ロシアのウクライナ侵攻を見て、思った。
もしかすると、「自由と民主主義」を信奉する日本を含む西側諸国は、実はマイノリティーなのかもしれないと。
アメリカは、ロシアを「戦争犯罪国家」だと激しく非難して、経済制裁を進めている。ところが、このロシア制裁に、積極的に同調しているのは、どうも、日本を含む西側諸国だけのようだからだ。
これまで、西側諸国は、自分たちだけが、この世界を導く神か指導者だと思っていたのではないか。
だから、西側諸国が、対ロシア制裁を進めれば、世界中の国々も付いてくると。
しかし、世界は、西側諸国の思いどおりにはならないということだ。
これまで、西側諸国は、「G7だとか、G20だとか」、自分たちだけの会員制のような組織を作って、この世界を操ってきた。言い過ぎかもしれないが。
このGナントカは、「グローバリゼーション」の高まりにより、この世界が、国境のない「自由と民主主義」の世界になっていくと喧伝してきた。これも結局は、仲間内だけの話だったようだが。
どうも、このGナントカは、世界の嫌われ者のようだ。
嫌われている理由を挙げれば、きりが無いが、一例を挙げれば。
この地球の限られた資源を、好き勝手に使い、環境を破壊して、「創業者利益」を享受してきたあげくに、新参者には「この地球を汚すな」と叱っている、身勝手な連中だからだ。
そうしたGナントカという西側諸国の勝手な振る舞いに対して、中東やアジア、アフリカ諸国は、もうウンザリしているのだろう。
それどころか、Gナントカは、これまで、自分たちに反旗を翻す者を「テロリスト」として断罪してきてもいる。
おそらく、ロシアも中国も、本来ならば、Gナントカの上級会員として、アメリカに次ぐポジションと尊敬をもって処遇されると考えていたはず。
ところが、アメリカは、自国の脅威になるという理由から、ロシアと中国を、Gナントカから排除しようとし続けてきた。
その一方で、最近は、インドを西側に付けようと必死だが、インドはシタタカ。
アメリカは、本当に素晴らしい国家だ。
しかし、最近では、「自由と民主主義」というアメリカと私たち西側諸国しか共有できない価値観を、無理矢理、世界中に伝播させようとする「教祖」のようになってしまった。
そもそも、国家というものは、長い歴史を経て、様々な価値観の上に、建国されている。
建国から250年にも満たない(徳川幕府より短い)アメリカの価値観を、世界中に押しつけるのは、いかがなものか。
ところが、どこの国も、アメリカに対して「いかがなものか」なんて言えなくなってしまった。
「自由と民主主義」は素晴らしい価値観。
しかし、それを、中国やロシアが受け入れないからと言って、仲間から排除しようとするアメリカにも問題があるだろう。
今のアメリカは、「ウザイ優等生」のようなもの。自分が嫌われていることに、全く気づいていない。
この世界では、米欧と日本などの限られた国以外にとって、「自由と民主主義」なんて、まだ必要ないのかもしれない。
世界中の国々を「自由と民主主義の国家」にしようというアメリカの考えは、世界中を共産主義国家にしようとした「世界革命論」のようなものかもしれない。言い過ぎか。
アメリカは、「自由と民主主義のリーダー」なのだから、国家の多様性というものに、もっと寛容にならなければ、いつまで経っても、この世界から、紛争や戦争はなくならないだろう。
先ずは、ロシアに言わなければならないことだが。