻のニュースは世界を驚かせました。

 キリスト教徒、それも特に気の早い福音派
の面々は「いよいよか来たか」ともいうべき
特別の感慨を伴った表情でそうしたニュース
報道に接していたようでした。 

 それは『旧約聖書』の〝エゼキエル書〟に
記された出来事が、今まさに目の前に迫って
来ていると感じられたからです。

 『旧約聖書』の「ゴグとマゴグの戦い」
(エゼキエル戦争)は、


          エゼキエル戦争(ゴグとマゴク)note.com

  イスラエルを象徴するユダヤ教に対して、
ロシア正教、エチオピア正教、イスラム教
などの連合軍が攻め込む構図です。

 しかし、2022年2月24日に起きた事件は、
ロシアによるウクライナへの侵攻であって
エゼキエルに降った預言とは別物です。

 エゼキエル戦争では、ロシアを頭にして、
いくつかの国が連合軍となってイスラエル
の地に攻め入り容赦のない攻撃に絶体絶命
の状況となったその時に・・・ と、いう
ような筋立てのストーリーのはずです。

 そこで、

 エゼキエル戦争の預言を現在の地域名で
具体的に示せば、次のようになります。

  のことばが私にあった。

「人の子よ。メシェク(モスクワの語源)
トバル(トボリスク)大首長であるマゴグ 
(ロシア)の地のゴグ(ヘブライ語で山)
顔を向け、彼に預言して、言え。『神である
主はこう仰せられる。 メシェクとトバルの
大首長であるゴグよ。今、わたしは、あなた
に立ち向かう。 わたしはあなたを引き回し、
あなたのあごに鉤をかけ、あなたと、あなた
の全軍勢を出陣させる。

    (エゼキエル書38章1-4)

 この預言によると、

 マゴグ(ロシア)が将来のどこかの時点で
イスラエルに攻め込んでくるらしいのですが、


  イスラエルを囲む周辺各国の地図 www.shalonsgarden.com

 それはみな武装した馬や騎兵、大盾と盾を
持ち、みな剣を取る大集団である。ペルシャ
(イラン)クシュ(エチオピア・スーダン)
プテ(リビア)も彼らとともにおり、みな
盾とかぶとを着けている。

 ゴメル(ベラルーシ付近)と、そのすべて
の軍隊、北の果てのベテ・トガルマ(トルコ)
と、そのすべての軍隊、それに多くの国々の
民があなたとともにいる。

 《注》ベテ・トガルマは、アルメニアと
  トルコあたりから北の果てに移動した
  民族と推測されています。

 備えをせよ。あなたも、あなたのところに
集められた全集団も備えをせよ。あなたは彼
らを監督せよ。

    (エゼキエル書38章5-7)

 どうやら、ロシアを筆頭(中心)にして、


           イメージ(砲弾の痕)real-int.jp

 イラン、エチオピア、スーダン、リビア、
ベラルーシ、トルコ、ドイツなどの各国が、
連合軍として参戦するようですね。

 エゼキエルによると、「神」ご自身が
ゴグを任命し、イスラエルの北と南の国々、
つまり、現代の国名などに当てはめるなら、
旧ソ連の構成国、ヤペテの子孫たちの国々、
イラン、トルコ、北東アフリカ諸国などの
連合軍にイスラエルを攻撃させるようです。


            ISとアルカイダが使用する旗 Photo PIXTA diamond.jp

 これらの国々は、イスラエル人の存在を
認めないイスラム教過激派組織が活動する
地域でもあるのです。

 さもあれ、

 これは霊的なことを指していて、特定の
地域名に当てはめる必要はなく、マゴクの
地のゴクとは、人間の心に巣食う「神」
の真理を拒むサタン的な思いを言うとする
考え方もできるわけですが、

 果たして、どうなのでしょうか!?

 2023年10月7日のハマスによる奇襲攻撃
が発端となって、

イスラム組織ハマスのパラグライダー攻撃 news.yahoo.co.jp

 ガザでの戦争(イスラエル VS ハマス)が
始まり、その状況を見た欧米では「終末論」
を思い起こす人々が増えているようですが、

 
        聖書預言-ハルマゲドンの戦い www.bible-jp.org

 『ダ・ヴィンチの罠』から想起される
未来では、「最終戦争」や「ハルマゲドン」
『聖書』のとおりには起こりません。

 なぜならば、

 洗礼者ヨハネが、救世主(メシア)には
なれずに、イエスがキリスト(メシア)に
なったからです。


    『岩窟の聖母』パリ・ルーブル版 &『岩窟の聖母』ロンドン・ナショナルギャラリー版

 そうした救世主(メシア)の取り違えを
テーマにした絵画が『岩窟の聖母』です。

  だよね! 
『岩窟の聖母』ルーブル版  『岩窟の聖母』ロンドン版

 2枚のうちのひとつ(第一バージョン)は、
パリのルーブル美術館にある岩窟の聖母』
で、純粋にダ・ヴィンチの筆による作品である 
と考えられますが、


    『岩窟の聖母』パリ・ルーブル版

 問題はロンドンのナショナル・ギャラリーに
ある(第二バージョン)の『岩窟の聖母』です。

   
 『岩窟の聖母』ロンドン・ナショナルギャラリー版

 こちらの作品では、ダ・ヴィンチ工房の弟子
たちの手で仕上げられた公算がかなり高いとの
鑑定評価ですが、新たに最初の下書きとしての
アイデア(描線)が発見されています。


 『岩窟の聖母』の下絵の構図 call-of-history.com

 初期の下絵を見ると、ダ・ヴィンチは当初
聖母マリアを構図の左側に配置して、右側に
赤ん坊のイエスと天使を置き、そちらに顔を
向けていたことがわかります。


        『岩窟の聖母』の下絵(部分) japan.cnet.com

 ダ・ヴィンチが下絵から構図を大きく変更
した理由は不明とされていますが、これまで
『ダ・ヴィンチの罠』の記事を読んできた
皆さんには察しや見当がつくはずです。


     『岩窟の聖母』の下絵に隠れていた描線 jfruits.com

 ここに「罠」の伏線としての仕込みや
仕掛けが潜んでいるわけですね。 

 ところで、この祭壇画『岩窟の聖母』
制作において、ダ・ヴィンチ側と依頼者の側
とで報酬をめぐる問題や指定した仕様書との
食い違いなどのトラブルが生じて裁判となり
、解決までに20年以上の年月を費やすことに
なるのですが、

     

 その件についての詳細は、次回での解説と
させてください。

 繰り返しになりますが、『岩窟の聖母』は、


 ロンドンのナショナル・ギャラリー収蔵の
ものと、パリのルーヴル美術館に収蔵された
ものの二種類があって、パリ・ルーヴル版が
最初のヴァージョンになります。

 ただし、この絵画は、

 依頼主から充分なる報酬が得られなかった
ために個人に売却されてしまいますが、作品
の意図は明確です。

 聖母マリアがイエスの肩を抱いて、大天使
ウリエルの側にいる洗礼者ヨハネから洗礼と
祝福を授かるシーンが描かれています。

 
    画像元:レオナルド・ダ・ヴィンチの小部屋

 洗礼者ヨハネの左手は、満々と水を讃える
泉の淵に置かれ、右手で祝福を授けています。

 一方のイエスは聖母マリアに導かれ、合掌
してヨハネからの洗礼と祝福を与かります。


         『キリストの洗礼』部分 firenzeguide.net

 ダ・ヴィンチが手伝ったヴェロッキオ工房
での『キリストの洗礼』の再現ですね!

    
   赤ん坊とオトナの違いがあるけど・・・

 結局のところ、すったもんだの裁判の末に、

 改めて描き直されたのが、ロンドンにある
ナショナル・ギャラリー版なのですが、下絵
が発見されたのはこちらの作品です。

 下絵との比較から言えることは、


     『岩窟の聖母』の下絵に隠れていた描線 jfruits.com

 最終的にダ・ヴィンチは聖母マリアが幼児の
ヨハネの肩を抱くような構図に変更したうえで
依頼主である教会に納めています。

 当然のことながら、こちらの泉の水は涸れ
果てていますが、その代わりに洗礼者ヨハネ
には十字の杖(アトリビュート)が加えられ
、大天使ウリエルを除く各人の頭上には光輪
が描かれることになりました。

 おそらくは、これが、ダ・ヴィンチが許容
できる最低のラインであり、1508年8月18日
までに依頼主の教会の祭壇に設置されていた
ことが法的書類で確認されています。

   さて、次回においては、

 報酬のトラブルや仕様書との食い違いなど
裁判における顛末や下絵の「罠」に関する
についての考察を予定しています。

 ちなみに、

 エゼキエル戦争について付け加えれば、

 現在、トルコはイスラエルとの友好関係
を破棄して、イラン・ロシア・トルコとの
間で三国協定を結んでいます。

 2010年以降、パレスチナ問題(ガザ地区
への攻撃)をめぐって対立してきた両国で
したが、2022年にトルコとイスラエルは、
関係正常化で合意したばかりでした。

 しかしながら、

 今般のガザ戦争でのイスラエルの対応に
に対して、トルコのエルドアン大統領は、

 「ガザ地区で起きているのは〝大虐殺〟
であり、イスラエルによる戦争犯罪だ」と
述べて、イスラエルの報復攻撃を手厳しく
批判しました。

 これに対して、イスラエルのネタニヤフ 
政権は激怒し、トルコに駐在する外交団を
引きあげ外交関係を見直す考えのようです。

 このように、

 一進一退の関係を繰り返しているのは、
トルコとイスラエルだけではありません。

 ダ・ヴィンチ工房の面々も それは同じ
で、20年を超える教会側との裁判に辟易
していたのです。

   なに、裁判とな!? 
   

 プンプン  クンクン       ふむふむ

  ん!! 
画像元:cinemagene.com & www.pinterest.jp 

このオチの胡散臭さは、いったいだ!?

     「え !!
 

           このジジイ!
     
       マジか !?

     ・・・ っておいおい

      
     なんだかなあ!

   

  … to be continued !!  

  

  


    『岩窟の聖母』パリ・ルーブル版 &『岩窟の聖母』ロンドン・ナショナルギャラリー版 

コメント一覧

小吉
宗教間の争いがあるのならいっそのこと全世界でイデオロギーが統一したほうがシンプルで平和だ、という考えがある一方。

ある外国人が「日本はクリスマスやら正月やらお葬式やらいろいろあって枠にとらわれない生き方をしているんだね」という見解に対し、それは「八百万の神」を信じているからなんだよ、というような答えがあって、ああ、なるほどな、と思いました。
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