日本年金機構で、またも問題が発覚した。
日本年金機構がデータ入力の業務を発注した都内の会社が
中国の業者に再委託していたと「時事通信」などで報じられた。
国民の怒りが爆発する中で、「マイナンバー見直し」の声が上がっている。
発端となったのは、2月分の年金支給額が本来より数万円少なかったという問題。
この件をめぐり加藤勝信厚生労働大臣は3月20日、日本年金機構が委託した業者
「SAY企画」が、マイナンバーなどの個人情報500万人分を、
規約で禁止していたにもかかわらず中国の業者に無断で再委託していた事実を明かし謝罪した。
報道によれば、SAY企画が請け負ったのは1300万人分の個人情報の入力業務で、
そのうち500万人分のデータ入力が中国の業者によって行われたという。
日本年金機構は1月上旬にこの違反を把握していたが、2月半ばまで委託契約を続け見直さなかった。
さらに誤入力も約31万人分が発覚し、年金額に影響が出ることが予想される。
なお、監査の結果、中国の業者に入力ミスはなく、個人情報も外部流出していなかったという
実は日本年金機構は、その前身である社会保険庁の時代から、不祥事の宝庫だった。
'04年3月、社保庁職員による未納情報などの業務目的外閲覧、個人情報漏洩が発覚。
'06年5月には、国民年金保険料の不正免除が明らかになった。そして'07年5月、
社保庁のオンラインデータに多数のミスや不備が見つかった、いわゆる年金記録問題が表面化。
さらに'07年8月、健康保険や厚生年金保険料の滞納事業者に対し、
延滞金を不正に減額していたことまでわかった。
これほど不祥事ばかり起こす社保庁を政府も問題視。'09年12月に社保庁は解体され、
'10年1月から日本年金機構が設立された。
だがそれでも、不祥事は絶えない。'10年10月、機構職員と社保庁OBが官製談合で逮捕。
'13年4月には、過去の記録ミスによる支給漏れを支払う「時効特例給付」が行われておらず、
約10億円の未払いが発覚した。そして、'15年5月に125万件の情報流出問題を起こした。
日本年金機構設立の際、社保庁1万6000人の職員のうち500人余りは解雇された。
だがほとんどは、そのまま年金機構に移行している。
社保庁職員は他の役人からみると厄介者なのだ。
社保庁職員がなぜ働かないかといえば、社保庁は労働組合と、
「働かない」覚え書きを取り交わしていたからである。
その、覚え書きの内容はすさまじい。
「コンピュータ入力の文字数は一日平均5000字まで」、「端末の連続操作時間は50分以内」、
「50分働いたら15分休憩」など、一般企業ではありえない、非常識なものばかりだ。
社保庁時代に入った職員には、まともな働き方を知らない人もいる。
こうした組織は、まともでない働き方を継承する。
すでにこの覚え書きは破棄されたとはいえ、職場慣行は長年続き、不祥事が続発。
日本年金機構になっても、その構造は同じである。
民間組織であればとっくに倒産しているが、公的機関である年金機構は潰れない。
今回の、日本年金機構が委託した業者のデータ入力で約95万2000人分にミスがあった問題は、
機構側のずさんな業務管理が一因だった。
うち入力漏れの約8万4000人分で過少支給が判明。
さらに約31万8000人分の一部で支給額に誤りがある見通しで、機構は26日にも詳細を公表する。
度重なる不祥事に、識者は「体制を抜本的に見直す必要がある」と指摘している。
「まさかスキャナーで読み取っているとは」。
主なミスの原因が業者の契約に反した入力方法にあり、それを見逃してきた機構の
チェックの甘さにあきれた。
機構が所得控除などに関するデータ入力を委託した情報処理会社「SAY企画は、
2人1組で手入力するという本来の入力方法ではなく、
スキャナーを使って紙のデータを読み取っていた。
スキャナーでは文字の変換が完全にできるとは言えない、いい加減なもの。
確かに早いが、ミスも出てくるずさんなもの。
それで、機械が誤認識した漢字などが残り、配偶者の所得区分を示す丸印も誤って認識され、
過少支給などにつながった。
まだ、これからも不祥事は続くだろう。