兵藤庄左衛門、批評

芸術、芸能批評

・展覧会「富野由悠季の世界」静岡県立美術館‘20 9/19~11/8 ’20 10/4

2020-11-22 19:18:12 | 美術展
・展覧会「富野由悠季の世界」静岡県立美術館‘20 9/19~11/8 ’20 10/4
☆第1部第1章
~A 幼少期から大学生までの作品
・「宇宙船コックピット」1954
 細かい線のスケッチ、顔の描き方がまだ習作。
・「静物」1959
 量感、質感をとらえようとしている。
・「研究セット」
 ハチの巣、宇宙船、きめ細かく立体感がある。
・「戦艦」
 
・「植物」
 ものを見よう、探ろうという気概を感じる。
・「コンベアXFX-1」
おそらくイラスト等の模写で立体感や描き方を学んだと思われる。
・「架空の戦闘機」

・「父親の与圧服の写真」
 彼のSF好きは父親の科学技術屋からの影響があるのだろう。
・「風景」
 やや平板ながらもものをしっかり見ようとしている。
・「彼のノート、作文、」1954,58,59
 抽象画も描いている、「月世界旅行」等のフィクションが得意なようだ。
・「フォトコラージュ」1962
 事象への凝視、創作への秀作。
・「ポスターのデザイン」1962
 
・「二つの場所、白黒ドラマ」1961
 
~B 虫プロ時代 1964~67 ~
 絵コンテを切っており、演出できるアニメーターでシナリオも書けることで存在がクローズアップされてきたようだ。

~C フリー絵コンテマンの時代 67~70年代 ~
 演出指示書を書いている。
・「トミノロジー」1930
 高畑勲との出会いによりレベルアップを果たす。

☆ 第1部第2章
・A「海のトリトン」
 アフレコ台本、構成案、絵コンテにより屋台骨を支えていたことが分かる。
・B「勇者ライディーン」
 絵コンテや構想を書き、修行を積んでいたことが分かる。
・C「無敵超人ザンボット3」
 絵コンテで修行を積みつつ、種々の才能ある人たちと切磋琢磨しあってレベルアップを図り、より高いレベルでの協力体制を築いている。

☆ 第2部第1章 ガンダム
・「ガンボイ」
 企画メモにより、後のGun Damへの芽生え
・A 成り立ち
 キャラクター原案は安彦良和、大河原邦男が描く。シナリオ:星山博之、構成案や絵コンテを自作しつつ、皆との協力で製作し、美術設定等はきめ細かい。
・B ガンダム大地に立つ
 キャラやメカニカル設定は安彦良和、大河原邦男、絵コンテは富野。
・C ふりむくなアムロ
 安彦のイラスト原画は迫力がある。 
・D 様々な愛
 キャラクター設定、メカニカル設定のきめ細かさ。
・*360度立体展示:室内の全壁面への画像照射という工夫により、自分がガンダム世界に入り込んだかのようだ。
・E ニュータイプへの覚醒
 架空世界の創造されたキャラを立体的に描き、リアル感を追求する。
・F 劇場版の公開に広がるガンダム世界
 安彦、大河原のイラスト原画は迫力があり、すごい力を込めて描いている。イラストスケッチをもとにセル画が成立していくことが分かる。

☆ 第2部第2章 イデオン
・A  世界観の構築
 企画メモ、イメージイラストで考えを深めていることが分かる。
・B イデとは何か
 架空の物語に真実味、心の納得をえさせる深みを与えていく。イラストもより緻密になっていく。
・C 人種 文化 思想
 美術ボードにより具体化していく。四条徹也(中村光毅)
・D 男と女、そして子供たち
 湖川友兼、キャラクター造形:イラスト原画
・E 劇場版~生と死、そしてリインカーネーション

☆第3部第1章
・A 無敵鋼人ダイターン3
 塩山紀生、イラスト原画:シャープな印象。
・B 戦闘メカ ザブングル
 湖川友兼、キャラクター・ラフ、生き生き。高荷義之:イラスト原画:細密、迫力。池田繁美:美術ボード。
・C OVERMANキングゲイナー
 ロケハン写真も本人が撮っている:バイカル湖。
☆第3部第2章
・A ラ・セーヌの星
 途中から監督として登板してできはいまいちだったようだ。
・B しあわせの王子、74年、19分
 児童福祉文化賞、教育映画祭最優秀作品賞。
・C 闇夜の時代劇、正体を見る、95年、12分
 絵コンテにパン等の工夫が随所にあふれ目を離せなくする。躍動感等深めていくことがラフスケッチからセル画へ発展していく中で見て取れる。
☆第4部第1章
・A 聖戦士ダンバイン
 池田繁美の美術ボードにしっとり感がある。絵コンテは富野本人。
・B バイストン・ウェルの物語
 ガーゼィの翼
・C リーンの翼
 社会批判に深みが増す。ロケハンの写真資料の収集や撮影。
☆第4部第2章
・A 重戦機アルガイム
 イメージボードでキャラやテーマが深まる。永野護のキャラクター・ラフ。
*完成プラモの参考資料
 
☆第5部第1章
・A 機動戦士Zガンダム
 企画書、番宣ポスター、安彦良和:キャラクター・ラフ。永瀬唯・東潤一・藤田一己・富野本人:美術ボード。絵コンテに赤がいっぱい入る。
・B 機動戦士ガンダムZZ
 広報用番宣ポスター。指示、ラフ・スケッチ。北爪宏幸:イラスト原画
・C 機動戦士ガンダム逆襲のシャア
 絵コンテ準備稿、企画書、シナリオ、イメージボード、ロケハン:インドで、

☆第5部第2章
・A 機動戦士ガンダムF91
 ロケハン写真はチェコやポーランドで、プラモ多数、イメージラフ多数。
・B 機動戦士Vガンダム

・C ブレンパワード 98年
 富野本人:イメージボード:水彩。
*富野の小説本展示
 作詞含む、準備稿からの具体化、キャラのイラストの瞳に色指定指示がある。いのまたむつみ:イラスト:今までと違ってくる人物造形が見られる。

☆第6部第1章
・A ガンダムの革新を目指したビジュアル
 安田朗:イラスト原画:今までと違う造形屋雰囲気となる。イマージラフ多数で具体化が分かりやすい。
・B 世界史への関心
 企画→深く、細かく、具体的→物語に動き、キャラが息づく
・C 物語の復権
 
・D ロボットに乗らない者たちの戦い
 キャラに何かを託し存在することの何かを訴える。
・E 大地―還るべき場所
 
☆第6部第2章
・A ガンダム世界の再構築
 イメージボードによりキャピタルタワーの具体化細密化が分かりやすい。各キャラの装備やデザインの綿密な具体化が分かる。イメージボード:のどかな風景。
・B トミノ・スタイル
 絵コンテ多数、演出案。

★総合
おそらくてんてこ舞いの忙しさながら、幾度も記述案やイラストを書き直しては、アニメの世界観を深め、造形もより細密に具体的に描きなおしては、完成度を高めていくのだろう。