
皇輿忽(くわうよ、たちま)ち駕(が)して、山川を越え渡り、六師雷(ろくし、いかづち)のごとく震い、三軍稲妻のごとく逝きさき。杖矛威(ぢゃうぼう、いきおい)を挙げて、猛士けぶりのごとく起り、こう旗兵(つわもの)を耀かして、凶徒瓦のごとく解けき
【皇太子の乗られた輿(こし)は、吉野の宮をたちまちのうちにお出ましになり、山を越え川を渡り、その御軍(みいくさ)は雷のように威を振るい、
御子の高市皇子(たけちのみこ)軍は稲妻のように進みました。御軍の武器が威力を現すと、勇猛な兵士は煙のように諸方から起こり、
御軍の印の赤い旗が兵を耀かすと、敵軍は瓦が一時に崩れるように敗れ散りました】
★皇輿忽ち駕して以下
壬申の乱で大海人皇子(天武天皇)の軍が大友皇子(弘文天皇)の軍を各地に破り、武威を発揮したことを記す
★六師
天子の軍隊。ここは大海人皇子の子、高市皇子の軍を指す
★杖矛
長い矛。武器を示す
★こう旗(糸へんに降みたいな漢字)赤い旗
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