新潟県神社庁

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月満夜に弾ける里神楽の力

2015-03-23 14:36:19 | エッセイ
シリーズ・エッセイ36
月満夜(つきみちよ)に弾ける里神楽の力
岩片 克己

 越後桑取谷は、上越市の西部中山間地に位置し、長さ僅か十五㎞の桑取川に沿った小さな谷である。この桑取谷を中心にした桑谷(そうや)地区には、大小二十四の集落があり、二十一の神社が祀られている。それぞれの集落には、氏子の皆さん全員が参拝されて座られる立派な社殿があり、過疎化が進んで戸数が減った現在も維持管理されている。
 この地域の神社は、古くは奈良時代から平安時代初期に勧請されたものと伝えられており、上杉謙信の時代には春日山城の西の防衛線として、信仰の力も合わせて人の石垣が築かれていたのではないか?山村の小さな集落に立派な社殿が設けられ、維持管理されている現実にその名残を感じる。
 それは、信仰というより「生活と神様が切っても切り離せないものであった。」という方が、適切な気がする。自然崇拝から生れた日本人の暮らしと、それを支える神の存在も時代の変化と共に変わってきた。仏教の渡来、武家の台頭、戦国時代、経済・文化の醸成、地球規模の交流など。この桑取谷では、日本の近代化と少し距離をおいた人々の暮らしがあったと思われる。
 日本が高度経済成長の波に乗り大きく変化したその時まで、この地では、神様と共に暮らす人々の営みが続けられてきた。年の初めに若水を供え、八百万の神様をお招きする。木を切るのに山の神様に感謝・奉告し、家に災いが入り込まないように塞の神にお願いする。火の神、水の神、年の神などあらゆる神様が暮らしの中に祀られていた。
 人々は、神様への感謝の念を色々な形で表してきた。神饌に自分が収穫したお米や野菜を供えたり、神殿を整えたり、祭りに使用する道具を揃えたりと様々である。その中で時代の変化に左右されず続けられているのが、里神楽の奉納である。神様の召し上がられたお神酒や神饌をいただき、奉納する神楽を神様と共に楽しむのである。神様をお慰めし、元気に頑張る姿を喜んでいただき、時間と空間を共有するものとして神楽が伝えられてきた。
 価値観が多様化し情報が氾濫する現在、山村の暮らしも否応なしに変化の波に洗われてきた。人々は都市に流れ、便利さ至上の価値観が山里にも蔓延している。しかし、神様と共に暮らすこの地の人々の心の中には火種があった。一人ひとりが日々元気に明るく暮らせること。それは、地域の元気であり、その上に立つ生活こそが「活きた何か」をもたらしてくれる。「何か」とは、家族の健康であったり、仲間との絆であったり、生きる充実感で有ったり様々である。それを感じた時どこかに「神」を感じるのではないだろうか?
 山里に営々と伝えられてきた「神を感ずる心」今、最も人の生活の中に取り戻したいものである。地域を元気にする中心に神様の存在があり、神様と人々を繋ぐそこに「神楽」の力がある。祭りに集い、神楽に興ずる人々の笑顔に神様の喜びが重なり合う瞬間に地域興しの力が弾ける。

「越後桑取谷 月満夜の里神楽」上演会、今年は第八回目を十月五日に行います。
(上越市・白山神社宮司)
(平成26年10月1日「庁報新」潟第102号より)


お神札立てプレゼント (雑誌広告をご覧になった方限定)

2014-11-19 14:31:26 | お知らせ

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「月刊キャレル」12月号(平成26年11月20日発行)
または
「月刊新潟こまち」1月号(平成26年11月25日発行)
誌面でお伊勢さまのお神札の奉斎広告
"『祈りの場』のある暮らし、始めよう。"
をご覧になったみなまさへ。

広告左上の写真にあるコンパクトなお神札立てを、先着100名様にプレゼントいたします。ご希望の方は下記要領により、お葉書またはFAXにてご応募下さい。

◆応募要領
「お神札立て希望」と書き、
①ご覧になった雑誌名並びに広告掲載頁(何頁に掲載されていたか)
②お名前
③ご住所
④電話番号
を明記願います。

◆応募先
〒955-0055 三条市下坂井14-21 新潟県神社庁 「お神札立てプレゼント」係
FAX.0256-35-6721

◆応募締切
 平成26年12月25日消印有効 但し先着100名様

◆注意事項
・メールやお電話での応募にはお応えできません。
・ご応募は日本国内にお住まいで、上記雑誌を購入して広告をご覧になった方に限らせていただきます。
・ご応募はお一人様1回限りとさせていただきます。
・お神札は同梱されません。神宮大麻の奉戴についてはお近くの神社にお尋ね下さい。

◆当選発表とプレゼントの発送について
・当選の発表は発送を以て代えさせていただきます。
・ご提供いただきました個人情報は、プレゼントの発送に利用させていただくものとし、その他の目的で使用することはありません。
・発送した賞品が長期のご不在や転居先不明、住所記載不備などで当選者様のお手元にお届けできない場合には、当選を無効とさせていただきますので、ご了承ください。
・当選結果に関するお問い合わせにはお答えできません。ご了承ください。



「国宝 大神社展」のご案内

2013-04-11 15:07:32 | お知らせ
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 神社本庁では、この度第62回神宮式年遷宮を奉祝する記念事業として、東京国立博物館、NHK、NHKプロモーションが主催する「国宝 大神社展」に特別協力致します。この展示会は、本年4月9日から6月2日に亘り、東京・上野の東京国立博物館の平成館において開催されます。

 この「国宝 大神社展」には、全国の様々な神社で大切に守り伝えられてきたご神像をはじめ、工芸技術を駆使した優美華麗な古宝物の数々、また神道の原形がかいま見られる出土品群、さらには歴史上の有力者や武将が神社へ奉納した宝物の数々など、全国の神社から集結した一社の宝、「社宝」が出展され、文字通り空前絶後の神社展と言えます。

 観覧料は、当日一般1500円、大学生1200円、高校生900円、中学生以下無料。

 開館時間は、午前9時半から午後5時、金曜日は午後8時、土・日・祝・休日は午後6時(いずれも入館は閉館の30分前)まで。

 公式サイト 国宝大神社展




神道政治連盟新潟県本部大会

2012-12-01 14:57:00 | ニュース
 平成二十四年十一月十二日(月)午後一時三十分より第四十一回神道政治連盟新潟県本部大会がANAクラウンプラザホテル新潟を会場に開催された。当日は新潟市内を中心に県内各地より会員百三十人が参集した。

 大会は、最初に国旗を通して神宮を遙拝した後、国歌斉唱、神政連の宣言綱領を唱和した。

 次に挨拶に立った星野和彦本部長からは、九月に神政連の地方議員組織として発足した「神道政治連盟自由民主党新潟県議会議員懇談会」について紹介があった他、現在政府が女性宮家創設問題に関するパブリックコメントを求めていることに言及し、「皇室の御事についてわれわれ一国民が意見を述べるのは不遜の感もあるが、この国家解体を目論む女性宮家創設を阻止するためには、積極的に反対の意思表示をしなければならない」と述べた。


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 次に来年夏に予定されている参議院議員選挙に当たり、新潟選挙区・塚田一郎候補に対して、星野本部長より推薦状が交付された。

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 次に、藤田幹事長より活動報告がなされた。

 次に神道政治連盟会長(代理・打田文博幹事長)、神道政治連盟自由民主党新潟県議会議員懇談会会長(代理・金谷國彦幹事長)、塚田一郎参議院議員より交々祝辞が述べられた。

 次に改めて来賓の紹介がなされた。この日は神政連自民党新潟県議会議員懇談会会員(県議)九名の出席を得ることができた。

 次に風間常樹彦副本部長の発声で聖寿萬歳を奉唱し、第一部大会は約一時間で終了した。
 第二部講演会では神政連国会議員懇談会副幹事長・有村治子参議院議員が登壇し、「見つめよう 日本人の生き方」と題し、一時間にわたって熱弁をふるった。同議員は来年夏の参院選比例代表(全国区)において、神政連より単独推薦を受けている。

 講演の中で、有村講師は「過去、現在、未来とつながる時間軸の中で、わたしたちが最も影響力が及ぼせるのは、どの段階だと思われますか?」と来場者に問いかけ、「今を生きる我々が、当面頑張ることによって現在の意思決定がなされる。そのベクトル、意思決定によって、未来が開かれるという意味では、現在と未来に対して、私たちは非常に強い影響力を持ち得る。しかし同時に、今わたしたちがどのように生きるかということで、過去、父祖や先輩が築いてきた歴史に光を当てることもできれば、その歴史に影を落とすこともできる。この十一年間、国政に身を置かせていただいて痛感するのは、この私たちの生き方や姿勢如何によって、過去の評価まで変わってくる、それほどの強い影響力を持ち得るのだということです」と語り、例として河野談話を引いてその不可なる所以を指摘した。また「日本の気骨、日本の背骨、日本らしい日本を守るという、自民党が結党当時から持っていたはずのものを大切にしていきたい。どう民主党を倒すのか、といった近視眼的なことではなくて、世界に伍して行くことのできる日本を如何につくっていくかということに目を向けて戦い抜きたい」と述べ、「身を挺して頑張るので、どうか最後まで戦い抜く力をお与え下さい」と訴えた。

 第三部懇親会は、小林直毅神社庁長の発声で乾杯し、和やかに過ごした。

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還暦奉告同級会

2012-11-05 10:33:00 | エッセイ
シリーズエッセイ30
還暦奉告同級会
長谷川健一

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 今年の5月19、20日と十日町高校同級会に、凡そ30年ぶりに出席した。昭和46年に卒業してから1、2回ほど顔を出したが親友と呼べるような学友はおらず、あまりなじめなかった覚えがある。

 それ以降は欠席届を出すことが常となったが、今年の同級会案内は還暦奉告の神宮参拝といふことで神職としては断るわけにはいかない。ここは神道教化活動実践の良い機会と捉え、DVDや資料などを揃え始めたのである。

 我が3年3組は現在49名であり、今回参加するのは男10名、女13名の合計23名である。早朝、私を含め10名が観光バスで十日町を出発した。途中、千曲川の道の駅で1名、更に名古屋駅前で11名が乗り込んだ。

 久しぶりの学友は卒業写真の面影とはかけ離れており、皆一様に戸惑いの色を浮かべたが、中でも私の変わり様は特別らしく、最後に外宮で待ち合わせをした女性は、暫く私をバスの添乗員と決めつけていた。

 外宮参拝の後、二見ケ浦に向かい、二見興玉神社と夫婦岩を自由参拝。いつしか皆、戸惑いも解け、和気藹々とした雰囲気で宿泊する鳥羽「胡蝶蘭」に辿り着いた。

 浴衣に着替え一風呂浴びると、大宴会が始まった。幹事の進行に従い先ずは乾杯。それから1人ずつ、改めて自己紹介と近況報告である。皆、年を重ねた分だけ様々な苦労と経験を積んでいた。

 いよいよ私の順番が回ってきた。準備していた式年遷宮の話をするつもりであったが、ステージに上がった途端、なぜか気が変わった。その場の空気がそうさせたのかも知れない。今にして思えば、和やかな宴会の席での堅苦しい長話は、反って寒々とした逆効果を生んだことであろう。宴会の後はホテルのカラオケバーで二次会を楽しみ、部屋に戻っても、延々と酒盛りは続いた。

 翌朝は小雨交じりの中、内宮正式参拝に出発した。日曜日とあって内宮は参拝客で賑わっていた。昨晩、神職という自己紹介をしたので参道を歩きながら何人かが神道に関して様々な質問をして来たが、どういうわけか女性ばかり、不思議である。

 ところで、正式参拝だけは予行演習をしておけばよかったと後で悔やんだ。御垣内での拝礼はバラバラであった。

 奉納神楽は、多くの団体客と一緒に拝殿に詰め込まれたが、お陰で特別太々神楽を拝観することができて皆、感激していた。

 宇治橋を渡り、土産物屋で昼食をとると、これから京都見物に繰り出す女性グループと別れ、帰路のバスに乗り込んだ。名残惜しい気持ちを抑えて名古屋駅前で数名が下車した。残された十日町出発組は、酔うほどに遥か遠い青春時代に想いを馳せ、一層盛り上がったのである。

 なじめなかった今までの同級会と違い、楽しく充実した同級会であった。自分を含め級友たちは、神宮の森で、還暦にして初めて同じ方向を向いていた。

 言うなれば神宮そのものが神道教化の神髄であった。神宮の森の中、太古から変わらぬその清涼な清々しい空気に包まれ、太々神楽奉納神事の流れるような優美な作法、更に雅楽の繊細な音色と華麗な舞楽は、3年3組を、時と場所を超えた別世界に運んでくれたのであった。

(十日町市・千手神社宮司)
【平成24年10月1日「庁報新潟」第96号より】