161cm

切り上げ

変化はないが浮沈の激しい精神状態を持て余して

2008-03-05 20:13:07 | Weblog
・宇宙のステルヴィア
どうしたんだ、大河内。ってなくらいの現実感のなさ。途中までは成長の丁寧な描写がよかったが、地球の危機を主人公が救ったところであーあってなって切。

・銭の城 白石一郎
時代小説。漁師の子が島脱けして商人として大成するまで。
こう書くと堂島物語と被っているが、こちらは純然たる教養小説。主人公は成功者だが、その有能性も適度に削られていてよし。この微妙なバランスは白石の得意とするところだと思う。
久々の再読だがやはり名作。青春+海洋+ぼんやりとした主人公は白石作品の王道だに。是非。

・余燼 北方謙三
時代小説。天明の大飢饉での民衆の窮乏を背景に巻き起こる政争、それを巡る人々の理想とその末路。
個人的には一番好き。何よりも素晴らしいのは、山場が中盤で終わること。それまでの上昇とそれからの下降は北方の筆致の確かさがあってこそ。
北方の最大の特徴はハードボイルドであることよりも、地に足のついた丁寧さだと思う。物語の論理性がしっかりしているし、感情の描写も丁寧。是非。

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