― 漢方薬 ―
「医薬品クライシス」佐藤健太郎 新潮新書
暮れから漢方の薬局に行くようになった。
家内が皮膚病にかかったので軽に乗せて連れていく。最初は様子見だったのが、このところ定期的に薬を買いに行っている。
保険の扱いがない店なので、薬代は高め。それでもその店に行っている第一の理由は、店の主人の「私はもう何十年も健康診断に行ってません」ということばに引っかかったからである。70半ばのご主人は実にかくしゃくとしていらっしゃる。健康診断を受けなかったということは、その間、体になんの不安も感じなかったということだろうか。
西洋薬の店に行かないもうひとつの理由は、西洋薬は一時しのぎに過ぎず、西洋薬では慢性病は治らないからである(医薬品クライシス 佐藤健太郎 新潮新書)(酵素の謎 鶴見隆史 祥伝社新書)。
一番いいのはいうまでもなく病気にならないようにすることであるが、テレビの健康番組も役場も予防のことなんかそっちのけで早期発見・早期治療しか言わない。
さかんに健康診断を勧める。診断に行くと血圧や糖が高いと宣告される。これは大変だと医者に行く。処方箋を持って入った薬屋は “ 一生のお付き合いですね ” などとぎょっとするようなことをさらりと言う。
根っこから治らないのだから一生飲みつづけるしかない。こうして大学病院の駐車場は連日満車になる。
そんなベルトコンベアーに乗せられてたまるものかと、今回漢方の門を叩いてみた。効果が見えるのはまだ先だと思うが、少なくともこれまで “一生のお付き合い ” と言われたことはない。
人生選択の連続、これまでの選択を吉と凶に分けて天秤に乗せたらどちらへ傾くだろうか。折を見てやってみようと思う。