図書館…

町立図書館…
一階にも二階にも誰もいない…
風でページがめくれる度、その本を誰かが読んでいるように思えた…

本が好きな人…
その人はあの時も、ここで本を読んでいたのだろうか…

墓石…

墓石が倒れていた…
墓標は砕け、辺り一面は黒く茶色く焼けている…

あの日、このお寺には多くの人が身を寄せたが、炎を上げながら迫る津波を前に裏山へ逃げるかどうかの選択を迫られ、残った人々は皆犠牲になったと聞いた…

瓦礫…

ここにあるのは、少し前までこの街でした…
看板も畳も古いズボンも、当たり前のように使われていました…

でも、今はただ瓦礫と呼ばれています…

線路…

途切れた線路が、延びて延びて開通した時、つながるものは鉄道だけではない…

止まった時間…

大槌町・浪板地区…
襲いかかって来た津波は、あらゆる物を持って行ってしまった…

ホテルのロビーも、あれからずっと時間が止まっている…

あの時ここにいた人達は、今どこにいるのだろう…

この時間がはやく動き出して欲しい…