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主に理工学系の専門書、大学受験参考書の紹介。
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備忘録です。

「無限と連続」の数学 微分積分学の基礎理論案内

2022-02-06 08:48:50 | 日記

無限と連続」の数学 微分積分額の基礎理論案内 瀬山士郎著

「正比例」の数学 線形代数学の基礎理論案内 瀬山士郎著の姉妹書のような本である.
こちらの,「無限と連続」の数学のほうが先の出版になる.
この2冊とも面白いのが各々にテーマがありストーリーが存在しているというところだろう.
多くの参考書や教科書は定義,定理,証明のような順で並んでいき,いま証明した定理がいつ必要になるかという見通しはなかなかつかないが,この本は網羅型の参考書ではないが,1つ1つが伏線となっていてミステリーというかドキュメンタリーというか,読み進めていけばいくほど面白くなっていく.(余談ではあるが著者の瀬山士郎さんはミステリー小説バナッハ‐タルスキの密室: 『数学者シャーロック・ホームズ』というのを書かれている.)
内容は,「ロルの定理」を起点にし,最大値の存在の証明,そして理学部工学部問わずお世話になるテーラーの定理(テーラー展開)の証明そして現在の解析学の基盤となる,位相空間論までを紹介せいている.
関数の連続性,イプシロン・デルタ論法,位相空間での閉集合,開集合,コンパクト性など一筋縄ではいかない概念ばかりであるがこの本を一通り読み終えたときにはある程度理解されているだろう.
数学が苦手な私は逆算的な,1つ1つ遡って基本的概念を説明されているので非常に納得しながら読み進めることが出た.

簡易目次
第1章 ロルの定理を見直す
1.1 微分積分学に流れているもの
1.2 微分係数と微分,導関数
1.3 平均値の定理,テーラーの定理を見直す
1.4 テーラーの定理の内容
1.5 ロルの定理を証明してみる
第2章 実数の連続性ということ
2.1 ロルの定理の問題点
2.2 実数の性質(1)四則演算と大小
2.3 実数の性質(2)稠密性とアルキメデスの性
2.4 実数の性質(3)連続性と切断公理
2.5 有限集合の上限・下限存在
2.6 有界単調数列の極限値の存在
2.7 区間縮小法の原理
第3章 数列の極限と四則演算
3.1 数列の極限再説
3.2 数列の四則と極限
3.3 正の項の数列の極限値について
第4章 実数の連続性ということ
4.1 関数の連続性
4.2 関数の連続性と数列
4.3 中間地の定理
4.4 最大値・最小値の定理
第5章 関数の一様性と積分の存在
5.1 ハイネ=ボレルの被覆定理
5.2 コンパクトという性質
5.3 ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理
5.4 閉区間と関数の一様連続性
5.5 定積分の存在と原始関数
第6章 位相空間と連続写像
6.1 数直線から位相空間へ
6.2 位相空間としての数直線
6.3 連続写像とε-δ論法
6.4 最大値・最小値の定理とコンパクト性


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