***長文注意!***
sengoku38氏が日本外国特派員協会で会見を行ったようです。
この記事で、sengoku38氏の行動を「平成の二・二六事件」と評しているけど、それはどうかと思う次第です。
二・二六事件は、日本の先行き不透明な情勢に危機感を覚えた若手将校のクーデターですが、時の為政者側にも言い分はあり、襲撃された誰だったかは失念したが、絶命するまで「若いのを連れてこい。説き伏せてやる」と言えるくらいには確固たる思考はあったわけで、現菅政権で同じ事が起きた場合、いや、起きなくとも、自己弁護や言い訳、責任転嫁、中韓への媚び諂い以外何が出来るか? 何も出来ないでしょう。
だから、時の岡田内閣とは比べ物にならんのです。
駄文はここまで。
リンク元の記事は時間が経てば消えてしまうし、政治的圧力もあるかもしれない。
それに、sengoku38氏の行動は、組織人としては正しくなかったが、それ以上に多くの事を残し伝えた彼の行動を後世に語り継がねばならん。そのための全記事引用です。
以下はsengoku38氏こと、元海上保安官、一色正春氏の記事をどうぞ。
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2010年9月7日に尖閣諸島沖で発生した、海上保安庁の巡視船と中国漁船との衝突事件。海上保安庁は同漁船の船長を公務執行妨害で逮捕、那覇地検石垣支部に送検したものの、那覇地検は「わが国国民への影響や、今後の日中関係を考慮した」と処分保留を決定、中国に送還した。
海上保安庁はその衝突の様子をビデオで撮影していたものの、政府は中国への配慮から映像の全面公開には踏み切らずにいた。そんな中、11月4日夜にYouTubeにアップされたのが、衝突事件の概要を示した動画である。「sengoku38」というIDによって投稿された動画では、中国漁船とみられる船が海上保安庁の巡視船とみられる船に衝突する模様が映されていた。
機密とされていたこの動画をYouTubeにアップしたのは、当時、神戸海上保安部の現役保安官だった一色正春氏。この件で、警視庁は2010 年12月、一色氏を国家公務員法の守秘義務違反容疑で書類送検。だが、東京地検は1月、入手経緯や流出目的が悪質でないことや、一色氏が停職12カ月の懲戒処分を受けて退職したことを踏まえ起訴猶予とした。
一色氏の行動には「本来、公開すべき情報を明るみにした」と賞賛する声がある一方、「機密を守らなかったことは、公務員のあり方から逸脱している」と非難する声もある。
一色氏はどのような思いから映像の公開に踏み切ったのだろうか。手記『何かのために sengoku38の告白』を出版するにあたり、2月14日に日本外国特派員協会で行った会見の模様をお伝えする。
●海上保安庁での仕事
一色 おそらくみなさまは私のことをあまりご存じないと思いますので、最初に自分自身のことを話します。私は1967年、京都市で生まれました。 15歳の時に船乗りを志し、そのための学校に入るために親元を離れました。そこは全部で5年半(の課程)で、最初の4年半は机上の勉強、最後の1年は帆船を含む練習船に乗って、1年間、国内外のいろんなところを回りました。学校を卒業してからも外国航路の商船に乗って、約5年間、世界各国を回りました。それから船を降り、サラリーマンなどを経て、約30歳で海上保安庁に入りました。
私が行ってきた海上保安庁での仕事は一貫して船に乗るもので、警備救難業務に従事していました。仕事の内容はあまり詳しく言うと、また国家公務員法違反で捕まりそうなので(会場笑)、そこは伏せておきます。ここからはみなさまご存じだと思いますが、2010年12月に退職して、現在に至っています。
みなさまの中にも、海上保安庁と海上自衛隊を混同されている方がいらっしゃるようです。先ほども「海上自衛隊の方ですか?」と聞かれて、「違います」と答えました。日本は国土は狭いのですが、領海や排他的経済水域(EEZ)を含めると、かなりの広さになります。これを守っているのが海上保安庁です。
当然、国境警備隊という性格の仕事も兼ねています。現在、日本はいくつかの領土問題を抱えています。最近はそれに加えて、尖閣諸島にもそういう問題を作ろうという動きが出てきています。その(領土問題を作ろうとしている)国は、南シナ海で行ったような方法で、日本に侵略を開始したとも受け取れるような行動をしています。2010年9月に起こって、私が11月に流した(尖閣諸島沖の衝突事件の)ビデオを見ていただけると、その一端が少しは分かると思います。おおよそ私の考え得る限り、漁船がああいう感じで衝突するということは考えられないことでした。
●国民が求めているのは真実の報道
これからは私の個人的な考えを述べさせていただきます。今、21世紀という時代を迎えて、いわゆる国際紛争を武力で解決しようという動きを私は感じています。本当に「尖閣諸島が自国の領土である」と思うのであれば、「証拠などに基づいて言論で争うべきである」と私は考えています。
世界は過去の反省から、国際司法裁判所など、武力によらない紛争の解決手段を考え出しました。それは過去において、「武力で解決しようとした結果が空しいものである」ということを、我々人類が十分に学んだからだと思います。私を含む多くの日本人は、国際紛争を平和的な方法で解決したいと思っています。
しかしその半面、最近、日本周辺の諸外国の動きを見ていると、「力には力で対抗する」という考えを持つ人が増えてきたように感じています。現在の日本は、相手が話し合いで来れば、話し合いで応えるでしょう。反対に力で来れば、力で押し返そうとするかもしれません。私は個人的にそういう解決方法を望みませんが、これは相手次第です。「攻められれば守る」という、ただ単純な理屈です。
そこで、みなさまにお願いがあります。もし、日本と他国との間に争いが起こった時、片方の言い分だけではなく、日本の言い分もぜひ聞いてください。なぜかと言うと、日本が長い方はご存じだと思いますが、日本には「自らのことを多く語らない」ということを美徳にする文化があります。それにより、過去にいろんな失敗をしたケースがあります。
現在、日本において、みなさまのような海外メディアの注目度が高まっています。自国のニュースでも、海外のメディアを通じて情報を得ようとしている人が、最近多くなっています。それは信頼度の問題です。
具体的な例を挙げると、2010年に日本各地で起こった(反中)デモに対する報道姿勢などを見ていると、我々国民は数ある選択肢の中から誰が本当の情報を流しているか、誰が流さずにいるかということに気付き始めています。それを見極めて、正しい情報のみを取捨選択すること(の重要性)に多くの人が気付き始めています。これは考えようによっては、海外メディアのみなさまにとっては大きなビジネスチャンスかもしれません(会場笑)。
いずれにしろ、我々国民が求めているのは真実の報道です。あの事件に関しても、「なぜビデオが機密になっているのか」「誰の手によってあのビデオが公開されなかったのか」、そういうことをみんなが知りたがっています。もし、メディアがそれを明らかにすることができれば、恐らく日本国民から絶大な信頼を得ることになります。あの漁船の船長のインタビューでもとれれば、かなりの注目を集められると思います。
最後になりますが、みなさまにもう1つだけお願いをしておきます。春になって、あの尖閣諸島で起きる出来事を、第三者の目で公平、客観的に全世界に向けて報道していただきたいと思います。
●石原都知事も出席
一色氏が事件後に初めて行った記者会見とあって、会場となった日本外国特派員協会には海外メディアだけでなく日本のメディアも多く詰めかけた。また、メディア以外にも、東京都知事の石原慎太郎氏も出席、一色氏にさまざまな質問を投げかけた。
――なぜ「sengoku38」というハンドルネームで動画を投稿したのですか? また、日本のメディアについて、どのような印象を持っていますか?
一色 sengoku38に関しては、一貫して秘密にしています。ちなみに、捜査当局や家族、弁護士にも言っていません。今後、発表する予定もありません。まあ、1つくらい秘密が残った方が事件が忘れられない感じになる、という気持ちがあります。「あんまり気にしないでください」と言えば、逆に気になるでしょうけど、それが狙いなので。
もう1つ、メディアに対する不満ですが、私もこういう事件が起きるまでは「メディアというのは常に正しい報道をしている」と思っていたのですが、いろいろ推測や憶測でいろんなことを書かれたり、発言されたりしました。最初のころはいろいろと反論を考えていたのですが、そのうち面倒くさくなりました。具体的に何があったかということは、『何かのために sengoku38の告白』を読んでいただいたら分かるようになっています。
――ハンドルネームのsengoku38は「悪いやつは“仙石さんや”」と京都弁でジョークを言っているのではないですか?
一色 ご想像にお任せします。
――産経新聞の引用ですが、一色さんの行為に対して、自民党の谷垣禎一総裁が「映像流出を擁護する人もいるが、国家の規律を守れないのは間違っている」とコメントしています。「二・二六事件でも『将校の若い純粋な気持ちを大事にしないと』という声があり、最後はコントロールできなくなった」と、 1936年のクーデターと対比するようなコメントをしていますが、これについてどうお考えですか? また、一般論として、日本の公務員や外務省、自衛隊も含めてですが、もし政府が反日的、あるいは売国的な政策をやっていると判断した場合は、その命令に反しても行動を起こすべきとお考えですか?
※二・二六事件……軍部の方針に不満を持つ陸軍の皇道派に属する青年将校たちが、1936年2月26日に起こしたクーデターのこと。岡田啓介首相らを襲った。
一色 まず1つ目の質問ですが、機密というのはみなさまがあれ(流出映像)を見て、機密と感じられるかどうか、逆に私のほうから質問したいくらいです(会場笑)。本当に機密であるのなら、日本の公共放送各社がみんな私の共犯になってしまいます。
クーデターとおっしゃいましたが、政府は転覆されなければいけないような何か悪いことをしているのでしょうか。二・二六事件の青年将校と比べられるのはある意味、光栄ですが、私はご存じの通り、一滴の血も流していません。これをもってクーデター(=反政府行為)と言うのであれば、ちょっと大げさな気がします。
2つ目のご質問ですが、公務員がいかにあるべきか。これはいろいろ議論のあるところだと思います。よく言われるのは「第二次世界大戦当時、ナチスドイツの命令を聞かなければならなかった兵士たちはどういう気持ちだったのか」、そういうところまで考える必要があると思います。
私が考えていることを人に押し付けることはしたくないので、私の個人的な考えだけを申します。私自身はいろいろ考えて、(映像を機密にすることは)政府命令ではありますが、本当にこれが国のため、国民のため(になるのか)、どちらがウエイトが重いかという観点で判断して、今回の行動に至りました。
――このビデオを流して、ご本人は当然ですが、家族の生活や考え方も変わったと思うのですが、そのあたりについてどのように考えられているか教えてください。
一色 まず、私の家内のことを話します。当初は非常に驚いていました。しかし、私を責めることなく、「私を信じてついてこい」と(言うと)、半ばあきらめたような感じでした。結婚してもう10年近くになるのですが、「改めてそういう(つながりを)見直せる機会があって良かった」と言ったらおかしいですが、そういうことがありました。
子どもに関しては意外と聞き分けが良く、(引越しで)友達と別れていったのですが、1つ、引越しすることによって『ポケットモンスター』というアニメを見られなくなって、3日3晩泣かれたことだけがちょっと、父親としてふがいなさを感じています。あとは家族4人でおおむね楽しく暮らしています。
――一色さんがYouTubeに投稿された動画は編集されたものですが、編集される前の動画はどんな内容だったのでしょうか?
一色 編集されていたというのは、ある目的で編集されていたんだとは思います。編集前のものがあれば恐らく、私はそれを使用したと思いますが、残念ながら私の手元にはありませんでした。
(投稿した動画では削除されていた)残りのビデオの内容についてですが、はっきり言って私は知りません。知っていてもこの場でしゃべるとまた身に危険が及ぶので、知らないということにしておきます。私が聞いているうわさでは、(中国漁船の船長が)「激しく抵抗したシーンが映っている」という説、「おとなしく捕まった」という説、その2つの説を聞いていますが、真相は定かではありません。できることなら、みなさまの力でそれを明らかにしてほしいと思います。
――(石原慎太郎都知事)2つ質問させていただきます。あなたの愛国的な行動に国民を代表して、心からの敬意と感謝を申し上げます。売国奴の集まりのような内閣が愛国者を告訴したり、起訴したり、告発したりすることができるわけがない。私は国民の声なき声が、政府を暗に動かしたと思うのですが、あなたが退職するという残念な結果になったことは、きわめて遺憾です。1つ目の質問はあなたが「自分がもし起訴されたならば、見てもらいたいビデオがある」と、あるメディアに言われたと聞きますが、それはどういう内容のビデオなのでしょうか?
一色 まず、都知事にいろいろおっしゃっていただいて、返す言葉がなく恐縮します。一応、退職というのは私なりに組織のルールを破ったけじめなので、みなさんが考えておられるほど、後悔も何もしていません。
ご質問ですが、起訴ではなくて、「逮捕されればビデオが出る」という話でした。その(ビデオの)内容は1月21日に大阪のよみうりテレビで放映されています。それは私が出頭する前の11月8日に、「もし逮捕されて、私の真の声が届かなければ(公開してほしい)」ということでインタビューを受けていたものです。
――(石原慎太郎都知事)尖閣諸島の魚釣島に、私が実は最初に灯台を作ったんです。ただ、当時の外務省は時期尚早ということで、チャート(海図)に載せませんでした。それだと危険だということで、息子(石原伸晃氏)が国交大臣になった時に言って、灯台がチャートに載りました。第2の質問はですね、国会議員が国政調査権を使って尖閣諸島に行こうとした時、海上保安庁はどこまで協力してもらえますか? 有力な元職員として、海上保安庁の心構えを確かめさせてください。
一色 まず安全面で1つ、付け加えて言っておきたいことがあります。これは領土や領海の問題とは別に、現実に数年前、あそこで数万トンの貨物船が座礁しています。その時はある意味、灯台をもっとたくさん作るチャンスだったのですが、残念ながらあまり報道されていませんでした。
都知事のご質問ですが、海上保安庁にもいろんな考えがありまして、霞が関、海上保安本部、実際に船に乗る者とでは必ずしも一致していないと思います。これは恐らくではありますが、船に乗っている者は間違いなく「ぜひ協力する」という意見で一致していると思います。
もし、海上保安庁が「協力しない」と言うのであれば、防衛省というのもあります。ほかにも水産庁、何よりも都知事であれば、東京都の船がたくさんあると思います(会場笑)。いずれにせよ、行く方法はたくさんあると思います。あとは「行こう」という気持ちだけです。
●なぜYouTubeに投稿したのか
――講演の中で、日本と領土問題を抱える国を“ある国”と言って、実名を出さなかった理由は? また、中国が日本を抜いて、GDP2位になったが、それについてどう思うか? 日本と中国がうまくやっていくにはどうすればいいか?
一色 “ある国”とあえて言った理由は、みなさまの想像力で考えていただければと思います。
GDPに関しては、私個人としてはあまり関心はありません。物質的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさというのがあると思うので、2位だとか3位だとかそんなことに感想はありません。
また、中国の方にお話しできるのであれば、ぜひ中国政府の方から日本政府に圧力をかけて、「あのビデオを公開しなさい」と言っていただきたいと思います。中国政府も「逮捕時に船長が殴られた」とかおっしゃっているようなので、ぜひ真実が明らかになればいいと思います。
――尖閣のビデオを公開したことによって、あなたの世界平和についての考え方に変化はありましたか?
一色 特に変化はありません。私もペルシャ湾に行った経験から実際の戦争も見ているので、ああいう事件が起こったから考えが変わるということはありません。
――なぜYouTubeで映像を公開したのですか?
一色 YouTubeというのは、自分1人で最初から最後までできるということが1つのポイントです。メディアに持ち込んでしまうと、ある程度、他人に下駄を預ける形になります。一度それも試しましたが、「やはりダメだ」という結論に至りました。
また、恐らくテレビ局ではあの(全映像を)44分間流すことは難しかったと思います。あのような形でただ漠然とビデオを流すと、そのことによって「これが本物かどうか?」と、客観的な目でいろんなことを考えられると思います。テレビ局だと、どうしても解説者がいろいろ解説しますので。見る人、見る人で感想が違う、考えが違う、それこそがいいのだと思います。
あのビデオを見ても、「日本の巡視船がぶつかってきた」と言う意見もありますし、私はその意見に同意はしませんが、ある意味尊重します。いろいろ理由はまだありますけど、そういうわけで結果的にはまあ良かったと思っています。
――一色さんの存在が政治的に悪用される危険性についてどのようにお考えですか。また、一色さんが政治家になることはありますか?
一色 悪用されるというのは、おそらく2月9日の出来事(国会議員の超党派の会合で一色氏が話をした)をおっしゃっていると思うので、事実関係を説明させていただきます。
いろんな新聞などを見ていると、ちょっと内容が違います。「ある議員が私に対する署名の名簿を集めていただいて、それを受け取りに行った」という話が事実です。(名簿を)受け取った場所も国会と書いていますが、正しくは議員会館です。
当然、私がそこに行くと、「どんなやつだろう」という感じで人が集まってきました。やっぱり集まれば、話を聞きたくなるというのが人情だろうと思います。そこで無視して帰るというのもおかしいことなので、ただ単にそういう会話を繰り返しただけで、報道されているように私が国会議員の方に講演したということはありません。
そういう報道のされ方を見ていると、「これはよっぽど自分がしっかりしなければ」という気にはなります。高名な方々とお会いして、先ほどの都知事のように褒め上げていただくので、どうかとすれば有頂天になりそうな感じになりますが、事件前の初心を忘れないように、自分の足もとをしっかりと見て、これから生きたいと思います。
(政治家になるかと問われて)そういう話は今のところあります。考えることもあります。
――YouTubeに動画をアップしたからといって、必ずしも拡散するわけではないと思います。尖閣の動画は2010年11月4日の21時ごろアップされ、Twitterで最初に言及されたのが24時くらい、3時間くらいは見る人がいなかった状態が続いていたと思います。動画の拡散についてどのように考えていらっしゃったのでしょうか? また、拡散しなかった場合、別の方法は考えていましたか?
一色 その(拡散の)スピードは「予想していたより速かった」というのが正直な感想です。でも、本物ですから、「1~2週間すれば、必ず広がる」とは思っていました。万が一失敗した場合については、次の策は考えていました。
(次の策について問われて)それは真似をする人が出てきたら困るので言いません。
――ウィキリークスについて、どうお考えですか? また、公開していい機密情報と公開してはいけない機密情報の境目はどこにあると思われていますか?
一色 ウィキリークスと比べていただくのはありがたいですが、ちょっと私とは趣旨というか、主義が違うと思います。私も表面上しか知らないのですが、ウィキリークスは「すべての秘密を明らかにせよ」という主張だと受け止めています。私は政府の側で働いていましたから、隠さなければならない機密があるということは理解しています。
その境目については非常に難しいと思います。ただ、今回の件は(公開していいだろうという)ボーダーラインをはるかに超えていたと、私が勝手に判断しました。
――尖閣海域以外にも領土問題は発生していますが、そういった海域の警備につかれた経験があれば教えてください。また、日本の国境警備や領土問題のあり方についてどうお考えですか?
一色 そういう警備の経験はあります。
それ(国境警備や領土問題のあり方)については、先ほども申しましたが、海上保安庁の中でもいろいろな意見はあり、私は一貫して現場の人間なので、現場の意見しか言えません。(国境警備は)国を守るというごく当たり前のことなのですが、現実は上の方の命令が右往左往することがやっぱり多々ありました。ただ、現場としてはそれを忠実に守って、余計なことを考えずにやってきました。むしろ今、普通の一般の国民に戻った方がいろいろ考えられると思っています。
●英雄やヒーローと言われるのは間違っている
最後に「英雄である。命をかけて国のために(映像を公開)された」と賞賛した質問者の言葉に、「英雄やヒーローと言われるのはちょっと間違っている。『命をかけて』と(言われたが)、私も命は惜しいです」と答えた一色氏。
「これは先ほどの二・二六事件のクーデターと(同じと)いう意見の対極の意見だと思います。むしろ、当たり前のことと受け止められるように、日本がなっていけばいいと思います。恐らく昔は日本人というのはそういう考え方をしていたはずなのですが、これが最近失われているということをちょっと心配しています」と回答して会見を締めくくった。【堀内彰宏,Business Media 誠]】
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1102/15/news028.html