◇スミレ 雑種 研究所

スミレ類の雑種について、研究員A&Bが少しずつですが、研究報告します。よろしくお願いします。

オクタマスミレ④

2017-08-15 17:50:59 | 日記

◇エイザン×ヒナ・・オクタマスミレ④

前回説明し忘れた葉について一言、地域個体群による葉の形態変化もある。例えば、スミレサイシンとナガバノスミレサイシンの2種は独立種であるが、その類縁関係は近く、ナガバノスミレサイシンは多雪地帯に分布するスミレサイシンの対応種であり、スミレサイシンは分布域全体の中では葉形の地理的変異にいわゆるクライン (白石・渡辺、2002)が見られる。分布域の北部では一般に葉が大きく幅広になり、西部ではより小さく狭長となる。東北地方の太平洋側では、日本海側に比較して葉が小さくなる傾向が見られる。 

※クライン:同一種で、生育環境の違いなどで形成した異なる形質を示す集団のこと。環境傾度の違いによる形態変化の連続性。

参考文献:白石孝子・渡辺定元 2002年 本州中部山地におけるブナの葉の絶滅危惧植物 地球環境研究

◇花について、この地点で観察したことである。

エイザン

 

 ヒナ

 ④

花期:ここのヒナはエイザンより早く咲き、オクタマはその中間。

花色:この地のエイザンは大きく花弁に白色から淡紅紫色のグラデェーション、フリル有り、白色の地に濃い赤紫色の脈が目立ち、紫状は花弁半分まで色が載り下半分は白色、側弁は有毛、下弁は長くサクラの花びらのようなくびれ有り。この地のヒナは全体が淡紅色で中心へ白色のグラデェーション、下弁の紫状は半分まで紅紫色で下半分は淡紅紫色、側弁は有毛か個体によっては少ない。 

花柱上部:エイザンは突頭形、ヒナはヒカゲスミレほどではないが、中央部が高い準突頭形(花柱上部の記述は2002、浜を引用)いわゆるカマキリ頭状で、その花柱上部はエイザンは奥に、ヒナは見やすい位置に有り、ヒナの方がカマキリ状が目立つ。

がくの付属帯:エイザンは凹んでいるが、ヒナは凸状で細かなジグザグ有り。

香り:エイザンは香しい。

参考文献:2002.浜栄助、増補原色日本のスミレ 誠文堂新光社

 オクタマ

 

 ①~⑥ 撮影日:2010.4.18 撮影地:関東地方 撮影者:研究員A

この地点のオクタマの花は全体が淡紫色で中心は白色、紫状はエイザン同様はっきりしていて、半分まで紅紫色残りは白色、側弁の毛は有り、花柱上部はカマキリ状、がくの付属帯はフラットでギザギザが有り、香りは有り。

オクタマの話しだけで投稿①~④もかかってしまった!次回はキクバヒナかスワとの比較を予定。

 ◇気になる事 

 

7年前に撮影した写真はエイザンの花びらにツマグロヒョウモンの幼虫(?)がいた。最近、この観察地でエイザンが減ってきたように思っていたが、環境の変化もあるが、この昆虫の存在は脅威になりつつあるのかもしれない研究員Aより


理由とかは良くわかりませんが,なぜか交雑種は回りにある両親となりえる花が全盛期の時には咲かず,少しズレた時期に開花します。そのその辺りの謎は誰か研究して解明してもらいたい所です。研究員Bより

 



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