土塊も襤褸も空へ昇り行く:北村虻曳

随想・定型短詩(短歌・俳句・川柳)・写真
2013/11/11開設

「ベルギー奇想の系譜展」を見て

2017-05-29 | 随想
兵庫県立美術館で開催中の「ベルギー奇想の系譜展」を見てきた。
(写真はブリュージュの尼僧院の水仙)

ボス、ブリューゲルなど僕(誰でも)の好きな画家の作品多くが出されている。他にルーベンス、クノップフ、アンソール、デルヴォー、マグリッドなど、ベルギ-に関係する著名な画家の作品が見られた。奇想の画家の多くはこの地域で活動していたのだ。

今回印象深かったのはフェリシアン・ロップスだ。エロティシズムに溢れた絵画は元来あまり好みではないが、彼の絵の場合、それが恐怖に覆われた悪魔的なもので締めが効いている。それをコピーで見ると、やはりエロティシズムのほうが表に立ち、安っぽくなる。それでもコピーのリンクを挙げておく。僕がロップスを今まで見逃していたのはコピーしか見てなかったからという気がする。実作品を繰り返し見てしまった。魅入られたのだ。ウィキペディアによると、フランスの検閲で削除されたボードレール『悪の華』の詩を集めた『漂着物』の口絵を描いたという。文学との関係が深かった画家なのだ。

もう一つ、惹きつけられる1枚。ヴァレリウス・ド・サードレールの『フランドルの雪』。単純な雪景色であるが重い空が画面の大きな部分を占めることを指して、人間を超えたものを描いているという意の解説があった。同感である。この空の色も、プリントで、特にネットでは感得するのは難しいだろう。

最後に、ご存じの方は少ないかもしれないがレオン・スピリアールトだ。2作品が見られたが、代表作『めまい』が来てなかったのが残念である。

全般に得心のいった展示であった。

今、白内障と眼瞼下垂で視力が落ちているし、絵はあまり大きくないので見えるか心配であったが、日曜ということで夕方5時前からの入場であり、解説や音楽の催しがあったためか鑑賞者は少なくて、絵に接近してゆっくり見ることが出来た。

実は、神戸の詩人富さんのお通夜の帰りの鑑賞で、少し申し訳ないのだが、彼が良い機会を与えてくれたのだと解釈しよう。富さんありがとう。

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