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田舎ぐらし(52)

ー 賞味期限 ー



   「夫に死んでほしい妻たち」
       小林 美希 朝日新書

  本屋。ぶらりと歩いていると、「夫に死んでほしい妻たち」というタイトルの本が目に入った。

仰天して思わず手を伸ばすと、赤いカバーにこうある。

 表に、「家事や育児、あなたの「やっているつもり」は全然足りない」。裏にはイクメン気取りだとか、亭主関白だとかいうことばをばらまいたその真ん中に「死ねばいいのに」と大書されている。

 もちろん、世の細君が全員そんな風に思っているわけではなかろう。それにしても、華やかな結婚式をあげ、中には早々に新居を建てて、たいした年数も経っていない夫婦もいるだろうにと思う。

 “寅”(トラ)は独身である。だんご屋のオヤジに「どんな嫁がいいんだ?」と聞かれると、嬉しそうに、「そりー、おれが帰ったら、玄関に三つ指ついて、お帰りなさい、お風呂になさいますか?それともお食事?と言ってくれる人だなー」と言う。オヤジは顔をしかめて「今どきそんな女がいるかつ!」。

 オヤジが言うように、今どきそんなことを口にしたら、亭主の賞味期限たるやほんの3日も置かずに消滅するにちがいない。オヤジは “ 昔はいたが ” と続けたいところを吞み込んでいる。

 賞味期限の物差しは人それぞれであろうが、稼げる間という考え方もあるようだ。
田舎に来てから聞いた話である。
あと何日かで定年を迎え退職金が出るという時、細君が一度でいいから山のようなお札を見てみたいと言い出した。それで定年になったその日現金で持ち帰って細君に見せてやった。次の朝起きたら細君もろとも “ お山 ” が消えていた。

 退職したら夫婦で旅行でも・・・と考えている男は多いと思う。
しかし、賞味期限は個別に進行する。その上足音は聞こえない。忍び足である。

 つまるところ、「結婚のしかるべき基盤は、相互の誤解にある」。だから、「結婚する前には目を大きく開き、結婚してからは半分閉じるがいい」(オスカー・ワイルド 「英語 ジョークの教科書」 丸山孝 大修館書店 )。 

(次回は ― 年寄りの冷や水 ― )

  
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