富士山の話を聞いてから数日後のことです。
その日は青空が爽やかに広がり、空気がスッキリと澄み渡った冬の朝でありました。
《富士山が見えるかも知れない・・・》
胸の高まりを覚えた拙者は、裏山へ上って行きました。
最初の高台では、ヒバの大木が来訪者を迎えてくれます。
ヒバの大木の脇にある東屋を過ぎると、竹林が見えてきます。
竹林に沿って山の奥へ進みます。
楠が見えてきましたね。
楠の大木の辺りから竹薮に分け入ってみました。
《富士山のある方角はこっちの方のはずだが・・・・》
と見当をつけて、枯れ竹や老木などをなぎ倒しながら前進します。
崖に近づき、竹薮の端が見えてきました。
木々の間から前方を凝視すると、内房の低い山並が見えました。見慣れた山容です。
《富士山はどこだ?》
と更に目を凝らすと、低い山並みのその上に、おちょこを逆さにしたような山が見えました。白銀に輝いています。
《おお、富士山だ。富士山が見えた!!》
それはまさしく霊峰富士でありました。
房総のこのような里山から富士山が拝めるとは・・・・・。
拙者は、しばし白銀の霊峰を見つめていたのでありました。
続く・・・・・。