もう、そろそろ満開だろうと思っていたら案の定3株程小さなピンクの花をつけていた。
ホッとして更に足を進めてイチヤクソウを見に行こうとしたところご夫婦らしい年配の方たちが向こうからやって来た。
「今日は、何か珍しい花でも見つかりましたか」と声をかける。
「いいえ、何もないですね」とのこと。
「えっイチヤクソウなかったですか」と更に聞く。
「あ、ああ。いっぱいありましたよ。」との返事。
このご夫婦はさっきのピンクの希少な花の存在を知っている。その花を私に知られたくないと思っている、とそう直感した。
きっと私が盗掘しないか心配なのだ。それは私も同じ。このご夫婦が盗掘しないか心配で二人があの花から離れるまでさりげなく草むらに隠れて様子を見ていたのは私。
ああ、嫌になる。こんな状況。
人を疑ったり批判ばっかりすると人相が悪くなるから気を付けなさいよと良く母から言われたことを思い出す。
あのご夫婦は人相が悪かった。感じも悪かった。
きっとあのご夫婦から見れば私も同様だったに違いない。
そんなことを考えながらイチヤクソウが咲いている場所に着いた。
今年のイチヤクソウは人の手に届く場所には咲いていなかった。
みんな人の手の届かない場所でかたまって人を見下ろすように咲いていた。
そうか、手の届く場所に咲いていたのは盗掘されたのだろうね。
ますます、人相が悪くなるばかり
の今日この頃。