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合言葉はヒュッゲ

映画 アイ・アムまきもと

これ、ヤバイくらいハマります。でも、阿部サダヲでなきゃ、印象が全く変わった作品だと思う。

数年前に公開されたイギリス映画のリメイクなんですね。そっちも観てみたいなあ。

舞台は山形。酒田市役所がロケの中心になっているが、庄内市役所と名前を変えている。立派な建物です。

今日は整形外科受診日だったので、開演に少し遅れて入場しました。

なので、既に本編は始まり、福祉課のお見送り係という課のフロアの片隅のパーテーションで囲った小スペースに主人公まきも
とのデスクがあります。

お見送り係とは、孤独死発見された後、引き取り手のない遺体の火葬などを請け負う係。

身寄りを探し当てて連絡しても、遺体はおろか、遺骨の引き取りすら拒否され、結果墓も持たずに無縁仏になってゆく。

考えただけでも切なくなりますが、孤立社会の現代にはとても多い事例なのです。

まきもとはそんな人たちのお骨を自分の机の下にひとまず保管。仏に成仏してもらいたくて葬儀を自腹で挙げていた。

どこ探したって、そんな人いないよね。赤の他人なのに、仕事以上の対応を買って出る。この人何者?と興味をそそられます。

やっぱ一人暮らしかあと納得の暮らし。
アパートの部屋には一切無駄なものがなく片付いて、まきもとはミニマリストであるようです。

ルーティンにも気を配り、夕食は冷凍食材をフライパンで炒め、一合炊きの極小炊飯器からしゃもじでそのまますくってご飯を立ち食い。おい、行儀悪いぞと思わず叫びそうに。

フライパンのおかずもそのまんま箸でつまんでいました。そしてすぐに洗い終え、コンパクトな台所の洗いかごにきれいに立て乾かす。

衣装も黒と白のモノトーンだけ。ハンガーもステンレス製で同じもの、ここにもこだわりを感じます。

金魚鉢に大きな出目金金魚?が一匹だけ悠々と泳いでいます。この金魚はまきもと本人にも見える。役所という小さな社会の小さな部署で一人仕事を悠々と粛々とこなす姿と重なります。

まきもとは新しく就任した福祉課の局長に初日から睨まれます。「お見送り係なんていらない」とまきもとの人格否定にもとれる言い方。酷いですね。

おそらくまきもとは、役所のどの部署でも一人前とみなされず、今の職務をやっと得たのでしょう。

彼の特性に合っていると直属の上司がかばいますが、組織はトップダウンが当たり前。ある日、溜め込まれた遺骨をまとめて処分され、まきもとは局長に詰め寄り、ますますにらまれ、リストラへと追い込まれる。

まきもとにとって、最期のお見送りとなったのが、酒浸りとなって孤独死した初老の男、蕪木でした。

アパートに残されたアルバムに幼い女の子の写真を見つけ、携帯電話の中にある白鳥の写真に後押しされるように、蕪木の身寄りを探し出しそうと動きます。

若き日の炭鉱夫時代の仲間、一時期暮らしていた飲み屋のおかみや、勤めていた食肉加工工場でのエピソード。

結婚し、娘をもうけ幸せな生活を送るも破綻し行方不明となり、ホームレスに転じていた足取りなど、まきもとの愚直ながら誠実な人柄に蕪木の知人達は惜しみなく情報を提供してくれた。

そして、とうとうただ一人の肉親である娘塔子を探し当てる。

塔子役は満島ひかり。申し分のない役柄です。最初は自分と母を捨てて去った父を憎み葬儀に出席するのを拒んでいたけど、まきもとの真摯な説得に心をほだされる。

まきもとは自分用の墓地を蕪木に譲るのです。なんというお人好し。塔子の事好きになったのかな。

長くなりましたが、この映画、最後を観なければ語れません。でも最後について、この場では語れません。

人それぞれの意見はありますが、まきもとらしい締めくくり。

「がんばった」

このメッセージは、この時代とこの映画にふさわしいですね。








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