
今日は歯医者の定期検診だった。
敏感なところに鋭い器具が当たり、
痛ビックリして片足が上がってしまったよ。
さて、その帰り。
私は、道路をのろのろと歩く
セミの幼虫を見た。
“おいおい、踏まれるんじゃないよ”と
思いながら通り過ぎた。
…踏まれる?
ちょっと待たんかい。
セミとは言え、人間や文明の利器に
踏まれて死ぬなんて悲しいじゃないか。
私は引き返した。
まだセミはいたので、つまみあげて
草などが生えているところに移動させた。
安堵して、帰路につこうとしたら
また別のセミの幼虫がのろのろと歩いていた。
よし、お前も自然なところに移動し…
あ…。
蟻に追われている。
きっと、長くは生きられない。
自然の摂理とは分かっていても、
草のあるところに置いて
やらずにはいられなかった。
生きながら蟻にたかられるセミに
思いを馳せると、筆舌に尽くせない
気持ちになった。
しかしながら、
ご飯を奪われた蟻もまた可哀想ではないか。
私は、彼らに余計なことを
してしまったかもしれない。
いっそのこと、私がサイコパスであれば、
そんな感情を抱かなくて済んだのかもしれない。
私がしたことは正しかったのだろうか?
そんな事を延々と考えながら家路を急いだ。