ー 子育て 今昔物語 ー
「子どものまま中年化する若者たち」
鍋田 恭孝 幻冬舎新書
最近、当家の居間のテレビが「子どもが少なくなるから大変だ―」と騒いでいる。新聞も騒いでいる。
国は、子どもが少なくなるのを防ごうと、収入が少ないから子どもを産む気にならないに違いない。ここはひとつ金を出してやろうとか、あるいは夫をもっと家事に引っ張り出そうかとか、夫やと社長の都合などお構いなしに妙案・珍案の言いたい放題である。
確かに金さえあればと考える親も多いと思われる。一応もっともである。しかし子どものどんな所に金が要ると思っているのか。教育費は大きいと思う。ただ天の邪鬼に言わせれば皆が皆大学に行くこともなかろう。みんな行くから、というのでは余りに知恵がなさすぎる。
高度成長期、多くの若者が中学卒で就職した。東京駅や上野駅に大挙して降り立ち、土曜日半ドンで残業もいとわず働いた。働きながら定時制や通信制で高校、大学の卒業資格を取る者もいた。男は大体26歳前後で結婚し、子どもは二人くらいつくり、総じて社会に覇気があった。
今、皆が高校に行き、多くが大学にはいる。学歴の差がなくなり、社会の凸凹、「理不尽」(「子どものまま中年化する若者たち」鍋田恭孝 幻冬舎新書)がなくなった。理不尽、はっきり言うと格差である。テレビや新聞は格差は悪いと声を揃える。しかし格差がなくなると、ここらでいいやと妥協し、あそこまで登ろうという気が失せる。
国や会社が子づくりを手伝ってやったとしても生まれた子はそういう頑張らない親を見て育つ。要は子どもの数ではない。質が問題なのではないか。
・・・5歳で英検準2級に合格した子がいる。念のため申し添えるがその子は高校には行ってない。