若さとは、恥の塊である。
-KT Jackson-
もう時効だから言ってもいいだろう。
その子の名誉のために言っておくと、
いまからする話は、何でもかんでも
問題になるような時代ではなかった。
「そんなこたぁ、子供のイタズラさ。」と
大らかに笑って許してもらえる、
牧歌的な時代であった。
イタズラのレベルも低いものであった
ことは特筆すべきだ。
あれは確か、
彼女がまだ「あなた」という二人称を、
「おんどれ」と呼んでいなかった
うら若き中学生頃と記憶している。
彼女は、同じクラスの男子
「光男(みつお)」の似顔絵を描くのが
好きだった。
何ちゅうか、描きやすかったそうだ。
光男の髪は、理科の実験で行った
磁石に付く砂鉄みたいなヘアスタイル。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/48/c224aa74898585ac240d9939a6f917f0.jpg?1653311356)
背は無駄に高く、痩せ型。
これと言って特徴のない抽象的な顔。
とある日に描いた光男の似顔絵が、
二科展級に巧く描けたそうだ。
肖像画ではなく、単なる似顔絵
なんだけど、今まで描いた中で、
一番特徴を捉えていて、とにかくもう
捨てるのが勿体ないとさえ思ったらしい。
セルフ拍手喝采をしたとのこと。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/60/3b66ebca05785753e4509ffb0ce0baf4.jpg?1653313455)
彼女は、芸術の才能があるのかもしれないと、
光男の似顔絵を見ながら思った模様。
こんな下らないことに命を掛けている
自分って、実は日本の逸材ではないか
とさえ思ったらしい筋金入りのバカだ。
…さて、どうしよう。
このままコレをゴミ箱行きにしたくない。
「そうだ!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/bd/fdbbd355a83eed1eb68043afea03605a.jpg?1653315468)
彼女は、芸術家らしい突拍子も
ないことを思いついてしまった。
「近所の家のポストに入れておこう!
きっと、見てくれるはずだ!かりに、
光男を知らなくてもいい。
こんな芸術作品は、もう二度と描けない。
シンディーローパーが、私は
タイム・アフター・タイム以上の
曲を作れないと言った気持ちがわかる。
まさに、これだ!」
と、思ったそうだ。
いざ実行するとなると、
さすがの彼女も緊張したらしい。
彼女は、家人がポストを開け、
「あら、何かしら?」なんて思いながら、
折り畳まれた一枚の紙を開いて、
光男の似顔絵を見つめ、
「何じゃこりゃ…。これ誰だよ。」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/84/284eb7926cc32621868031b5cad190b0.jpg?1653320077)
と呆れる家人を想像すると、
もう笑いが込み上げで
込み上げて仕方がなかったと言っていた。
えーい!ままよ!とシャアよろしく
ポストに投函し、笑いを押し殺しながら
帰ったとのこと。
…って、だけの話だよ。
そのあと、
どうなったかは神のみぞ知る。
悪いヤッチャ!と思うかもしれないが、
それをした本人が一番反省しているし、
恥ずかしいことをしたなと思っているので
笑って許してほしい。
そんな、芸術家と勘違いしたり、
日本の逸材かもしれない思ったり、
人ん家のポストに光男の絵を投函した
人物こそが、あなたがよく知る
ワタクシKT Jacksonなのだよ。
いやはや、ほんとスミマセン。
今やったら怒髪天をつくかな。
ではでは、またね。