折り紙と突然の日記

朝、キッチンのテーブルでボンヤリとブラックコーヒーを飲んでいた。
出社前に、椅子に腰掛けてボッーとしているのが好きだ。
寝ているでもなく、起きてるわけでもない時間。
出かける前の珠玉の時間を楽しんでいた。

その時、居間から突然、ガラッとドアが開いた。
ボクはビックリして身構える。
いつも寝ぼけまなこのC女史が、何故か明るい笑顔で立っている。
「何なん？いけんしたと？」
ボクは唖然とC女史を見る。
へへっと笑ったC女史は曰くありげにボクを見て、握っていたスマホをテーブルの上に置いた。

スマホから、突然音楽が流れて来た。
「ラジオ体操第一」
ボクは反射的に立ち上がる。
「腕を伸ばして背伸びの運動」
ボクは両腕を反射的に伸ばす。
体操が終わり、ボクはドッと椅子に座り込む。

笑顔のC女史は、
「では行ってらっしゃい、私は寝ます」
居間のドアがバタンと閉まる。

夜、仕事から帰ってキッチンの椅子に座る。C女史が笑顔でボクを見る。
「いや〜、暑いし疲れたよ」
テーブルにスマホが置いている。
「ラジオ体操第一」
ボクは立ち上がる。
「腕を伸ばして背伸びの運動」

ラジオ体操第一は突然、いつやって来るか分からない。