ー 廃 用 症 候 群 ー
「廃用症候群」ということばを目にした。
例えば入院して寝たきりの生活をすると、筋肉が弱って立てなくなったり、歩けなくなることをいう。
自身、経験がある。
足を骨折して外科医に行ったところ、2カ月近く足首からふくらはぎへかけてギブスで固定された。一日2回10分から20分ほど松葉づえをついて歩いたり、平行棒で脚を屈伸する運動を続けたが、ギブスを外したらふくらはぎの太さは入院する前の半分になっていた。
“ 使わないものは錆びる ” は平生心がけていたことであるが、実際目の当たりにするとぞっとする。
退院後はリハビリをする予定になっていた。それでリハビリをしてもらおうと外科医へ行ったら、退院から1カ月を過ぎているので新たに受付けから手続きしてくれという。
暦をみると、なるほど1カ月と3日ほど経過している。こちらの体の具合は十分承知しているはずなのにまた受付からやり直せとはなにごとだ、と腹を立ててリハビリは自分でやることにした。
先ず骨を固定するため入れた3本のネジを抜いた。体の中にネジが入っていると思うと気分が悪い。それに異物があると、体はこれを外に出そうと出そうと死ぬまで報われることのない努力を続けるに違いない、それじゃ余りにも不憫と、自己流でそう決めて他の外科医へ行って抜いてもらった。
以来、そろそろ歩きから始めて早歩き、トコトコ走りと、段々に負荷をかけてみたら筋力はみるみる回復した。退院する少し前にかの外科でリハビリを受けてみたが足首をくるくる回したり、バケツのお湯に足をつけるだけである。これでは3年かけても走れるようにはならなかったろう。筋肉を使わないからである。
「病院で死にたくない」。だれでもそう思う。病院で死なないためには病院に入らなければいい。病院に入らないためには歩けばいい。どうせ歩くなら、ぶらぶら歩くだけでなく途中早歩きを入れてみたらいい。時々さぼることもいい。雨の日など無理して歩くことはない。これで “ 廃用 ” とは無縁になる。