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尊厳死:医師の処方による末期患者の自死、米マサチューセッツ州で合法化へ

2012-09-05 06:28:58 | 騙マスメディア

 

尊厳死:医師の処方による末期患者の自死、米マサチューセッツ州で合法化へ

 

 

By 記事:ASHLEY PORTERO、翻訳:橋本あかね | 2012年9月4日 14時05分 更新

  自分の意思と信条に基づいて生き、そして死ぬことはおそらく、人間が持つ最大の自由だろう。しかし、その自己決定権と安心感が、治療者としての医師の役割や、究極的には生命の価値と衝突するとしたらどうだろうか?

 

尊厳死は安楽死か

 

オレゴン州は1994年、終末期にある患者が死期を早める薬を処方してもらうことを認めた。ワシントン州が2008年にこれに続いた。マサチューセッツ州の住民投票はワシントン州の法と事実上同一であり、オレゴンの法を下敷きにして作られていると、「マサチューセッツ尊厳死連合(The Massachusetts Death with Dignity Coalition)」の広報責任者ステファン・クロフォード(Stephen Crawford)氏は言う。  

2009年にはモンタナ州の最高裁判所が、医師が幇助する自殺は州法や判例に違反しないという判決を下したが、同州には公式な尊厳死法はない。   

この法律は、ある重要な点において、安楽死や医師が幇助する自殺とは違う、とマサチューセッツ尊厳死連合は言う。すでに病気で死期の迫った患者が、自分の生命を終わらせる薬を自己投与しなくてはならない、という点だ。医師はそのために必要となる薬を処方することは許されるが、患者の求めがあったとしてもそうする必要はない。

 

 しかし反対派は、尊厳死法は医師自殺幇助と変わらない、終末期の人々はそれを実行するためにさえ手助けを必要とするだろうからだ、と言う。「誰かが診察の予約を取らなくてはなりません。誰かが薬局にそういう薬を取りにいかなくてはなりません。こういう薬が自宅で、監視もなく投与されうるのです。これが本当に自発的な行為と言えるでしょうか」と、尊厳死法に反対する「選択は幻想(Choice is an Illusion)」の代表でワシントンの事務弁護士、マーガレット・ドア(Margaret Dore)氏は言う。中には弱い立場の患者たちを危険にさらす可能性を持つ条文も含まれているという。

 

 

「滑りやすいロープ」

 

 

オレゴン、ワシントンの法に規定されているように、マサチューセッツの法案でも、患者は処方箋を手に入れる前に一連の条件を満たさなくてはならない。終末期の患者で顧問医師が余命6か月以下との診断をしていること。また、顧問医師は患者が健康に関して決定を行い、それを伝える能力が精神的にあることも認定しなくてはならない。さらに、薬の請求は、15日の間隔をあけ、2度にわたって、文書で主治医に対して行う必要がある。また、家族や主に看護を担当している人でない証人が2人必要だ。  

条件は厳しいように見えるが、防護策を犯した医師に対する罰則が明文化されていないことが問題だと反対派のドア氏は述べる。また、家族や介護者から、治療費がこれ以上かからないよう死を選ぶよう勧められるなどという圧力がかかることが、さらに心配なのだという。   

こうした点をマサチューセッツ尊厳死連合のクロフォード氏にぶつけたところ、「滑りやすいロープ、つまり一度始めてしまえば事態を止めることはできないという議論は、長年にわたって反対派が主張してきましたが、裏付けはないのです」という返答だった。

 

 

実際、オレゴン州公衆衛生部のデータによれば、尊厳死を利用した患者の大部分は白人で、教育のある、経済的にも安定して保険にも十分加入した人々だった。また、件数自体も少ない。14年間で596例で、転移性のがんに苦しみ、死が迫っているという明確な診断が出た人々がほとんどだ。

 

 

しかし、少なくとも1件は、さらなる治療ではなく死へ向かうことになった例があった。2008年、末期の肺がんを患っていたオレゴン州のバーバラ・ワグナーさんが、オレゴン保険プランによる自分の健康保険では主治医の処方した月4,000ドルの薬物治療をカバーしきれないが、尊厳死に必要な薬の料金はカバーできることを知り、後者を選んだのだ。この例は全米に議論を巻き起こした。

 

「自己投与」のあいまいさ

 法案支持者たちは、尊厳死は、自分の命を終わらせる薬を自分で投与できなくてはならないのだから、幇助自殺とは法的に区別できるとする。患者はそうした薬を、物理的に自分の体に入れることが出来なくてはならないのだ。

 

 

しかし反対派の人々は、がん患者は別として、ALS(筋委縮性側索硬化症)の人たちがこの法律に基づいて死を選ぶことを疑問に思っている。この病気が進行すると筋力や協調運動機能が低下し、歩いたり動いたり、飲み込むことさえ出来なくなってしまうからだ。

 

 

マサチューセッツ法の規定は法的にあいまいだと、反対派のドア氏は指摘する。患者は生命を終わらせるのに必要な薬を「自己投与してもよい」という表現になっている。「しなくてはならない」とは重要な違いだ。また、同法ははっきりと「このような手続きは自発的で」と述べているが、「自己投与」とは法的には、薬を単に経口摂取することでもありうる、とドア氏は言う。「経口摂取には『自発的な行為』は必要ありません。これは自分の選択の問題だと言いますが、法にある通りだと、選択は保証されていないのです」というのが彼女の主張だ。

 一方、マサチューセッツ尊厳死連合のクロフォード氏の主張は、条文では薬を投与できるのは患者だけだと明確に述べられている、というものだ。「薬は自己投与されなくてはなりません。それが条文の規定です。それだけです」と彼は言う。

  

オレゴン、ワシントンでは大多数が支持

 尊厳死が合法化されている2つの州では、少なくとも住民の70%が同法に好意的な意見を持っていることが、ナショナル・ジャーナルとリージェンス財団の行った2011年の世論調査で明らかになった。

   

マサチューセッツの人たちも同じ意見のようだ。以前には、医師の処方による自殺は法制化に至らなかったが、最近の世論調査の結果では、同州が東海岸で最初に尊厳死を合法化する州になりそうである。パブリック・ポリシー・ポーリングの行った最近の調査では、住民の58%が尊厳死に賛成票を投じるとしたのに対し、反対と答えたのは24%にとどまった。

  

この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。 

 

IBTimes
 


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1 コメント

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Unknown (ハラダ)
2014-01-10 07:36:21
滑りやすい「ロープ」ではなく、「スロープ」の間違いだと思います。ちなみに、日本語では、「滑りやすい坂論法」とか、「すべり坂論法」と訳されています。

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