
神出鬼没の天才ハッカー。
闇の世界の仕置き人。
竜の刺青を背負ったリスベット・サランデル。
リスベットは髪を短く、いくつものピアスをつけて。
外見的な特徴を整えたうえで、尋常ならざる人生を送ってきた孤高のヒロイン。
「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」の初代、ノオミ・ラパスは内に秘めた激情を。
ハリウッド版「ドラゴン・タトゥーの女」の2代目、ルーニー・マーラは無の奥に純情を覗かせ。
新たなるリスベット役はイギリス人女優クレア・フォイ。
ラパスやマーラよりも幾分シンプルな風貌で現れた3代目は、少女のように無垢な瞳に脅えたようなニュアンスを湛えている。
対峙するのは、彼女が少女だった頃の家族の記憶。
封印された過去から甦り、リスベットの行く手に立ちはだかる双子の妹が、本作のもうひとりの主人公である。
今回メガホンを執った「ドント・ブリーズ」のアルバレス監督は、前作のデヴィッド・フィンチャーが創出した映像スタイルを受け継ぎ、凍てつく北欧の情景を全編にフィーチャー。
さらに黒ずくめのリスベットが駆けめぐるその“ホワイトノワール”な世界観に、煮えたぎる血や怒りを連想させる真紅のコスチュームをまとったカミラ
見るからに真意不明の超然とした異物感を放つ悪女は、まさしく“赤いリスベット”と呼びたくなる。
ふたりのヒロインの黒と赤のコントラストに象徴されるヴィジュアルは脳裏に焼きつくほど刺激的。