5章~瀬尾修一~
裕也にだって、友達はいる。
私が裕也と出会ったあの居酒屋で、よく一緒に飲みにきてる人がいるんだ。
その人が、裕也の就職祝いをしてくれるそうなので、私たちはその居酒屋に立ち寄った。
「お、裕也!遅かったじゃん!」
・・彼の名前は 瀬尾 修一。
もう出来上がっているようだが・・・
「なんだ、先飲んでんのかよ・・」
「まぁいいじゃん、就職祝いなんだし 無礼講で!」
「お前なぁ・・」
「あ、そういえば どして裕也はうちの会社にしたの?」
「・・なんだよ急に・・。」
「いや、気になったんだもん。」
「・・お前がいるからに決まってるだろ?」
「な・・」
「まぁ、それは理由の半分くらいでしかないだろ?」
「・・・」
「え、なになに? 修ちゃん何か知ってるの?」
「こいつさ、愛ちゃんと付き合いだした頃は まだフリーターだったじゃん?」
「んで俺が、『片や一流企業の美人社員、片やニートじゃ、完全にヒモだよな。』って言ったの。」
「あはは、確かに♪」
「じゃあこいつ、マジで頑張りだしちゃってさ。」
「へぇ~、可愛いとこあるじゃん♪」
「・・うるせぇな・・」
「でも、お前ばっかりモテるんだよな、昔から・・」
「なんだ、まださっちゃんの事怒ってんのか。」
「・・さっちゃん?」
「だぁー、言うな言うな!」
「こいつが好きだった子なんだけどな、その子こいつの目の前で 俺に告ったんだ。」
「やーめーろー」
「で、こいつ 自分に告られたと思って 答えてたんだ。」
「あはは・・」
・・お酒が入ると、普段話せないような事でも聞けちゃう、やっぱりこういうのって楽しいな・・
でも 次の瞬間
ふと入り口に目をやった私は、恐怖で凍りつく・・